あらすじ
【「アメトーーク!」読書芸人でも紹介され、大反響!】絶対的な闇、圧倒的な光。「運命」に翻弄される4人の男女、物語は、いま極限まで加速する。米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)年間ベスト10小説、アメリカ・デイヴィッド・グーディス賞を日本人で初受賞、いま世界で注目を集める作家の、待望の最新作! 謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。 ついに電子版配信開始!
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Posted by ブクログ
⚫︎感想
人間の意識はどこからくる?本当にその意識は自分のものか?人が「生きる」ことを、哲学、科学、宗教、善悪…あらゆる方向から見せられ、考えさせられる一冊。
教団VS教団を通して、壮大なテーマを飽きさせずに描く筆力に脱帽した。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
ふたつの対立軸に揺れる現代日本の虚無と諦観、危機意識をスリリングに描く圧巻の大ベストセラー!
突然自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人を中心とした宗教団体、そして彼らと敵対する、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。二人のカリスマの間で蠢く、悦楽と革命への誘惑。四人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国の根幹を揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、そして光とは何か。
宗教、セックス、テロ、貧困。今の世界を丸ごと詰め込んだ極限の人間ドラマ! この小説には、今の私たちをとりまく全ての“不穏"と“希望"がある。
テレビ番組で多くの読書芸人にも絶賛された著者の最長にして圧倒的最高傑作。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白かった。
話の流れがまだ見えてこない前半に仏教哲学っぽい話がかなり長く続いたが、興味深い内容で飽きることなく読めた。この内容が後半の沢渡の過去編にリンクしていて、沢渡は手術のシーンで意識が脳を超えた(=神になった?)と思う。「人間は素粒子に過ぎない」が、素粒子で表せない意識こそが言語化できない神の領域なのではないか、みたいな話に説得力があった。
世界の出来事は全て化学反応式なのだから、生まれた瞬間に全ての運命が決まっている、我々の意識はその観客に過ぎない、という内容があったけど、これは自分もたまに思っていたことで、この考えを踏まえて「全てがどうでも良くなった」沢渡と、気楽に生きることを信者に薦めていた松尾が対照的だった。
強いて言うなら↑の量子論とか人とは神とは、みたいな壮大な話を突き詰めて欲しかったところで、最後物語の盛り上がりに使っていたのが世界企業による陰謀論だったのが、ちょっと残念だった。松尾も沢渡も死んじゃったから仕方ないけど……
Posted by ブクログ
前半は官能小説のような感じでした。性行為を重んじる宗教が2つある。松尾の宗教と、沢渡の宗教。結局は、国家がアピールをするために悪者とされている沢渡の教団Xにに攻め入ろうとするが、教団Xはほとんど悪いことをしていない。先に攻めたのは国家である。どうしても国家は教団Xを悪者に仕立て上げたいがために、テロを起こすように仕向ける。結局テロは起こらず、国家が信頼を落とすという結末。宗教の話には、政治が絡むんだなと思った。
Posted by ブクログ
宗教と素粒子学を語る部分が勉強になるような。
小説としてはそれほど引き込まれるのではないが、この語りの部分。追加すると日本人とは?という問いかけ。
面白かった。
Posted by ブクログ
・「数年前にやたら流行った小説」という知識のみ。著者の他作品は未読
・装丁と「圧倒される」という評判で、なぜかSF寄りを想像していたが、かなり現実の話だった。何と混同していたのか?2022に読んだから「現実」と感じているのかもしれない。2014年はまだ、戦争も、凶弾も、流行病と洗脳も、身近ではなかったはずなので。
・もっと理解不能で圧倒されるかと思っていたが、理路整然というか説得の姿勢を感じた。残念ながら8年後も世界は良くならないし、貧富の差も広がってしまいました。
・男と女と(美しい)レズビアンしか出てこない。これも2022年に読むから強く感じるのか?
・あとがきにあった「全体と個々を両方書こうとした」は、読みながら感じたので十分成功であった。自分も生活の中でそのカメラの切り替えをやるので、馴染みがあり読みやすかった
闇
読んでいて罪悪感を覚える程の狂気と恐怖。
頭がおかしくなりそうだった。
ただ,松尾さんの話は難しいけれど全うで,非常に興味をそそられた。
壮絶な経験をしながらも,けっして世界を恨まない。
科学や歴史に基づいた説明。
人間の醜い部分を,なんの躊躇もなく目の前に突き付けられる。
スケールが足りない
話の組み立てはさすがにキャリアを感じる。キャラクターもうまく書き分けて立っているし、役割もこなしている。
しかしながら、いかんせん筋と無関係の自衛隊機の暴走は、作者が作品のスケールが足りないことを本能的に察知して、取り繕った結果だと思う。
教祖も大して悪でなく、ただの歪んだ性癖を持つ連続殺人犯でしかない思う。
ならば、むしろ目いっぱい矮小に、教祖の最後を火の海で壮絶に死なせるのでなく、実は国際手配されていて、警察に両側から捕まれて、小便漏らしながら命乞いして、それを信者が目撃する中、だだをこねる幼児のように連行されていくとか、そういう方がいいと思う。こんな奴に我々は踊らされていたのかと、神に懺悔したくなるくらいに。むしろそこでやっと神に遇えるのでは?
あと思想的にも、戦争の原因は武器メーカーが問題なのではなくて、そういった自国の都合で戦争するアメリカという国の野蛮さと、それを容認してしまっている国際社会の世論にあると思う。
最終的な判断はその国の政府なんだから、メーカーにルールだなんだは無意味。
あと個人的にはやはり性を前面に出すのは、作家として敗北だと思う。
どの登場人物にも覚悟というものが全然なくて、残念だった。
素粒子だなんだと、色々言うけど、それなら量子超越性とか不確定な世界に入っていって、人間の意識とリンクさせて考えていって、教祖がカタストロフィーを目指していて、未然に人知れずそれを防ぐような筋で、教祖の言うことにも一理あるような作りの方がよかったのでは?
それだとあまりに漫画的かもしれないが、そもそも舞台装置にそういう趣があるから、そのくらいでもいいのでは?