あらすじ
エルノラは、優秀な成績で高等学校を卒業し、美しい女性に成長した。娘への愛情にようやく気づいた母親に見守られながら、大学を目指す。ある日、療養のためにリンバロストの森を訪れた名家の青年フィリップと出あい、惹かれあうエルノラ。しかし、彼にはすでに許嫁がいた。この作品を誰よりも愛した村岡花子の名訳で贈る。
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Posted by ブクログ
母からの愛情をほとんど受けられないで育ったエルノラは、町の高校に入学するが、進学に反対していた母は学費のことも教科書のことも教えてくれず、さえない通学服で初日から大恥をかいて帰ってくる。
最初からもう可哀想で、継母かと思ったし、訳したのが村岡花子だけにもしかして孤児?と疑ってしまった。
しかし、エルノラはこんな事でめげない。この後もたびたび苦難に襲われるが、見事に打ち勝つ。そして隣人であるウェスレイとマーガレット夫妻をはじめ、周りの人にエルノラを助けずにはいられない気にさせる。エルノラは意地悪な母に育てられたのに真っ直ぐで明るく生命力にあふれている。負けん気が強く誇り高い。それが母との共通点なだけに親子喧嘩は怖いくらい熾烈。赤毛のアンを彷彿とさせる。
だが、父が沼で溺死した原因を知った母は突然エルノラへの態度を改める。エルノラに協力する。本当は娘が可愛くて仕方なかったのだ。裁縫でも料理でもなんでも出来る人だった。そこへ登場するのが、病み上がりでもかっこいいフィリップ。エルノラとの共通点は蛾の収集。フィリップには婚約者がいることを知り、友人として接するエルノラ。やがて、別れの時がくる。お互いの思いに気づかないまま。
「そばかすの少年」に出てくる名前がいくつも出てくるので、出来たらそちらを先に読むと、より楽しめます。
鳥のおばさんが、自分の境遇と似ているエルノラに、この先、何者になるかは自分次第だから努力を惜しまないで、と伝えるところが良かった。その後のエルノラの生き方にも影響を与える言葉だった。読んでよかった。何回も読みたい本。
Posted by ブクログ
アンでもパレアナもそうだけど、ヒロインが美しく育ったら次はロマンス。
相手も非の打ちどころのないぼっちゃんです。
ただし、超わがままで美少女な婚約者がついてますけど。
結末はハッピーエンドというのは分かってるので、消化試合を見ているような感じ。
完全無欠なヒロインって微妙に面白くないときもあるのねということがよくわった小説でした。
欠点だらけのアンが熱狂的なファンがついたのわかります。
綺麗で賢くて心が美しく悪漢まで味方にしてしまう無邪気さ、欠けてるものは何もない。
当然、略奪になってしまうのですがそれだってヒロインが責められるところなんて全くないと来ている。上巻のオチを思い出すたび、かなりもやもやしました。
翻訳家の村岡花子さんはこの小説をとても愛していたそうですが、子供の頃あの展開読んでいて、『あれ』やっちゃったんだ……と顔がひきつりました。
たぶん、本人は乙女に気分が同化しているんでしょうけど……。
すくなくとも若人の恋愛について説教する資格はないです村岡さん、とあとがきでさらにもやもやしてしまった。