【感想・ネタバレ】荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】のレビュー

あらすじ

【帯カラーイラスト付】全く人気が衰えることなく長期連載が続く『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦。「漫画は最強の『総合芸術』」と言い切る彼が、これまで明かすことの無かった漫画の描き方、その秘密を、作品を題材にしながら披瀝する! 絵を描く際に必要な「美の黄金比」やキャラクター造型に必須の「身上調査書」、ヘミングウェイに学んだストーリー作りなど、具体的な方法論からその漫画術を明らかに! 本書は、現役の漫画家である著者が自らの手の内を明かす、最初で最後の本である。【目次】はじめに/第一章 導入の描き方/第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」/第三章 キャラクターの作り方/第四章 ストーリーの作り方/第五章 絵がすべてを表現する/第六章 漫画の「世界観」とは何か/第七章 すべての要素は「テーマ」につながる/実践編その1 漫画ができるまで――アイディア、ネーム、コマ割りの方法/実践編その2 短編の描き方――「富豪村」(『岸辺露伴は動かない』)を例に/おわりに

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ネタバレ 購入済み

漫画ができるまで

一部ご紹介します。
・最初の1ページに「5W1Hの基本」「自分ならではの個性」「同時に複数の狙い」「全体の予告」
・漫画=「キャラクター」+「世界観」+「テーマ」+「ストーリー」+「セリフ」+「絵」
・悪のキャラクターの魅力の一つは、人間の秘められた欲望を存分に発揮することだ。
自分にはできないことをやってのける、その行動にカタルシスを覚えるものだ。
・社会のルールから認められていなくてもかまわない。
たとえ孤独であっても大切なものを追い求める。
これが最も美しい姿ではなかろうか。
・身上調査書は、キャラクターの属性を可視化させる。
これがあると、キャラクターを考えながら同時にストーリーが出来上がることもある。
・脇役キャラクターの基本的な動かし方は、その欠点に当たる部分を克服していく。
敵役なら、最初は敵対するけれど、次第に主人公と友達になるなどだ。
・ストーリー以上にエピソードが人の心を捉える。
「起承転結」は人生においても、日常においても、全てに関わるものだ。
「常にプラス」。トーナメント方式や双六など。
スタート時はマイナスでも、プラスに向かっていくならばよい。
「常にプラス」は大事だ。読者の心理状態もいつもプラスになるからだ。
エンターテインメントで求められるのはサクセスストーリーであって、厳しい現実ではない。
芸術ならリアリティーを極限まで追求してもいいのだが。
あえて「マイナス」を描くこともある。
例えばゾンビ映画など。
・セリフは自然体が一番。
自分の人生に関わっているような考え方を、
普段しゃべっているような、
分かりやすい言葉で伝えていくのが一番だ。
そこからにじみ出てくるものが必ずある。
それが自分の世界を表現することにつながる。
謎を追うことによって、人間の本能の中にある不安や好奇心、恐怖を表すことができる。
どんなものであっても、作者の生活に密着しているところから着想を得るべきである。
・自分の体験、考えだけではやがてアイディアは尽きていく。
だから、色々な本を読んだり、映画を観る。
色々な人と会う。
そうやって、自分の世界を作っていく。

1
2022年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『武装ポーカー』から『第三部』まではまあまあ熱心なフォロアーだったので、本書の内容にも幾つか隙を見いだせる。

1つ目は身上調査書。本書は氏の業績の集大成ではあろうから、若き日のことをつついても仕方がないとはいえ、その頃のファンであれば、シーザー・ツェペリは誰の孫ってことになったんでしたっけ?という思いを抱くことは禁じ得ないであろう。

2つ目は達人画。本書ではそれは達筆の一種とされ、見るものを置き去りにして書いたものが悦に入っているようなよくない絵と定義されている。
今ではジョジョ立ちとして知られる荒木飛呂彦氏のモードはファッション業界から獲得したものだとされているが、本当でござるかというのが積年の思いで、端的に言うと天野喜孝の影響を受けたのではないかと睨んでいる。
手首を妙な角度にした、韻に乏しい立ち絵やバストアップというのは天野喜孝の手抜き仕事の代名詞みたいなもので、この手の量産品のせいで80年代中頃には氏の絵に熱狂していたのに80年代終盤には嫌いになっていた。FFの頃にはもう嫌い。天野喜孝の手抜き画バストアップのようなものを、ジョジョ第二部の頃、コミックの余白によく見かけた。ここでいう達人画というのはそれを指すのではないかと解釈している。

3つ目は空から降ってくる魔法の剣。「デウス・エクス・マキナ」はよくありませんよという意味の言葉だが、承太郎がDIOに勝利できた理由を明確に語れない時点で語るに落ちている。

不遜にも、アオキホノオのホノオモユルが高橋留美子やあだち充に抱いた「かわいそう」感のようなものを、荒木飛呂彦に抱いたことがある。みんな好きじゃないかもしれないけど、ボクは好きだというやつだ。創作好きなら一度や二度は密かに思い抱くものであろう。
そんな思いを抱いた相手であるがゆえに、ツッコミはしたもののいまさら減点をつけたりだとか、正解を求めるという類のものではない。長い付き合いのあったものを愛で楽しむという類のものだ。

0
2025年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度も読んで漫画の世界に没入させて頂いたジョジョの奇妙な冒険。
今までは漫画という結果しか知らなかったが、過程を詳細に記載され色んなノウハウもしれて面白かった。
主人公のプロフィール表、趣味や性格、話には登場しない食べ物の好き嫌いとかを最初に固めてキャラがぶれないようにするとか。

0
2024年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公が勝つという、着地点があるとして、どうやって勝つかは決めずにどんなキャラがいるかを考える。キャラを困難な状況に放り込んでる感じらしい。

0
2022年11月07日

ネタバレ 購入済み

なるほどと思わされました

最初に荒木先生が「ジョジョは王道漫画です」と言われていて、「え?」となりましたが読んでいくうちに「確かに王道漫画だ」と思わされました。荒木先生の漫画に対する考えがとても真摯で素晴らしいと思いました。

#深い

0
2021年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

創作をするという視点で読むと、凄く良本でした。
個人的に参考になった点は以下のところ。

・主人公に読者が感情移入できるように書く(どういう目的を持ってストーリーの中にいるのかを序盤で読者に伝える)
・主人公の動機は読者の共感や興味を得るものにする
・キャラの身上調査書は大事
・キャラクターと設定がきちんとできていれば、キャラは勝手に動く
・説明してはいけない。表現する
・読者が本を読む最大の動機は「その著者が書く世界観に浸りたい」=世界観の作り込みが大事(細かいところまでリサーチする。実際に自分が体験するのが良い。手抜き禁物)
・良い作品を読んだ時は「なぜ良かったのか」を考えるクセをつける
・取材やインプットをする為にも、〆切を守ったり一定のリズムで書き続けることが大切
・一度書いたものは忘れる
・「自分はこれを書くんだ」というテーマをきちんと心に決める
・「売れるテーマ」から考えるのは間違い
・自分が「これだ」と思うテーマならどんな「テーマ」であっても、作者自身の心を打つ「キャラクター」や「ストーリー」にのせていけば、絶対に面白い作品となって読者に受け入れられる。

自分の創作に活かしたいと思います。

0
2023年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

荒木飛呂彦の漫画術

王道漫画家になるにはかなりの努力が必要。。

最新刊『悪役の作り方』を読みたくて、まず前作を読んでみた。

天才型ではなく努力・計画型だなぁ。エイジくんではなく亜城木夢叶タイプ。
もはやここまで努力や計画ができるのは才能だろうけど…
原作と作画を分業するのはとても理にかなっているということがわかった。一人でやってる人はきっと超人なんだ。

彫刻に対する考えに共感した。彫刻の良さって本当に自分の目でその場で観ないとわからない。同じ場所にいると、細かいところの質感がわかったり、全体の迫力を感じてパワーをもらえる。
ジョジョ立ちは彫刻が基になってると思うととてもしっくりきた。目を引くのも納得!

0
2025年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

荒木先生がこういう考え、やり方で漫画を描いている事を知り、今度ジョジョを読む際に一コマずつじっくり読みたくなった。

読み手の立場になった考える

自分と違う意見に興味をもつ

0
2023年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第一章 導入の書き方
 一コマ目は5W1H
 最初の1ページは漫画の予告

第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」
 キャラ>ストーリー>世界観>テーマ +絵と言葉
 井之頭五郎>食事>B級グルメ>孤食哲学 

第三章 キャラクターの作り方
 悟空や両さんのキャラは強いが、人真似はダメ。
 性格より主人公の「動機」リストを。いいお風呂
 卑怯や間抜けは共感されない。
 最も共感するのは何かに立ち向かう勇気。
 悪キャラの背景…DIOの不幸な生い立ち
 身上調査書や履歴書…身長体重、学歴、経済状況、
  傷病、好きな音楽、ペット、将来の夢、恐怖、
  尊敬する人恨んでる人、家族関係、嗜好、習慣
  外見→最終的にはシルエットでわかる位
 短所も、克服する努力を描く

第四章 ストーリーの作り方
 少年マンガは主人公のプラス成長がヒットの条件
  (始め低くても問題ない、下がるのがダメ)
 トーナメントや双六(第3部)も、常にプラス

第五章 絵が全てを表現する
 ヒットする漫画の絵は作者が誰かすぐわかる
  (胸から上とジョジョ立ち、アポロとダフネ
 顔の長さの2分の1が目の位置
 ウエストと肘の位置はだいたい同じ
 関節はナナメ…というかネジれてつく
  (肘膝は外側高く内側低い、手足首は逆)

第六章 漫画の世界観とは何か
 読者は「世界観」にひたりたい
 組織…トップは誰でどんな人物か、組織の目的は、
  収入源、特許、ルーツや創始者、構成人数、
  社則、流通、部署、裏社会や不正行為
 歴史…どんな社会、王様は誰か、宗教、建築物、
  ファッション、インテリア、食べ物、通貨、
  生まれ方、地形、他に起こっている事件

第七章 すべての要素がテーマにつながる
 テーマはストレートに表現されない影のリーダー
 こち亀の「テーマ」は両さんの日常騒動のスケッチ
 

0
2021年11月22日

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