あらすじ
自らの頭脳に見合う難事件のない無聊の日々を、コカインで紛らわせていたシャーロック・ホームズ。唯一の私立探偵コンサルタントを自任する彼のもとを、美貌の家庭教師メアリーが訪れる。彼女の語る事件は奇妙きわまりないものであった。父が失踪してのち、毎年、高価な真珠を送ってきていた謎の人物から呼び出しの手紙がきたというのである。ホームズとワトスンは彼女に同行するが、事態は急転直下の展開を見せる。不可解な怪死事件、不気味な〈四の符牒〉、息を呑む追跡劇、そしてワトスンの恋……。忘れがたき余韻を残すシリーズ第2長編。/解題=戸川安宣、解説=紀田順一郎
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Posted by ブクログ
おどろおどろしい事件と謎解き、スリリングな捕物劇が次々に展開され飽きさせません。
ホームズの推理の冴えはもちろん見どころだけど、ワトソンの鬱々とした葛藤やラブロマンスもいい味出してます。
コカインにはじまりコカインに終わったり、植民地が当たり前にでてきたり、ナチュラルに人種差別的な表現がでてきたり、今読むと驚くことも多いですが、当時のイギリスの「かんじ」を知ることができるのもホームズの面白いところかもしれませんね。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズ第2長編。
退屈を持て余すホームズの元にある依頼が舞い込む。失踪した父、謎の贈り物に謎の人物からの呼び出し。その先で起こる怪死事件。
意外と読んでなかったホームズシリーズ読み始めてみた。割と短めでサクッと読めて面白かった。
初手コカインでキマってるの笑う。
人間の複雑さを感じられる話だった。犯人の淡々とした所や覚悟が決まってたり誓いを曲げない所は嫌いじゃない。執念凄かったけど。
トンガのミスが無ければ全然違う話になってたよなあ。未開人とか描写がめちゃくちゃ貶めてる。
犬が可愛かった。
ワトスンくんの恋が実って良かったね。奥さんの名前失念してたから丁度何も知らず読めた。
神に感謝。
訳注で色々と設定がガバってるらしくて意外だった。ワトスンの傷は足のイメージのが強かった。ロザリオと王冠は謎すぎた笑
個人的には四つの署名のが聞き慣れてるし語感が良い。タイトルにも派閥というか論争があるらしいのが面白かった。
Posted by ブクログ
コカインの描写ではじまり、コカインの描写でおわります。退屈な世界で、頭脳労働にたずさわっていないと生きていけないというホームズ。人間としてコカインはよくないのかもしれませんが、日常に飽き飽きしてしまうほどの頭脳を持つというホームズの非凡さを感じるようで、名探偵としては魅力的な要素にも思えてしまいました。
事件は、モースタン嬢がホームズの元に相談にやって来ることではじまります。彼女の父モースタン大尉は、十年前、イギリスに戻ったという電報の後、消息を絶ちました。そして、六年ほど前、≪タイムズ≫にミス・メアリー・モースタンの現住所を知りたいという〈尋ね人〉の広告があってから、毎年おなじ日に真珠が一粒、モースタン嬢に送られてくるようになりますが、けさはライシャム劇場に来てほしいという手紙が届いたのです。友人二名を連れてきてもよいということで、ホームズとワトスンも同行します。
呼び出したのはサディアスという人物で、モースタン大尉の友人ジョン・ショルトー少佐の双子の息子でした。知らされた財宝の存在。そしてサディアスの兄バーソロミューの死。事態は急転直下の展開を見せます。
現在では追跡劇もありつつ、最後に、事件のきっかけとなった過去が犯人の口から詳細に語られます。犯人の言葉ということもあり、仲間を思う犯人の気持ちが強く感じられ、少し同情もしました。それでもやはり、犯人が行ったことは、いけないことだと思います。
また、事件の進行とともに、ワトスンとモースタン嬢の恋愛も進行していきます。途中で“彼女の手は私の手のなかにあった(p66)”とあり驚きましたが、最後の方で“うれしいことに、モースタン嬢がぼくとの結婚を承諾してくれたんだ(p224)”とあり、さらに驚きました。まさか結婚までいくとは思いもよらず、モースタン嬢がどうして承諾したのか不思議に思いました。