あらすじ
全てに無気力な私が拾った小さな蟹。何でも食べるそれは、頭が良く、人語も解する。食事を与え、蟹と喋る日常。そんなある日、私は恋人の女を殺してしまうが……。私と不思議な蟹との、奇妙で切ない泣けるホラー。
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Posted by ブクログ
かにみそ
たった100項と少しのお話、だけど
気付けば蟹の魅力に惹かれ 蟹が好きになっていた
ずるいよ、こんなに可愛いなんて
苦しかった。怖いだとか、グロテスクだとか。そんな言葉では表現できない作品である。言葉に詰まる。なんと言えばいいのかわからなくなってしまいそう。
殺すも、殺されるも、どちらも愛かもしれない
終わりなんて来てほしくなかった、逃げてほしかった
例え世界の理からは外れていたとしても、罪だとしても。それでも生きていて欲しかった
魅力的すぎるんだよねぇ、蟹さん。大好き。
ぜんぶ食べて。おまえに食べられるなら、悪くない。
だってこのままじゃいられないからさ。
生きることは食べることだよ。そうでしょ?
Posted by ブクログ
蟹が人間を食べる話。
かなりグロい話かと思いきや、
蟹の人柄(なにそれww)が良くて
何だか可愛くて普通に読み進められた。
最後・・・切ない!
個人的には書下ろし併録の中編
「百合の火葬」
の方が好き。
こちらは植物である百合の花が人間を惑わす話。
どちらも素晴らしい話だった!
自作の「いぬの日」も期待ができそう。
Posted by ブクログ
とても面白かったです。
切なくなるホラーでした。
体の大きさを自在に変えて、人を食べる、喋る蟹と主人公の日々「かにみそ」。
蟹めっちゃいいやつで、無気力な主人公がどんどん「生きよう」という方向へ変わっていくのが蟹のおかげというのが切なくて…
蟹との別れが悲しかったです。蟹が「体が必要としてるものってね、甘いんだよ」と言った通り、蟹はすごく甘かったんだろうな。
「百合の火葬」の方が怖かったです。
群生している白い百合と、その側で自失している人たちを想像するとゾッとします。
蟹は怒ってる人を食べたくなり、百合は悲しい記憶を吸う。
切ないけれど、とても好きな空気のお話でした。
「ねぇ、寒いとさみしいってきっと語源が一緒だよね」
Posted by ブクログ
ホラーというよりは筒井康隆のシュール小説っぽい。
猫を飼ってる人間としては、手の中に小さい命を預かることの恐ろしさみたいなものは身に覚えがあって、ラストシーンのしんどさはよくわかるつもりだけど……うーん、ホラーなんだろうか。
ホラー小説大賞ってことで手に取ったから、出会い方が悪かったかもね。