あらすじ
二年前に失踪して以来、行方の知れなかった女子高生バレリーから両親に手紙が届いた。元気だから心配しないで、とだけ書かれた素っ気ないものだった。生きているのなら、なぜ今まで連絡してこなかったのか。失踪の原因はなんだったのか。そして、今はどこでどうしているのか。だが、捜査を引き継いだモース主任警部は、ある直感を抱いていた。「バレリーは死んでいる」……幾重にも張りめぐらされた論理の罠をかいくぐり、試行錯誤のすえにモースが到達した結論とは?アクロバティックな推理が未曾有の興奮を巻き起こす現代本格の最高峰。
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Posted by ブクログ
掘り出し物ミステリー探しの一環で読んだ作品。
私にとって、コリン・デクスターは初モノ。
本書には、各章の頭に様々な本から引用された寸言が配置されている。
そして、第32章には、コナン・ドイル『四つの署名』の「ありえないことを除去してあとに残ったものは、どんなにありそうにないことでも、真実に違いない」、実はこの作品の骨子となる言葉でもある。
主人公のモース主任警部は、同僚刑事の死によって、2年前に失踪した娘の事件を引き継ぐ。それは、つい最近両親に無事を知らせる手紙が届いたからだが、モースは直感的に「彼女は死んでいる」と推理する。
では、その手紙は誰が何のために書いたのかという疑問を軸に、関係者をあたるモースと相棒のルイス。そして、関係者の中から新たな殺人事件が発生。
モースの無尽蔵に湧き出てくる仮説は、次々と明らかになる事実によってことごとく砕け散る。実はその過程で、本当の真実に近づいていたのだが…
帰納法的推理を重ねながら、モースが最後に到達した真実とは?
新機軸の本格推理小説です。
本書の最後の一文。
「家出娘たちの中のあるものは、決して帰ってこなかった…永久に」
さて、娘は殺されたのか、それとも…