【感想・ネタバレ】猫とともに去りぬのレビュー

あらすじ

猫の半分が〈元・人間〉だって、ご存知でしたか。家族も会社も、何もかもがいやになったら、ローマの遺跡の境界線をまたいで猫になってしまおう……。ほかにも、魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家、ピアノを武器にするカウボーイ、ピサの斜塔を略奪しようとした宇宙人、家々を占拠する捨てられた容器たちなどが活躍! 現代社会への痛烈なアイロニーを織り込んだ、ユーモアあふれる知的ファンタジー短編集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ファンタジー短編集。表題作は、飼い猫として暮らせる道があることを羨むべきか、猫でなければ家に居場所もないことを嘆くべきか、どうにも悩ましい。非現実をさも当然のようにすらすら描かれ、頭の柔軟性が試された。とっぴな空想の中に現実社会への皮肉も読み取れ、執筆された当時のイタリア社会が気になるところ。もはや児童文学の枠を越えていると思うが、どの話もロダーリのユーモアに溢れ、最後まで楽しく読めた。

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2022年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 猫好きの友人に勧められたのと、タイトルがとても良かったので、読んでみようと思いました。
私は、光文社の古典新訳文庫で読んだのですが、本書は16作品収録されている短編集です。

 不思議で奇想天外なファンタジー集だなという読後感です。
表題の「猫とともに去りぬ」は大好きになりましたし、「ガリバルディ橋の釣り人」が私はお気に入りです。

 著者のロダーリは、イタリア人の児童文学作家・詩人・ジャーナリストで、教育者でもあります。
第二次世界大戦の終戦を25歳で経験されているのですが、人類愛や反差別、自由を表現した作品を書いた人で、
同じ1920年生まれに、アイザック・アシモフ、ボリス・ヴィアン、レイ・ブラッドベリがいます。
本書でも、ファンタジーの中に空想科学的な展開が書かれているところも多く、彼らの影響もあるのだろうかと私は思いました。

 本書の作風からの印象ですが、ロダーリはたぶん変身願望が強い人だったのかなあと思ったりもしました。
それと、モノを愛する人ですね。

 色んな作品で、人間が変身するシーンもあるし、機械を人間に見立てることもあるからです。
その発想が、奇想天外で突拍子もなく、また空想科学的でもあったりしました。

最後に、
児童文学寄りだと思って読み始めると、結構ひねったハナシも収録されているので、大人もきっと楽しめます。

余談ですが、ちょくちょくアメリカンをディスるところ、いかにもイタリアンらしくて私は好きです(笑)

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2024年08月18日

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