あらすじ
この地方で、かつて隆盛を極めたエアーズ家は、第二次世界大戦終了後まもない今日では斜陽を迎え、広壮なハンドレッズ領主館に逼塞していた。かねてからエアーズ家に憧憬を抱いていたファラデー医師は、ある日メイドの往診を頼まれたのを契機に、一家の知遇を得る。物腰優雅な老婦人、多感な青年であるその息子、そして令嬢のキャロラインと過ごす穏やかな時間。その一方で、館のあちらこちらで起こる異変が、少しずつ、彼らの心をむしばみつつあった……。悠揚迫らぬ筆致と周到な計算をもって描かれる、たくらみに満ちたウォーターズの傑作。ブッカー賞最終候補作。
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Posted by ブクログ
「茨の城」にいろんな意味でときめいたり沈みこんだりしながらニヤニヤ読み終わって、「半身」だと不安や憂鬱や、お前そっち行ったら危ないだろ!って心配やどんよりした共感を持ちつつ、一気に突き落とされてしばらくぼんやりした、
ということがあったので、サラ・ウォーターズは気軽に読めないし読んだ後楽しくはならない、という印象。
だから覚悟はしていたはずなのに、いろいろ予想以上だった。
「一人称・回想・伝聞まじり」の語り方は大好きで、巧いことやられると本当にすっかり騙されたりまんまと感情移入してつらくなったりするけれども、まさにそんな状態。
登場人物はだいたい厭らしい部分や小汚い部分の方が多くて、それでもだんだん好きになったり心配したりするようになる、というのが陰影のある描きかた、ということなのかと今回思った。
あと「信用できない語り手」を実感。
Posted by ブクログ
ミステリじゃなくてホラー…なのか…??
どんな種明かしが来るのかと、息せき切って最後まで読み通した。---が…。
純然たる超常現象だったんだろうか?
ポルターガイストの原因といったら、思春期の少女が定番だけど?
医者が人を暗示にかけるのも簡単かも?
と、ひとしきり思いめぐらしてしまった。
Posted by ブクログ
3+
夜愁は未読だが、その前2作とはだいぶ趣が違う。
前2作のようなどんでん返しがあるかと思いきや、そういったものはなく、人間ドラマが中心。娯楽的要素は少ない。不可解な事件も解決されるわけではない。
が、やはりストーリーテラーとしては一級。
今後はこういった人間ドラマ方向に向かっていくのかもしれないが、期待できる。
Posted by ブクログ
え、超常現象?
どこに行きつくのかわからない。この著者のことだから、きっとどこかで転換点があるのだろうけど。
『半身』、『荊の城』を読んだことあるけど、相変わらず独特な雰囲気だなぁ。クラシカルな映画みたい。
■このミス2011海外7位