あらすじ
功利主義的読書とは何か? それは本の大海から、本当に使える叡智を抽出する技術だ。聖書、資本論、名作古典小説からタレント告白本まで、具体的効用の薄いとされるジャンルの書物をあえて選択。紙背に隠れたメッセージを読みとり、過酷な現実を戦い抜く方法を鮮やかに提示する。世界の非情さと教養の豊穣、いずれをも知りぬく当代随一の論客による、挑発と知的興奮に満ちた読書指南。
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Posted by ブクログ
タイトルの通り、本著は「役に立つ情報を引き出すための読書術」の本。紹介されているのはマンガ、小説、暴露本、哲学書、資本論に新約聖書と多岐。(シャングリラの出来が暴れすぎで、購入を迷っていた、池上永一の「テンペスト」も)。高橋和巳や五味川純平、ドストエフスキーなどすぐ読んでみようかという気になりましたね。
Posted by ブクログ
功利主義、いわゆる読書の為の読書ではなく、日常で益となるという観点で本が紹介されている。普通のレビューとは違って非常に思想的かつ哲学的な要素を盛り込みながら各書を紹介している。
そして本書のまえがき・冒頭でも述べられているように、確かに読書それ自体は、特に目的意識の欠いた読書は他人の頭で考える域を出ない。
さらに言えばある特定の視座に立たない読書法はともすれば自分の思考が大きく揺さぶられ、それだけでなく揺さぶられた思考に対しての責任は誰にも追及することができないという一種の危機意識を私は感じた。
確かに読書を通して知識は着くが、限られた時間の中でいかに、そしてどのような本を読めば良いのか。そのヒントを本書から得ることができると思う。
Posted by ブクログ
本から学ぶためにはどのような読み方をすればよいかについて書かれたもので、目的を持って読書をするにはどうしたらよいか、という内容ではない。何故なら、専門書などを除いては、その目的に沿った価値を提供する本を選ぶことは難しいからだ。
それにしても、著者はいわゆる「ネオリベ」が今日の経済閉塞の根源ととらえているらしく、「新自由主義モデルでは、規制緩和ではなく無規制が、小さな政府ではなく無政府が理想となる」と書いているが、これは誇張であると思う。「ネオリベ」に対する有効な理論として宇野弘蔵をあげているが、恐慌の原因は資本主義に内在する不可避なものだということが正しいとしても、それが労働価値説で説明できるという理論には納得できない。何故なら、労働の価値を絶対的に測定することは困難であると考えるからだ。今日の労働とは肉体的なものもあれば知的なものもあり、市場における価値も一義で定義できるような単純なものではないと思う。