【感想・ネタバレ】量子コンピューターが本当にすごい Google、NASAで実用が始まった“夢の計算機”のレビュー

あらすじ

量子力学の原理を使って複数の計算を同時に行い、スパコンを圧倒的に凌ぐ計算能力を持つ量子コンピューター。少し前まで「実現はするのは百年後」と目されていたが、2011年、カナダのD‐Wave社が突然、量子コンピューターの発売を発表。当初はその真偽が疑問視されていたが、2013年にGoogle、NASAが導入を決定。この快挙、実は日本人が開発した「量子アニーリング」方式の賜であった。暗号を軽々と解き、航空機のバグを即座に見つけ、今後社会をがらりと変えていく夢の計算機。量子コンピューターの凄さを、文系も楽しめるように基礎の基礎から解説する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

実現するのは100年後と目されていた量子コンピューターが、
数年前からNASAやGoogleで使われ始めたとのこと。
スーパーコンピューターが一千万年かかる問題を、
量子コンピューターはすぐに解くことができるというくらい、
この技術は凄まじいようです。

本書では、「計算とは何か」という
ごくごく基礎の部分から説明しはじめて、
「コンピューターとは何だろう」
「量子とは何だろう」というように、
量子コンピューターを理解するに向けて
知識を深めていくようになっています。
文系のひとでもついていける、
という形式ではありますが、
それはそれ、ある程度の数学や物理学の知識(記憶)と、
数学的なアタマを使って数式や説明を
自分のアタマで考えていく行程が要求されます。
ぼくはまあ、さらっと読んでしまって、
ちゃんと考えなかった部分、
そして、ついていけなかった部分もありました。
よって、検証はできませんでしたが、
書いてあることを信用して、
なんとなく、量子コンピューターについては
わかったようなつもりになっています。
(留保つきの知識ですね)

物理学や数学のいろいろな偉人の業績という
正統なエピソードもそうですが、
そういうひとたちのちょっとした余談的なエピソードも
面白かったりしました。
いろいろな天才がいるなあ、という。

たとえば、フォン・ノイマンという、
現代のコンピューターのあり方を作ったような学者は、
8ケタ同士の掛け算を暗算できた、という逸話には
へえ!と驚きました。

そういう読み物のところが面白いのですけれども、
先述のように、やはり数式などを考える部分は厄介ですし、
量子アニーリング技術の説明のところなども難しくて
ちゃんと理解できなかった。
そういう部分をしっかり理解する読書にならなくとも、
うっすらとでも掴めればいい、
さらっとでも量子コンピューターを知りたい、
という文系のひと、
つまりぼくみたいなひとには、
まだぎりぎりで読めるかなとは思いました。
難しいところがあることを承知で、
手に取ってほしい本です。

実用されている量子コンピューターは「D-WAVE」といいます。
ものすごい寒さの中でしか作動しないようで、
家庭機としては普及しないでしょうが、
最先端のコンピューターの世界を知りたいと思う方は
たくさんいらっしゃるはずです。
気になる電力はスーパーコンピューター「京」の1/1000程度だそうです。
いまに、スパコンって、ずいぶんと不効率なしろものだったなあと
言われる時代が来るでしょう。
といっても、スパコンを知るひとがどれだけいるかっていう話ですが。
(もちろん、ぼくも知らないです)

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2016年11月02日

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