あらすじ
日露戦争の戦費調達を命じられた高橋是清は、ロンドンで日本国債を売り出し、英語力と人脈を駆使して成功を収める。蔵相、首相をも歴任、金融恐慌の鎮静化にも尽力するが、経済を破壊する軍国主義の波が押し寄せる。
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Posted by ブクログ
高橋是清は、若い頃はやんちゃでしたが、歳を経るに従って、活躍の度合いが深まっていったんですね。晩年に、何度も何度も大蔵大臣に引っ張りだされたりしてね。高橋是清の様な、しっかりとした国家観を持つ人物が、跳ね返りの軍部の凶弾に倒れたのは、惜しいです。
と言うか、いまの日本に必要なのは、高橋是清の様な、国の将来を憂いて、無私の心しっかりと考えて行動する人物。党利党略で、右往左往する政治屋じゃ無いんですよね。あぁ、いま高橋是清が居れば・・・
Posted by ブクログ
明治から大正、昭和という激動の時代にこんな強い日本人がいて、今の日本があることを改めて感じました。
さらに、今の時代にぜひ、再来してほしい人物だとも思います。
政治家には見習ってほしい。
大河ドラマやってほしいです。
Posted by ブクログ
少年時代の英語学習と海外生活の内容が面白かったです。
後半は、経済用語満載で難しかったですが勉強になりました。
経済的にもギリギリの状態で日露戦争が開戦され、その舞台裏で金策に奔走した高橋是清の様子がとても印象に残りました。
Posted by ブクログ
難しい箇所もあったが、経済の話で分からない事を知りながら読めて楽しかった。
あとはどれだけ出世しても変わらない高橋是清の人間性が良いと思いました。
Posted by ブクログ
髙橋是清のキャリアはとてもユニークだ。
近代日本を支えた偉人たちは、何れもユニークなキャリア(特に海外留学、渡航経験)を持っているが、高橋是清のそれは、輪をかけた程にユニークだ。
その事実を知り、この時代だからこそ、政治、金融界の頂点に昇りつめることができたのだろう、と思ってしまう。
言い換えると、若い頃は失敗の連続なので、現代に生まれてきていたら、日本でキャリアアップをすることは先ず無理。(おそらく、海外で活躍することを選択せざるを得ないと思う)
彼のキャリアの特徴は、チャレンジすることを厭わないこと(それを良しとするマインド)。それは失敗から学ぶことができる、ということにも繋がる。
これは若くに渡米したこと、そして苦難なものであったことと関係があると思う。
彼にとっては、地位、年齢、国籍のハードルは極めて低かった。少なくとも怖さではなかった。
当時の日本には、そのような人材が必要であった、希少だった。そして、当時の偉人と言われる政治家、事業家は、ある意味変人であった是清を受け容れる度量があった。(受け容れる度量、というよりも、それは時代の要請であり、それを当時の偉人が理解していた)
そして、彼が楽観家であった、というのも大きな特徴だ。それは生まれながらにしての人格という側面もあると思うのだが、多くの経験をしている(肝が据わっている)、論理的に考えている、ということから生まれてくるものだと感じた。
日露戦争勝利の裏には、当然の如く、国家としての資金調達があったわけで、その具体的な状況について知ることができたことは収穫。
歴史の裏には必ずMoneyがあり、本著では、その動きを著者が専門的な観点からも触れている。
また、金融行政家としての不況、恐慌への対応、軍部との対立、これは、座学だけでは到底対応できず、現場経験、そこから得られる知識、また、英語を通じての内外の人脈が大きく活きていることに注目したい。
髙橋是清は、2.26事件で暗殺されるのだが、軍部の暴走が日本の歴史を変えてしまった、という事実は高橋是清のキャリア、考え方を知るにつれ、改めて強く心に刻まれた。
以下抜粋~
・訴えたのは、英米が許容できる範囲内においての日中の経済的同盟関係の構築だった。
中国の国民を尊重し、彼らの国家統一に協力することで、日中両国は経済面で西欧に対応できる第三の存在となるべきだと考えていた。
二十一カ条の要求など、軍事的な圧力は、中国におけるナショナリズムを刺激し、半日感情を煽るだけでなく、さらにはそうした二国間の緊張関係に対抗する、米英からの警戒行動に繋がるという悪循環を指摘したのである。
・是清は全部で十三項目に及ぶ高橋是清内閣改造私案を掲げた。
枢密院の改革、外交調査会の廃止、陸海軍大臣の文武官併用により参謀本部および軍令部をその下に置くこと、陸軍配備の半減、普通選挙の採用、物価の引き下げ、地租や営業税を地方費として各府県に教育補助費の財源を与える、シベリア撤兵と日露通商の開始…。
当時にしてはあまりにも過激で拙速、何よりも党の支持基盤を逸脱するようなものというほかなかった。
是清は、常に直球で速球勝負。
・こうした軍事的行動は、だが、国内では熱狂的に支持されたのである。大正時代に芽生えたデモクラシーを背景に、恐慌下における生活苦によって、国民心理が徐々に過激な方向性を持ち始めていた。大恐慌を経て保護主義に走る亜米利加の関税制度や、日系移民への迫害行為などが報道されるにつれ、強い日本を標榜する軍に救いを求めるのも無理ないことだった。
・(川田の是清の評価)現状を正しく把握し、その問題点を冷静な視点で分析する。そのうえで、自由かつ柔軟な発想と、周到な策を以って、果敢に、しかも現実的に解決していく。
Posted by ブクログ
激動です。信念に基づいて考えて行動し、結果を残す。簡単で当たり前だけれども誰でも出来る事ではありません。
カッコ良いなぁ。
専門的な事は分からない部分が多かったが
大局を捉えて常に先を考える姿勢は、非常に参考になりました。
Posted by ブクログ
高橋是清の伝記として面白かった。小説としての是非には触れないが読む価値は有る。それにしても二・二六事件前夜の日本が、今の日本にどうしても被って見えてしまい暗くなる。暴走するのが軍ではなく一政党と言うことだけが違うのだが。
Posted by ブクログ
日本経済を何度も救った男の後半生を詳細に描く。
政権交代、関東大震災、世界的恐慌という背景の中、是清氏が向き合った財政問題は現代日本と類似している。
高齢にもかかわらず、大蔵大臣を7回農商務大臣を1回、そして総理大臣を1回務め我が国を救った男は2,26事件の凶弾に斃れた。そして陸軍は第二次世界大戦に突入する。
Posted by ブクログ
上下巻、完読。
人となり、モノの見方、人との関わり方。
ここまで貫き通せる人だからこその功績なんだろう、と。
信念を持って行動する、これって言うは易し、とても難しい。でも、信念を持って行動する、これができた方が結果、苦しくても生き易いのでは。だって己の中に信ずるものがあるなら、迷うということがないから。
でも、信念という根幹から生まれる努力。これが伴っていなければ、話にならない。ただの頑固者だ。
もちろん規模は違うかもしれない、でもこんな風に生きたい、素直にそう思った