あらすじ
高校時代の友人が亡くなり、映画研究会の同窓生男女5人が葬式帰りに集まった。小宴がはじまり、四方山話に花が咲くが、どこかぎこちない面々。誰かが席を外すと、残りの仲間は、憶測をめぐらし不在の人物について語り合う。やがて話題は、高校時代の不可解な事件へと及んだ……。15年前の事件の真相とは? そしてこの宴の本当の目的は? 著者が初めて挑んだ密室心理サスペンス劇。
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Posted by ブクログ
劇場公開当時、お芝居を見に行った。
キャラメルボックス×恩田陸なんて、
こんな面白そうな物を見逃す手は無いと思ったのだ。
実際見てみて、キャラメルというより恩田色が強く、
場所も六本木で、舞台セットも生演奏も何もかもが異質で
心地よい違和感を抱いて帰路についたことを覚えている。
あの時の印象が、これを読んで鮮やかに蘇った。
非常にぎりぎりのところで書かれていたという裏話も面白かったし
お芝居で見た時も感じた恩田さんの凄まじさが、
活字で読むととまた違った迫力で感じられる。
いきなり雑談にぽんと放り込まれて
わけが分からず引き込まれている内に明かされていく驚愕の事実。
驚きつつもどこにでもありそうな感じがリアリティがあって
肌にざらつく感じが、舞台設定のスタジオの外は嵐というのと相俟って
絡みついてくるのがとても面白い。
Posted by ブクログ
あとがきと解説は最初に読んじゃダメな本。
あまり演劇方面は詳しくないのでどうかなーと思ってたのだけど、ドキドキひやっとさせられました。さっすがー!
映像(舞台)でも見てみたい作品。
Posted by ブクログ
これまで恩田さんの作品を幾つか読んできましたが、「舞台にしたら映えるだろうなあ」という作品が幾つかありました。言っても舞台なんて、人生で10回程度しか見たことはありませんが笑
そうしたら、こちら、劇の脚本?を書かれたようです。
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脚本の内容そのものは、実をいうと私は良く分かりませんでした。で、恩田氏本人も「最後まで書いていて面白いかどうかわからなかった」とか書いていました。
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やっぱりちょっと身構えて書いたのかな。
個人的には、舞台に配慮しすぎた(考えすぎた)?ような気がしました。普通の小説だと情景や背景が豊かで、それをイメージするのが面白いですよね。当然の事ながら大道具小道具含め、普通の生活を切り取るかの如くのカットがあるのが小説です。これを演劇に仕上げるってことは、舞台での多くの制約を越えて「創り」あげていくってことで、きっとそこが面白いのだろうなあ、と思います(何度も言いますが、演劇は素人)。
他方、本作は非常にシンプルで閉じた空間で、たった五人の人間の群像劇を繰り返すところはややシンプルに過ぎたかなあ、と思いました。より強く言えば、背景・情景みたいなものが欲しかったなあと感じました。
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寧ろ出色だったのは、脚本作成の過程をしっかりと汲んでいる点ではないでしょうか。
作成のきっかけのエピソード(御多分に漏れず、飲み屋での雑談)をチラシに掲載し、しかもそのチラシが作成された段階ではタイトル意外の中身が作られていない! そして多忙な筆者が(取材)旅行でスケジュールが埋まる中、文字通り「ぎりぎり」のスケジュールで作られ、役者たちとの意見を取り入れられたうえで推敲され、そして公演にまで至るという。
スタイルの確立した大御所であればテレビ番組か何かで脚本の制作過程がクローズアップすることもありましょう。ただし、初めてのトライでかつここまでスケジュールが押したなかで成功したかどうかの確信も持てない中で(謙遜なのでしょうか)舞台裏をあかしてくださるのは、ある意味内情の大盤振る舞いではないでしょうか。
私は純粋に「へー、面白いな」と思いました。そして、また何か舞台やミュージカルを見に行ってみたいなあと思いました。
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ということで恩田氏による書下ろし脚本作品でした。
作品そのものというより、誕生前後から公演終了までひっくるめた叙述が非常に興味深く読めました。
Posted by ブクログ
再読。脚本。キャラクターの肉付きが薄い印象があるが、実際に役者が演じると、また違って輪郭がはっきりするんだろうなあ。本編以外のあとがきとか解説が、内幕暴露物で、創作背景を知ることができて楽しいです。恩田さんは鬼のような忙しさの中で書き上げたようですが。特に演出家の書いた解説は恩田さんの特徴的な良さを的確に捉えていて、なぜか最後ホロリとさせます。
Posted by ブクログ
恩田陸の戯曲。
死んだ友人の葬式に参加した高校時代の同級生5人。タカハシの映画のエキストラとして呼ばれた4人。高校時代に消えたタカハシの八ミリフィルム。フィルムに写った食中毒事件の真相。