あらすじ
あなたの防犯常識では子どもを守れない!
「暗い道は危ない」「怪しい人に気をつけて」…と子どもに教えていませんか。そうすると子どもは「明るい道」「普通の人」なら安全と思いこんでしまいます。子どもを狙う犯罪者は、好みの子どもを見つけるために明るい道を好みます。また、身なりも普通です。こういう教え方では、子どもを逆に危険に近づけてしまうのです。避けるべきは「危ない人」ではなく、犯罪が起こりやすい「危ない場所」。危ない人かどうかは外見ではなかなかわかりませんが、危ない場所かどうかは判断する基準があります。それは明るい暗いとは関係ありません。
本書は、日本人で初めてケンブリッジ大学大学院で犯罪学を学んだ防犯のスペシャリストで、「地域安全マップ」の考案者でもある著者が、「危険な場所」を見分けて子どもを犯罪から遠ざける方法をわかりやすく解説します。この本をお読みになれば、普段何気なく子どもを遊ばせている近所の公園や空き地、学校や塾への通学路が危険かどうかがすぐにわかります。
親、祖父母、教師の方々必読の一冊です!
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Posted by ブクログ
本文の中に「人は、犯罪にあったのはその人がたまたま運が悪かっただけだと捉えてしまう」というようなことが書かれていたけど、犯罪にあった人たちがたまたま運が悪かった訳ではなくて、犯罪にあっていないことが運が良かったのだと感じる。
ニュースを見るたびに、自分も被害に合う可能性がある。どうしたら防げるのかをいつも考えていました。
その答えがこの本の中にありました。
事件にあったことがない人がたまたま防げていたのではなく、犯人に犯罪の機会を与えることをしていなかったのだと、目から鱗が落ちました。
犯人は児童心理のスペシャリストで、実際の犯罪に至るまでに、色々な児童に声をかけて失敗して学んでいるのだそうです。
ここでは失敗する、この声かけではついてこないなど…
実際に犯罪を犯す前段階なので、声かけだけだと犯人にとってリスクが低い。
犯人に声をかけようと思われないためには、犯行を起こしやすい場所にいかない、子供にも声をかけられたときの警戒心・対処法を教えておく。
そして、個人でその場所を避けるのはもちろんのこと、地域全体でその知識を共有して危険な場所をなくしたり声かけをしたりと、みんなで同じ意識を持てば犯罪はもっともっと減らしていける。
犯罪に対して犯人が捕まっているのは1割ということを知って、野放しになっている犯人がたくさんいるという事実を知りました。
この本や犯罪機会論という犯罪予防が多くの人に伝わって、みんなで子供たちを守れる社会にしていけたらと願わずにはいられません。
Posted by ブクログ
場所に着目して犯罪に遭う可能性を減らすと言うのは目から鱗で面白かった。外から見える家の壊れたところをすぐに修理して花壇には犯罪者が嫌う花を植え続けようと思った。
地域安全マップも子供と作りたい
Posted by ブクログ
実際の事件現場を示しながら、どのような場所が危険であるかを非常にわかりやすく解説してあり、新たな視点からの防犯を説いた一冊。
人ではなく場所に注目し、犯罪の機会をいかになくすか、付け入る隙を与えないかが世界的の防犯スタンダードになっており、人に注目した防犯(不審者に注意)は時代遅れなだけでなく、逆に犯罪のリスクを高めることになるというのは目から鱗だった。
日本はこれまで治安が良かったため、人に注目した古い防犯意識が常識であったが、物騒な事件が毎日のように発生している昨今、早急に防犯意識をアップデートする必要があると思う。特に日本ではモールなどで小さな子どもをほったらかしにしているような光景をよく見かけるが、他国では簡単に誘拐されてしまうので、親御さんたちにはもっと防犯意識をもって欲しいと思う。
最近では近所付き合いがないどころか、隣にどんな人が住んでいるのかも知らない状態が普通になってしまっている日本社会だが、防犯のためにもコミュニティ活動は大事にしていかないといけないと改めて感じた。
Posted by ブクログ
犯罪者の動機に焦点を当てる犯罪原因論が主流の日本に対し、アメリカ等では犯罪の起きやすい場所などに焦点を当てる犯罪機会論が主流。人は誰でも犯罪に繋がる動機の種は持ちうる。それが実行に移されるかどうかの確率は、機会があると高まってしまうというもの。
犯罪機会論に基づく防犯は、より現実的かつ合理的な方法だと思った。
確かに、不審者に気を付けろとか、知らない人についていくなとかは具体的現実的ではない。犯罪者は不審者とわかる格好はしてないし、子どもを巧みに騙して連れて行くもの。防犯ブザーなんかも、犯罪が既に起きてしまったときの対応な上、実行出来るか不安がある。
つまり、犯罪が起きやすい場所【入りやすく、見えにくい】に注意出来る景色読解力と、普段から知らない大人と話す時は主導権をしっかり握れる(ちゃんと情報を引き出せる)コミュニケーション能力を身につけておく必要がある。
内容はやや冗長なところもあるが、子どもを持つ親として必読書の一つだと思った。
メモ
◆入りやすく見えにくいところに注意
ガードレールや植込の途切れた所、幹線道路から1本入った道、木々に覆われた公園、フェンスのない遊び場、男女の入口が隣接したトイレ
◆110番を依頼する場合は名指しで。あなた!と
◆110番のハードルは高くない
◆知らない人とも堂々と話す。様々な人と話をし、コミュニケーション能力、交渉能力(相手から情報を引き出す能力)を上げると騙されにくくなる。
◆知らない人とは話さないではなく、世の中にはいい人も悪い人もいると教える。
◆景色読解力。人は見た目ではわからないが、景色は見た目でわかる。
◆知らない人についていかないという事が強調されるあまり、一旦知った人になると安心してしまう落とし穴。宅配業者のユニフォーム、偽装ID。
→危ない場所で声かけられたら警戒。
◆自分が主導権を握る。自分の情報に基づく、自分から提案、自分から調べる。
◆割れ窓理論 少しの綻びから犯罪を呼び込む。地域の人々によって管理されていると感じられる雰囲気が犯罪防止に効果的
Posted by ブクログ
■心理的に「見えにくい」二つのパターン
・荒廃した場所(管理が行き届いていない場所)
~割れ窓理論
・不特定多数の人が集まったり,行き交う場所
~他人への関心が分散
■「傍観者効果」
・皆が気付いていて誰も何も言わないということは,たいしたことはないのだろう
■「責任拡散論」
・自分だけが責められることにはならないだろう
■「クライシス管理」より「リスク管理」
・防犯知識がない人ほど,クライシス管理を志向
■危ない場所を見分ける基準は「入りやすい」「見えにくい」
■「人」ではなく「場所」に注目するアプローチの方法を「犯罪機会論」という。
■「人」に注目するアプローチの方法を「犯罪原因論」という。
・同期を確定するのは容易ではない
■犯罪研究の先進国では「犯罪原因論」よりも「犯罪機会論」
の方が社会に深く浸透
■「不審者」という言葉は日本だけ
・人に注目するため「不審者」という言葉が生まれる
■犯罪抑止の三要素(抵抗性,領域性,監視性)
■抵抗性:犯罪者から加わる力を押し返す性質
・恒常性(ハード面:ドアロック,強化ガラス,非常ベル)
・管理意識(ソフト面:リスクマインド,指差確認,整理整頓)
■領域性:犯罪者の力が及ばない範囲を明確にさせる性質
・区画性(ハード面:ガードレール,フェンス)
・縄張り意識(ソフト面:パトロール,防犯看板)
■監視性:犯罪者の行動を見張り,犯行対象を見守る性質
・視認性(ハード面:ガラス張り,防犯カメラ,ミラー)
・当事者意識(清掃活動,挨拶運動)
■地域安全マップの作成により「景色解読力」が向上するほか,二つの副次的効果もある。
・学力向上 ・他人との絆
■軽微な犯罪をなくせば重大な犯罪も減る
■フィリップ・ジンバルドーの「監獄実験」
■きれいな車を放置すると何も起こらないが,フロントガラスを割った車を放置すると部品が盗まれる(窓が割れていると盗むという行為の心理的障壁が一段下がる)
■ケリングの「割れ窓理論」
Posted by ブクログ
防犯について、子どもに間違った知識を植え付けてしまっていました
暗い道、知らない人、そんなことに気をつけてと言ったところで子供には見分けなんてつけられない
危ない人ではなくて危ない場所を見分ける力を養うことが大切、犯罪学という学問ではそれが世界標準で、日本は完全に遅れている、と言うことがわかりましたし、自分もその1人でした
危ない場所を子供と一緒に現場を歩きながら認識させること、何気なく伝えて無意識のうちに根付かせることが大切であることがわかりました
また、自分のことだけではなくて、地域全体で取り組むことが重要であると言うこと、そうすることで、その街全体な雰囲気が常に管理が行き届いていて、犯罪を犯そうとしている人間を思いとどまらせることにつながることもわかりました
さっそく、実践して行きたいと思います
Posted by ブクログ
よくチェックしている本屋さんでは現在夏休みというのもあって、子供の安全本を取り揃えている。
その中の一冊である本書によると、どうやら我々が子供の頃に習った防犯対策は、実は危険性が高いとのこと。昔の常識は今の非常識…。早速、脳内アップデートに取り掛かろう。
・暗い道
・人通りの少ない道
・死角のある場所
・知らない人
・不審者
大体は上記事項に注意するよう教え込まれてきたと思うが、これらが一概に安全とは言い切れないらしい。「人通りの少ない道」を例に挙げるならば、犯人は人で賑わう駅前などでターゲットを絞り、人が途切れたところまで追跡する。
「魚がいそうな場所に釣り人が集まるように、子供がいそうな場所、つまり人通りのある道に犯罪者は集まります」
さすが、「地域安全マップ」の考案者。注意喚起にめちゃ長けている。
「知らない人」の定義付けも難しく、子供たちにとって少し話しただけの人は、「知っている人」に分類されてしまうそうだ。
何かあった時にこのことを知ると、目の前が真っ暗になりそう…。「何か起こる前に」と言っても、子供に何て説明すれば分かって貰えるのだろうか。都度立ち止まり、頭を捻っていた。
本書は犯行現場となりうる場所に注目する「犯罪機会論」について、分かりやすく解説している。
ニュースにおいても犯行動機が大きく報道されがちだが、犯行を未然に防ぐという意味において、「犯罪機会論」は世界的に着目されているという。「知らない人」や「不審者」ではなく、「犯行が起こりうる場所」を見極めるというわけだ。(言ってしまえば、私的な動機など知ったこっちゃない)
2015年刊行と少々前だが、著者の指摘する点はあまり浸透していないような気がした。OECD加盟国の中でも、日本は突出して子供にかける予算が少ないとあり、こうした点も当時に限った話とは思えなかった。
全体的に本当に分かりやすく、親御さんが正確に伝える良い手助けになるだろう。子供の足で移動できる範囲を一緒に確認していくという活用術もある。(本書の注意ポイントに基づいて自分も周ってみたが、まぁまぁ危険地帯だということが判明した汗)
「地域安全マップ作り」を学校のアクティビティに導入することも推奨されている。作成の過程で、クラスメートや地域住民との結びつきも強くなるというし、これで真に「知っている人」も増えたりして。もちろん油断大敵ではあるが~_~;
「犯罪機会論」を意識の中に取り込んでおけば、より効率良く・より正確に防犯できる。見慣れた景色にも、防犯・防災フィルターが掛かって注意深くなる。防犯カメラだって理にかなった場所に設置できる。(不適切な場所に設置したせいで、ただの「捜査カメラ」で終わっているのが現状らしい…それこそもっとスムーズに捜査を進められたと思うと、悔しくないか?)
「アメリカでは」「韓国では」と”出羽守(でわのかみ)”チックな文面ではあったが、海外の実例で安全が守られているなら、ここは皆んなで脳内アップデートしていくのが得策だろう。
Posted by ブクログ
犯罪者は「入りやすく、見えにくい」場所を好む
例として:
ガードレールや植え込みがない道
以下のようなものが包囲されている場所
→雑草の生えている花壇
→ごみ収集日が守られていないゴミ捨て場
→放置自転車や放置自動車
→壊れたフェンス
→電球の切れた街灯
錆だらけの遊具がある公園
男女の入口が近いトイレ
後を付けられている気がする時は歩く側を変える
Posted by ブクログ
犯罪機会論
弾丸(犯罪の動機)は誰もが持っており、引き金を引く機会を与えないようにする
•人ではなく場所を見極める(入りやすく見えにくい場所)
•犯罪を起こさせない環境作りの大切さ
•地域の繋がり、行動が防犯に役立つ
防犯の考え方について目から鱗だった。
Posted by ブクログ
確かに明らかな不審者って、ほんとに犯罪犯すジャンルの人ではないかもしれない。
人間に欲望がある以上、人は誰しも犯罪を犯す要素を持っており、その大きさとタイミングが合えば犯罪に至る。欲望の大きさは傍目では分からないため、タイミング(機会や環境)を正しく捉えることで犯罪被害を減らそうという考え。
その通りだ。
家の近くに、この本の中で挙げられたような危険な公園はある。危険な道路もある。
娘に危ないって何?と聞いたところ、不審者に気をつける、暗いところ、人が少ないところにはいかない、という回答だった。まさにこの本に書いてあったとおりだ…
家族と家の近所を歩くときは危険なスポットに注意して、家族と会話をしよう。
Posted by ブクログ
犯罪機会理論と言うのは参考になりました。
また、不審者に対して注意すると言うことがいかに難しいかも理解できました。見るからに怪しそうな人なんて分かりません。更には、防犯ブザーや護身術も、しなくて良いと言う訳ではないですが、車にはねられてからどう受け身をとるか考えているようなものというのも納得です。危なそうなところには近づかない。犯罪者が好みそうな場所を避ける。これが大事なんだと思いました。勉強になる一冊です。
Posted by ブクログ
犯罪機会論
場所に注目するアプローチ
犯罪原因論
人に注目するアプローチ
原因は本人さえ分かってないことも多く後付け的なことも多々ある
刑務所の中にはなぜ?というほどの好人物もいる。何かのきっかけで犯罪を起こしてしまう。何かのきっかけをなるべく与えないようにするのが機会論
割れ窓理論
実際、同じ場所に車を放置しても、綺麗な車は何もされず、ガラスが割れた車は次々と部品が盗まれた。
落書きされたNYの地下鉄は犯罪が多かったが、ラクガキをなくすこと、また無賃乗車を取り締まることで大きな犯罪が減った。
ゴミを拾う活動も同じとあったけど、ということは今インバウンド効果でゴミが溢れてきてる日本の観光地はどんどん治安悪化するんだな…と思った。
環境が大きく犯罪に作用するっていうのはわかっていたようで、新しく何かを作るときにはあまり考慮されてないのか…と驚いた。
まがさす、ってやつに作用するんだろうな…
環境が良ければ、まがさしても、ストップがかかるけど、環境が荒れてると、えーいやっちゃっえ!ってなるんだね…やだー!
Posted by ブクログ
おすすめで流れてきた本書。
場所に注目して児童誘拐の可能性を説明する本だ。
いわく、入りやすく、見えにくい場所であるとのこと。
実際に誘拐がおきた現場の写真もあり、こわごわ、しかし興味深く読んだ。
子供自身には悪い大人とそうでない大人の見分けなどつけられないし、何かあったときに自力で身を守るのもまず難しい。
防犯ブザーは意味なく毎日鳴ってるし(作者いわくオオカミ少年。たしかに)、顔見知りの大人の犯行だって少なくない。以前にはPTA会長が誘拐したこともあったのだから…。戦慄の事実だ。
私は日々、支援学級在籍の子供の登下校にガッチリつきそいをしている。
ふたり目が小学生になり、現在小学校の付き添い7年生であるところの私には、よく頷ける内容だった。
子どもは話を聞いてくれる他所の大人が大好きだし、自分の家族や家庭の内実も開示しまくるし、子供を騙すなんて大人には朝飯前であること、日々自分の子どもら以外から話しかけられる私にはものすごくよくわかる事実だ。
こうやって自分のような大人の目が登下校の道にあることも、相当の犯罪の芽を摘んでるんじゃないっすかー?表彰モンじゃないー?と思った。
実際、よその子の交通安全指導もやりまくっている。そこの水色ランドセルの子ーー、車来てるよーーーと叫ぶ日々。無償だし、自分の子メインではあるけど、本当に自分よくがんばってるなと思った。
自分語りばかりになったが、本書は2015年刊行なのでやや内容が古かったり、謎のジェンダーロールがあったりする(男性ホルモンにより攻撃性が高く犯罪が多いって。それは女性を獲得するための競争ゆえだ、って、そんな理由堂々と語る社会はもうやめません?)が、公園やトイレ、公共の場ですら犯罪は巧妙に行われてしまうのは変わらないだろう。
抑止の目を、みなの関心を、と強く願う。
落書きが放置されて、自転車やビニール傘が捨て置かれた街は、周囲の人の関心の低さを表して犯罪を起きやすくさせてしまう。
いわゆる割れ窓理論だけど、これ当たっているよね。
怖いのは周囲の無関心。
みんなで子供を守ろう。
そして犯罪のキッカケとなるだろう出来事を減らし、犯罪をうまなくてすむよう、社会を安定させて心身を整えやすい世界にしていくしかない。
そのためにも、無関心を脱出しなくては。
Posted by ブクログ
関係者から講演を聞いて、内容を忘れないうちに読んだ1冊。
「犯罪機会論」と「犯罪原因論」を考え分けることが、少しできるようになった気がする。
犯罪とは無縁ではないことを自覚して、地域を歩いてみようと思わせられた。時々強引なところもあったかな…