【感想・ネタバレ】三つの棺〔新訳版〕のレビュー

あらすじ

ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コートと帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れる。やがて二人が入った書斎から、銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた! しかも密室状態の部屋から謎の男の姿は完全に消え失せていたのだ!

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Posted by ブクログ

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密室講義が気になって手に取りました。
雪と時間と空間を使った密室が最後には論理的かつかなり飛躍を使ってスマートに開かれるのが見事

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やたらと海外ミステリが並んでるエジンバラの本棚で見掛けて、密室講義だけ読んで満足していたのを思い出しました…はい…
有名すぎて、観てないのに見た気になっている映画、ドラマ、アニメとかありません?

〇〇を観ずしてSFを語ることなかれ、とか
✕✕を読まずしてファンタジーを語ることなかれ、とか

そう云われるとじゃぁお前何を語れるんだい、ということになってしまうんだけど(スターウォーズは観てるからSFは語っていいの? ガンダム好きならSFは…いやそれは語っちゃダメだな…)、
こればっかりは、
三つの棺を読まずして、密室ものを語るなかれ、と云わしめる力があるな、と思いました。

トリックの力であるとか、その語り口、見せ方はもちろんなのだけど、何よりも密室やミステリというものに対する態度、矜持? 気の持ちよう、というか(笑
あーこういうのを金字塔って云うのだな、と納得。

そういう部分を別にしても、プロットとそれを劇化するプロセスと展開と、長編を読ませる個性とウィット。
素直に☆5です。

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2019年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

密室のレジェンド、カーの代表作ひとつ。
『白い僧院の殺人』の伏線回収の手腕に度肝を抜かれたので未読だった名作に手を伸ばす。

過去の事件への言及なんかがそこここにあり、シリーズものの途中であることを伺わせるが、まあ普通に単体として楽しめる。
ただ、フェル博士のクセ強ぶりが前置きなしに出てくるので博士慣れしてない自分は何だこいつ、、と思ってしまった。
終始はぁはぁぜぃぜぃしていたり、ことあるごとに、はぅっ!とかへっ、へっ、へっ!とか言っちゃったりして正直キモいw(でも嫌いになれない)

それはさて置き、この全体の雰囲気が意外だった。
もっと何か王道本格探偵物っぽい想像をしていたのだが、殊の外オカルト風味が強い。
起こり得ないはずの超常現象的な事件は果たしてどの様にして起きたのか、犯人と目されるのは遠い過去に墓に埋められたはずの人物、姿形がふわふわと掴めない、、みたいな感じなのだ。
とは言え気になる引っ掛かり事象もいくつか散りばめていて、この伏線を回収しつつ、ここから論理で抑えにくるのかな、だとするとこの怪異&論理の形は京極夏彦っぽいななんて思っていたところから始まる「密室講義」の章。

急にメタフィクションを挟み込んできて、何とも凄まじいギアチェンジ。
やっぱり持ってきた理屈っぽさ。
「結果が魔法のようだと、原因が魔法のようなものだという期待が高まる。それが魔法でなかったことがわかると、くだらないと一蹴する。これはどう見ても公平ではないね。」
一般論と思わせつつ、結末への予感が詰まりに詰まった神章。

さて次は何読もうかな。
巻末の著作リストの邦訳履歴が目を見張る。
『皇帝のかぎ煙草入れ』15パターンも出版されてるんですけど。。。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

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エドガー・アラン・ポーの早すぎた埋葬モチーフを本歌取りしたらしい、墓場から土をかき分けて這い出す手、という雰囲気満点のつかみが気になりすぎて、真相がわかるまで一気に読んでしまった(これ、真相あてられる人いますかね?MIT白熱教室で複雑な数式を用いて再現実験してもらいたいような…)。東欧出身の三兄弟が絡む骨肉の争い、という点でエラリー・クイーンの某国名シリーズに通じるものがあり、どちらも「仲が悪すぎじゃない...?お母さん泣くよね」と突っ込みを入れたい。ただし本格推理のため(だけ)にホラー並みの血みどろ惨劇が淡泊に展開されてまったく怖さを感じないとぼけた味わいの某作に対し、本作は主人公のろくでなしなハチャメチャぶりに人間臭さを感じる。また練られた犯罪をほぼ完璧に遂行する犯人を綻びとも言えない極微細な違和感から突き止める鮮やかさが魅力だった某作も好きだが、やたら凝った計画を出だしで大失敗しながらど根性の力業で乗り越え...ようとして周囲の人々を謎だらけの困惑に陥れたドタバタ劇-結局何がやりたかったのか博士の説明にあまり納得できない、むしろ命取りなパニック状態?-には妙な愛着を覚えてしまった。「2発目はお前だ」、そりゃそうよね!そこそこ顔の知られた人物が派手な服装で街中の近所を歩いたら誰かの目につくリスク高そうだけど…人の好い居候のお爺さん、助かったのかな、あなたが善意で助けた人物は高邁な思想の政治犯ではなく銀行強盗でしたよ。。。

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2024年02月20日

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新訳になってだいぶ読みやすくなったという評判ではあるが、それでも初読ではなかなか頭に入らない。真相を知った上で読み返すと、なかなかの完成度。とりわけ、燃やされた紙の真相は燻し銀で良い。不可能犯罪を描こうという強いこだわりも感じて、それが良かった(完全犯罪を狙ったものの、結果として思惑が崩れて不可能犯罪になってしまうというパターンはとても好み)。
全体的に、シリアスだったり悲しい展開がなく、犯人の動機(三つの棺のくだり)もパズル的でコミカル。そこは本作の特徴として評価して良い部分だと思う。

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2025年04月08日

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ネタバレ

良くできているが、面白くはない。
事件パートが密室パズルを出題するために用意されているようで魅力的ではないし、探偵役のキャラもただ不可能状況を提示するために動いている。
密室談義の部分で、「現実感がないといってミステリを批判するな」といった話が出てくる。それはそのとおりだと思う。ミステリにはあっと言わされるようなものを求めてる。ただ、現実感のなさにも2通りがあると思う。1つは、有り得そうもない奇抜なトリック。つまり「思いついてもやらんやろ…」。もう1つは、必然性が薄いために起きえないと思うもの。つまり「そんなんよう起きんやろ…」というやつ。この作品はそれで言うと後者だ。密室殺人という不可能を可能にするために「目撃者が頼りにした時計がズレてた」「撃たれてからもあるいていて偶然であって撃ち返した」「撃たれてからもしばらく大丈夫だったが、密室に入ったあとにはずみで死に至った」といった偶然を重ねていく。今回のような事件が起きない、とは言わない。起きたから小説になったのだ、と言えるから。不可能状況を可能にするために多種多様な仕掛けの部品を用意して、それらで一つの密室という機械を作り上げる執念には感心する。ただ面白いかというと別だ。私は手品の種をきいてなーんだと思うよりも、手品の種をきいてなお魔法の世界に居続けられるようなミステリのほうが好きだ。

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2024年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古典密室の名作。カーは初めて読んだが、読みやすくて良かった。舞台設定は素晴らしいのだが、偶然に偶然が重なって上手くいったような状況なのもあってか、まったく推理できなかった。フェル博士は天才だ。

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2021年08月02日

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