感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
矢口敦子先生の作品を初めて読みました。
この小説は生きる屍である日高と心に闇を抱えている真人の再生の物語です。
矢口敦子先生の筆致で脇役である登場人物の姿もはっきりと目に浮かび、飽きることなく一気に通読しました。
矢口敦子先生の他の作品も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
感動小説ということで、手にとってみたがそこまでの泣きはなかったが、すごく考えさせられる内容だった。
自分にも人に言えない暗闇がある。それは、普段気づかないようにしているけど、それでもいつも背後に迫っている。
じゃあ自分は生きてて良いのか?
って考えさせられる。
Posted by ブクログ
●テンポ
場面場面でメリハリがあり、文章量もちょうど良かった。
しかし、女医の友人は必要だったのか?
彼女の出番がない方がスッキリしていたと思う。
●表現
難しい言葉は使っていないのに、平易になりすぎず、文学としての読み応えがあった。
●テーマ
殺人と対比される心の傷というテーマは数多いが、作者が本当に問題意識として感じているのだろう。
実感が小説から滲み出てた。
●キャラクター
キャラクターはどれもしっかりと生きていて、「誰」が何をしているかが明記されていなくても、読み手が勘違いすることがないだろう。
ただ、日高と真人は似ているように感じた。
2人の会話は時折、1人の男の独白のようにも思えた。
●ラスト
事実がわかり、雪解けという展開、前向きになれる2人は爽やかで気持ちいい。
しかし、日高も真人も立ち直りが早すぎるのでは。
●総評価
日高も真人も加害者として苦しんで、自分に罰が下る日を待っていた。
しかし、2人とも読み手にとっては加害者というよりは被害者というようなイメージが強く残っているだろう。
被害者と加害者を明確に区別できないあたりに、「自認する罪」「他者からの認識」のズレ、そして、「明確な答えがない苦しみ」を感じた。
物理的な殺人は世間一般の善悪観、つまり法律で裁かれる。
明確な線引きがない心の殺人。
罪滅ぼしはやはり日高の言うように「罪を抱えながら生きる」ことなのだろうか。