【感想・ネタバレ】落合博満 バッティングの理屈のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いやあ、これは凄まじい本です。途轍もない本です。なにがどう凄まじく、なにがどう途轍もないかと言いますと。

まずもって、わたくしは、プロ野球を観るのは大好きですが、野球という競技そのものを、自分でプレーしたいとはほとんど思いません。小・中・高・大・社会人と、ほぼパーペキに野球という競技のプレイとは無縁の生活をしています。草野球にもほぼ興味はないです。

で、この本は、落合博満さんが、ひたすらひたらすらに「野球を実際にプレイする人にとって、打者にとって、打撃・バッティングとは、いったい何なのか?」ということをガチで懇切丁寧にしっかりとしっかりと解説した本なんですよ。即ち、野球の打撃に関する、超実践本。ある意味、野球の打撃をする人以外には、一切需要が無い、と言っても過言ではない本だと思うんですよ。

なのに、そんなにガチの野球の打撃(バッティング)の解説本なのに、自分で野球の打撃をすることには一切興味がない自分にとって、この本は、めちゃくちゃ面白かった!という事実。その事実が、マジで、おっとろしい。自分には一切関係ない事柄の超ガチのハウツー本、実践本が、笑っちゃうほどに面白く興味深く読むことができた、というその事実。それをもってして、この本は、途轍もない本です、と認定します。自分が自分の為、それだけの為に。

例えるならば、
自分は左官職人では全くないのに、ひたすらに「良い左官職人になるにはこうすべし!」という技術を述べた解説本がめちゃおもろい。
自分はモノポリーにはほぼ興味はないのに、ひたすらに「モノポリーのゲームの必勝パターンはコレ!」という解説をした攻略本がめちゃ楽しい。
というような、、、ものでしょうか?どうでしょうか?例えが適切でなかったら、すみません。

まあ、自分は、いわゆるオチシンですので(落合信者。略してオチシン。落合博満さんの言動全てに深く感じ入り、その人となりを含めて、愛して止まない人々の総称、だと思われます)、落合さんの著書がね、楽しく読まれないハズはないんですが、ないんですが、その前提をもってしても、こんなガチのバッティングの理屈を書いただけ、とも言うことのできる本が、ここまで面白いとはねえ。驚愕だよ全くもう。

落合さんは、基本的に、ガチの理系の人、だと思います。数学と物理学の人。その角度から、「良いバッティングとはなんぞや?」をひたすらに追求していく。人体の構造からバッティングを考えるなんて!という視点。なんだそりゃ?って思ったんですが、考えてみれば当然ですよね。この本も、基本的には、難しいことは何一つ言っていない気がします。

人体の構造がこうなってるんだから、その構造に一番理に適ってるバットのスイングは、こうです。これが圧倒的な基準。そっから、後は、どう個人の趣味嗜好を付け足すか。ソレがバッティング。

っていうのが、根幹だと思うんですが、その根幹の喝破が、素晴らしいんですよね。バッティングの理屈を、人間の生きる理屈と同レベルにとらえている。眠たくなったら寝たら良い。腹が減ったら飯を食えば良い。喉が渇いたら水を飲むべきでしょう。っていうのと同レベルでのバッティングの理屈なんですよ。凄いことですよ。自分で言ってて、意味わかんない気もしますけど。

で、なんと言いますか、身体・肉体に関することと、頭で考えること・気持ちで考えること、の区別を、これ以上なく完璧に理解しているな、とか思いました。唯物論で語るべき事と、唯心論で語るべき事。その区別が、ホンマにしっかりしているなあ、と。ドライでありウェット。義理と人情。数字と感情。その違いを、おっとろしいほど、ちゃんと分かっている、気がします。おそるべし落合博満。さすが、日本プロ野球界に燦然と輝く超一流だ、という感じ。

ま、結局のところ、自分は、落合博満、という一個人の語る言葉と思考方法が、大好き過ぎるんですよね。そのことをシミジミと感じさせてくれた一冊です。いやあ、素晴らしい一冊です。

ちなみに、マジでどうなんでしょうね?現役のプロ野球選手が、この本をつぶさに読んだら、日本プロ野球界の打撃成績がガチで途轍もなくレベルアップする、と、思うんですが、、、まあ、そういうもんでも、ないんだろうなあ。

アレですよね。世の中に、星の数ほどに愛の歌はあるが、誰もが愛を手に入れられるわけではない。世の中に、星の数ほどの「こうすれば儲かりまっせ」っていうビジネス本はあるけど、誰もが儲かってる訳ではない。星の数ほどに「こうすれば幸せになります」本はあるけれど、それでも誰もが今日も幸せを追い求めている、っていう事実。うーむ。世の中って、マジままならないですよね。

ってことを、ハイ。僕は、この本から、読み取りました。謎。いやあ、マジ素晴らしい本です。

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2022年03月02日

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