あらすじ
勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ――剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き斬る――田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客父子の縦横の活躍を描く、吉川英治文学賞受賞の好評シリーズ。 ※当電子版は『剣客商売』(一)~(十六)と『剣客商売番外編 黒白』(上)(下)、『剣客商売番外編 ないしょ ないしょ』の全十九巻をまとめた合本版です。
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未完の大作。
池波正太郎と云う作家は、『真田太平記』のような歴史小説より、本作のような時代小説の方が面白い、といった評価がよく聞かれます。確かに『鬼平犯科帳』『仕掛人梅安』も有りますから、そういう意味では当たっていると思います。
しかし自分は「歴史小説」から入ったクチなので、池波正太郎の作品に触れたのは遅い方でした。『真田太平記』がドラマ化されていなかったら、もしかして未だに一作も読んでいなかったかもしれない。
何せ、中学時代に司馬遼太郎『竜馬がゆく』『燃えよ剣』から日本史にドドーンと目覚めたものですから、ソレ等と「小兵衛さんの話」では、まるで正反対ですもんね…ww。
そんな訳で、大分回り道をして本作と出会いました。もう大学生ぐらいの頃かな。飄々としたキャラクターが出て来て、のどかな小説かと思わせておきながら、突然ズバっと血しぶきが飛ぶ、この鮮やかな斬り口の物語にすっかり魅了されてしまいました。その後は『鬼平』ですから、『真田…』を読んでから二十年近い歳月が掛かりました。
池波正太郎の『映像的な描写表現』『人の心が一番のミステリ』と言った《オトナの楽しみ》を知ってからは「時代小説」の虜に成りました。
思い切って電子書籍でまとめ買いしたのも、一々本を探さずとも出先でヒョイとスマホで読めるから。本当に便利ですね、電子書籍は…ww。