あらすじ
明治四十三年、朝日新聞に入社した漱石が職業作家として書いた第一作。我意と虚栄をつらぬくためには全てを犠牲にして悔ゆることを知らぬ女藤尾に超俗の哲学者甲野、道義の人宗近らを配してこのヒロインの自滅の悲劇を絢爛たる文体で描く。漱石は俳句を一句々々連らねていくように文章に苦心したという。 (解説・注 桶谷秀昭)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
表現が難しくて理解できないところも多いけれど、
不思議と美しい文章だと感じられる。
調べながらだと読み進められないので、
なんとなくで読み進めて3回読みました。
人間関係の構図はわかりやすく、
心情や状況の描写に集中できる。
自分のために、他人を犠牲にして生きるな。
知識だけではなく、情をもて。
そう言われているような気がした。
Posted by ブクログ
前半部分の絢爛すぎる怒濤の描写についていけず,挫折しかけた.
登場人物の立ち位置も全く頭に入ってこなかった.
セリフが中性的で,さん付けで呼ばれていたことから,小野さんを
女性と判断して読み進めた.しかし,小野さんが女性だと
話のつじつまが合わなくなることに途中から気付いた.それは,そこまでに自分で描いていた『虞美人草』が誤っていたことを意味し,絶望した.
しかし,後半は会話が多くなり,ようやく話の概形がおぼろげながら浮かんできた.物語の本質である小野さんと藤尾の恋が,
多数の人物が互いに絡み合ってできた複雑な事情の上に成り立つ
ものであると知る.この仕組みを理解するためには,前半部分が
どうしても必要であることには納得がいく.約100年経った今でも
彼らの恋愛関係には新規性が感じられ,とてもおもしろい.
この作品を評価するにあたって,ストーリーという観点からは申し分ないと思われる.
絢爛な描写を理解できたとき,評価にもう一つ星を加えたい.