あらすじ
母を見送った美津紀は、ひとり、冬の箱根へ向かう。かつて、祖母、そして母が訪れた芦ノ湖畔のホテルで夫と女が交わしたメールを読んでいると、「あたしは愛されなかった」という真実が目の前に立ち上がった。過去を正視し、今後一人で暮らしていけるかを計算する美津紀。はたして人生の第二幕へ向けて歩み出せるのか。大佛次郎賞受賞作。
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Posted by ブクログ
ここまで自分の気持ちを出せたら、気持ちいいだろうと思う。
母親に対しての感じ方、とても共感てきる。
最後は、いい姉妹に恵まれたな、と思う。
いいラストでした。
Posted by ブクログ
わがままな母から解放され、つましく生きるには十分な遺産を得て、浮気している夫を捨てる。50代での再出発。これだけ聞けば「最高やんか!!」と思う。
しかし、この決断に至るまでが長い。後半は失速してしまった。箱根の芦ノ湖畔の仄暗いホテルで、過去を正視し、老後資金の計算をし、葛藤する。最後は明るい終わりで本当によかった。
世の中には、暴力とか、犯罪とか、絶対してはいけないことをするような「本物の毒親」もいるだろうけど、ほとんどの場合良い面と悪い面を持つ親ばかりなんだろう。私も自分の親って毒親なんじゃないの?と思って色々調べていた時、自分の親は毒親ではない、だけど、この苦しみは自分にしかわからない、という結論にたどり着いた。
主人公の美津紀も、母を恨みつつもその恵まれた半生に感謝している。母を母たらしめた生まれ育った環境、複雑な家庭環境、父親、全てを深く掘り下げることで、母に死んで欲しいと思った自分を許したかったのかも。