【感想・ネタバレ】14歳〈フォーティーン〉満州開拓村からの帰還のレビュー

あらすじ

「昭和」を見つめ、一貫して戦争や国家を問うてきた著者の原点となったのは、1945年、14歳での敗戦体験だった。家族と渡った満州・吉林。敗戦後の難民生活は一年に及ぶ。「棄民」ともいうべき壮絶な日々、そして一家での日本への引き揚げ……。14歳という多感な少女が軍国少女となり、日に日に戦争に巻き込まれていく様を、自身の記憶と膨大な資料から丁寧に回顧し綴る。【目次】少女の行程/澤地家家系図/吉林市の街中の地図/はじめに/第一章 十四歳の少女/第二章 秘密/第三章 王道楽土/第四章 戸籍謄本/第五章 学徒動員・無炊飯/第六章 水曲柳開拓団/第七章 八月十五日・敗戦/第八章 いやな記憶/第九章 蟄居の日々/第十章 内戦下/第十一章 旧陸軍兵舎/第十二章 日本へ/おわりに

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Posted by ブクログ

14歳の自分を思い出そうとしても、大した記憶が残っていない。中学生だから毎日部活に明け暮れ(軟式テニスの強豪だったから、朝練から夜中までボールを追い続けていた)、少しでも頭の良い高校に推薦で入ってやろうと、勉強もそれなりに頑張っていた頃だ。丁度、昭和天皇が体調を崩されて、毎朝ニュースで下血した量を放送していたから、朝からどんよりした気持ちになっていた事は覚えてる。そして昭和の時代も終わった。14歳は今の自分から見たらまだまだ子供だが、大人の扉のドアノブに手をかけたぐらいだろうか。中には早くにドアを開けるものもいたし、私の様に何時迄も子供っぽい人も居ただろう。それでも身体は驚くほど成長したするし、中学入学当時155センチだった私の背は卒業時には170センチを超えていたのを未だに覚えている。
本書はその14歳という年齢を、かつての日本が中国に設立した傀儡国家である満洲国で過ごした少女の話である。筆者の当時の記憶を辿ったノンフィクションであるが、執筆時点で70年以上経過している。丁度日本が敗戦に向けてまっしぐらの時期に14歳の少女であった筆者は、日本が戦争に負けるなどとは全く考えてもいない軍国少女であった。その日本が1945年に敗戦し、終戦間際のソ連の侵攻、そしてその後は中国共産党と国民党の国共内戦に巻き込まれる、混乱した時期を少女は経験する。その中での友人や家族、中国人やロシア人との交わり、そしてそこにある悲しみ、恐怖などのあらゆる記憶を辿り、文字に起こした内容となっている。14歳という大人になりかけの時期、そして(私もそうだが)未だ社会が何ものか、戦争に負けるという事の本当の意味すらもよく理解しない時期の、少女が感じた生々しい記憶がそこに鮮やかに記されている。昔「シンドラーのリスト」という映画を観たが、前編白黒映画の中に最後に唯一色のあるシーンがあったと記憶している。本書も70年以上前のモノクロームの世界を頭の中に描きながら、所々に鮮明な色が表現され、そして記憶に焼き付いていく様な感覚がある。敗戦前から敗戦後の最も混乱した時期にあった日本が、更に混乱の中にあった中国満洲において経験した日本人が見た景色。故郷から遠く離れ、かつては支配側にありながら、敗戦と共に被支配者へと一気に転落し、最底辺の暮らしを経験した日本人。不思議と少女の目に映る風景は、記憶の中では生き生きとした描写で描かれている様に感じる。それは、大人たちが背負った責任感もなく、ただ単純に社会から未だ離れ、成長著しい時期と重なったからであろうか。少女は希望を失わず、どん底の生活の中でも、生活の術を探し、周りの同じ様にどん底の大人たちに囲まれながらも、しっかりと大地に足をつけ生きている。
戦争を経験した世代はもう殆どが鬼籍に入っている。筆者と同じ年頃で今も生きているとすれば100歳近い年齢だろう。誰かがこうした記憶を次の世代に繋いでいかなければならない。今の日本が経済的に発展を遂げ、憲法のもとで平和を維持し続けている。そこに辿り着けたのは、過去のこうした歴史の積み重ねの上にある事を、日本人は忘れてはならない。そして、これから先将来を担う次代の若者たち、特に筆者が少女だった頃の年齢の世代に読んでもらいたい一冊だ。

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2026年04月05日

Posted by ブクログ

1930.9.3生まれ(俵萠子さんと同じですね)ノンフィクション作家澤地久枝さんの「14歳 満州開拓村からの帰還」(2015)を読みました。敗戦後外地からの引き揚げがいかに大変かは、藤原ていさん(1918.11.6~2016.11.15)の「流れる星は生きている」などで伺ってますが、この作品は、著者が14~15歳で、満州において、安楽な暮らしから一夜にして修羅場の世界(襲撃・強姦・栄養失調・・・の世界)に叩き落とされた経験を語っています。「女は髪を切れ、男装しろ!」大変な時代でした。

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2017年06月01日

Posted by ブクログ

読みやすいとは言い難い本であった。
少女の経験が断片的にただ淡々と語られてゆく。
それは作者の記憶の中の恐怖と関係しているように思う。
執筆することも苦痛であっただろう。
わたしは日本が戦争に向かっていっている気がしてならない。

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2015年12月22日

Posted by ブクログ

満州での敗戦から一切の感情なくした14歳の少女が淡々と事実を記す形式で綴られている。忘れてはならない歴史。この苦難の先に我々の平和があることを忘れてはならない。

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2015年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者自身の14才当時の満州での日常が語られている。
どんな生活をしてたかが如実にわかる。

著者自身がソ連兵にレイプされそうになったシーンも描かれていてその後の人生にも影響があったとある。
中国人の家に住み込んで働き手として労働したり。
シラミだらけの体でいても平気になっていたり…。
下の弟たち(?)を伝染病で亡くしたり。

戦争は弱き者から犠牲になる。

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2015年08月09日

Posted by ブクログ

戦争についての著書はいくつもありますが
満州からの引き上げについての本というのを
私は読んだ事がなかったので読んでみたいと思っていました。

この本は著者が優しい口調で(少女の目線)書かれていたので 読みやすかったです。

読み終わって
しみじみ 子供がどれだけ洗脳されやすかったのか
本土と違う 終戦後の恐怖の大きさが
わかりました。

本当にもう二度と戦争はしてはいけませんね。

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2022年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文字通り、また、筆者が自ら語った通りの「覚え書き」による体験記。その名の通りの「覚え書き」であるため時系列の前後が多々あり少し読みにくさを感じるが・・・、内容については何の不満も無し。

 無知な少女が大本営発表や軍国教育のために思想を染められてゆく様が、気味悪いくらいにリアルに伝わってきた。

ンタテイメントではないので読み始めるには少々「とっつきにくさ」を感じるかもしれない。しかし、日本人はこの本を一度読んでおく価値はある。

★3つ、7ポイント半。
2018.10.29.古。


「先生方の招集があいつぎ、空襲は日本本土全体にひろがる事態にあって、戦争が末期であると考えなかったのは、少女だけではなかった。自分の身が痛みを感じなければ、感情は眠ったままである」
 ↑↑
当時の(満州に住む)一般市民の心理をうまく言い当てているのだろうな。
また、、、南方諸島で多くの兵が敵ではなく飢えとと闘っていた時分の一部上級軍人たちも同様だろうね。


※最後、筆者による痛烈すぎる現代社会への批判。
澤地さんの想いは、弟の孫へ少しは伝わったのだろうか・・・。

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2018年10月29日

Posted by ブクログ

14歳の頃の自分と社会を書くというから、自伝的な小説で、中高生にも薦められる内容かと思ったが、書き方はあくまで大人向けで、中高生にはちょっと難しい。
著者は当時としてはごく普通の軍国少女だし、恐ろしい目にあったとはいえ、比較的恵まれていた方だと思う。
だから、凄まじい体験を期待すると肩透かしにあう。
しかし当時を生きてきた者にしか書けないディテールには、やはり衝撃を受けた。月経の時に使う脱脂綿が40歳までしか支給されず、「40以上は垂れ流せというのか」と言っていた、など戦局に臨む男にはどうでもいい些細なことは、記録に残りにくいが、如何に普通の人間の暮らしがないがしろにされていたかを知ることのできる、貴重な証言だ。また、そういう日常の困難は、若者にもイメージしやすい。
できることなら、今生きる14歳が読める文章で書いてほしかった。そうすれば、未来の戦争を抑止する力になっただろう。

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2016年01月02日

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