あらすじ
恐怖の帝王キングの最新作品集!
かつて妻を殺害した男を徐々に追いつめる狂気。友人の不幸を悪魔に願った男が得たものとは。巨匠が描く、真っ黒な恐怖の物語を2編。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
表題作はあることを契機に人生のタガが外れていく男の話。当時は社会インフラや医療技術などあらゆるものが現代とは異なっていて、今だったら同じ選択をしたとしても、もっとスマートな方法だったり、なんなら離婚訴訟とかになってたかもしれない。
オチは(自分的には)キングらしくないかなと感じた。「痩せゆく男」や「ダーク・ハーフ」を本作と同じ結末にしたらたぶんあまり面白くないと思う。救いとかそういうものがなく、恐怖は恐怖のまま終わってくれたほうが好きだ。
同時収録の「公正な取引」はグッドヒュー家が坂道を転がる石のように不幸になっていく部分の描写がいかにもキングらしい、リアルな手触りだった。こちらのオチは好き。そういえばデリーは「IT」の街だった。
Posted by ブクログ
『1922』かなり些細なことで妻殺しして、息子は隣の家の女の子を妊娠させ、さらに連れ出し、逃亡の末自殺。なかなかひどい結末だった。今まで読んだキングの作品でもトップクラスの後味の悪さかもしれない。―『公正な取引』こちらは悪魔と契約する話で、生贄にされたグッドヒューの不幸が笑ってしまうほどひどかった。2000年代の時事ネタが都度都度挟まれていて楽しませる。クリス・ブラウンの「自分の最高の添い寝用うさちゃん」はリアーナの事だろうか。しかし下品な比喩だ(笑)
Posted by ブクログ
キングです。ホラーです。
ホラーっていっても、怖いんだけど、上品なんですよ。
だから余計怖いって話なんですが。
読んでしばらくたってるので、うろ覚えの部分もあるんですが
1922年ごろのアメリカの中西部?中南部の田舎のお話しです。
隣家まで数キロとか、何エーカーもの農地やら牧場を持ってるけど
決して暮らし向きはラクではなく、家族だけでカツカツの農業を営んでる。
こんな暮らしに妻は不満タラタラで、農地を売って都会に転居したい。
夫は、農夫ライフにプライドを持っていて、浮ついた妻が許せない。
そして、夫の方に従順な息子。
農地を売る売らない、で対立したあげく、妻を殺害してしまい、
息子と協力して枯れ井戸に埋めてしまうんですが。
ここから、主人公の転落が始まります。
何もかも悪い方に悪い方に、転がっていくんですな。
妻の呪いか、と主人公は思うのですが、なんのことはない、
自分の罪悪感から自滅してるだけなんです。
勢いで殺しをやると、ロクな結果になりません。
あと、ネズミは怖いです。アレックスでもネズミ、大活躍でしたし。
Posted by ブクログ
恐怖の帝王キングが手加減なしで描く光なく真っ暗な物語。
恐怖の物語に帰還した巨匠の最新作。
「1922」
1930年、8年前に息子と共謀し妻を殺害した男の告白文という形で物語は進行する。
1929年といえば大恐慌の年であるため、それより少し前のアメリカ中西部を舞台としている。
農地を大企業に売ろうとする揺るぎ無い決意の妻の殺害を、土地に深い思い入れのある男は企てる。
妻を殺害後古井戸に遺体を棄て、企業の弁護士や警察の追及からなんとか逃れたものの、
その罪悪感は二人の人生を追い詰めていく……。
「因果応報」とはこのことだが、展開がまったく読めない。
「公正な取引」
所謂「悪魔との取引」をテーマにした短編。
主人公の男は癌で死期を間近に控えている。
彼は道路脇の露店の看板に奇妙な文言を見つける。「公正な延長(Fair Extention)」。
エルビッド(ELVID)と名乗る小太りのその男は、客が望む様々な《延長》を提供すると語る。主人公は気乗りもせず自分の寿命の《延長》を持ちかけるのだが、エルビッドは金のほかに取り除いた"負の部分"を請け負う相手を挙げろという。
高校時代からの「親友」であるトムの名を挙げる主人公だったが……。
こちらも展開通りとはいかない。わたしたち人間の深層心理に罪深く暗いものが根付いていることを思い出させる。
ミステリ :☆☆
ストーリー :☆☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆
Posted by ブクログ
キングの新作!恐怖の四季、真夜中4分過ぎに続く第3中編集。読むのがもったいなくて、下巻が出るまで積ん読してました。
1922。結構長い作品。ひたすらじわじわと、妻を殺した男が狂って行く様を、彼の視点で語る作品。いやー滅入るわー( ;´Д`)。全く状況が改善される見込みがなく、どこまでもずぶずぶ落ちていく状況がわかっているのに、やめられない止まらない。読後感よくないのがわかってるのに、惹かれて読まされちゃうのは、何でなんだろう。キングの魔法。ネズミ怖いっ。
公正な取引。古典的素材である「悪魔との取引」を、キング流にアレンジした短編。どんなどんでん返しが?と思ったら、意外にあっさり終わったなあ。でもストリーターに感情移入し、トムの凋落にカタルシスを感じてしまうのは、私が悪魔に魂を売る側の人間だからだ…!と思わせるキングの仕掛けなんだきっと(T_T)。ううう。
Posted by ブクログ
中編2本
妻を殺した男が、その死体にまとわりついていたネズミに取り憑かれる話
悪魔の契約の話。末期がんを助けてもらう代わりに親友を不幸にする男。シャーデンフロイデがテーマか。他人の不幸に際限ない喜びを感じるさまが妙にリアル
Posted by ブクログ
全盛期のキングには程遠いながらも、それでも普通に読ませるのはさすがと言うべきなのか。とはいえ、たくさんあるキングの傑作小説の中にあれば埋没必死の凡作になるだろうなぁ。
救いのない闇小説2編
表題作は読んでみればすぐ分かる救いのなさ。息子と2人で結託して嫁さん殺して幸せになるわけがないわな。もっとも振り回された親友(元?)はたまったもんやないやろけど。
もう1作の方はちょっとひねってある。作品自体じゃなく読んだ人の心のダークさを試す展開。人を呪わば穴2つと言うが、1つの穴を金で塞いで幸せになれるのかどうか
読後感はよろしくないが(キングにそれを求めるのはグリーンマイルと刑務所のリタ・ヘイワースぐらいなもんで…)キングらしい暗くて痛いヤな感じは味わえる。