あらすじ
かめくんは、自分がほんもののカメではないことを知っている。カメに似せて作られたレプリカメ。リンゴが好き。図書館が好き。仕事も見つけた。木星では戦争があるらしい。第二十二回日本SF大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
おもしろかった。
途中まではどこかsfっぽいスケールの大きさを感じさせつつもかめくんの何気ない日常を描いていたが、終盤でのは少し背筋が寒くなるような展開になっていて思わず鳥肌がたった。
また、さいごにこの小説がかめくんが書いたものであると分かった時、一気にこの作品が切なさを帯びるのが印象に残った。
周りの人物はかめくんと一定の距離をとっていて、それゆえなのかお互いの関係が身軽なのが私にとっては心地よかった。そのなかで、時折彼らが見せるかめくんを気遣う描写が愛おしく見えた。
バットエンドのように捉えられるが多いと思うこの小説。
私も同意見だが、くらげ荘に移ってからは、少なくともかめくんは幸福に見えた。
SFをあまり読んだことない人でも手の取りやすいと思う良い作品でした。