【感想・ネタバレ】孔雀狂想曲のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

個人的に北森鴻の最高傑作に認定。冬狐堂シリーズの「狐闇」と最高の座を争っているのだが、とにかく「巧み」さと古道具への愛にあふれてる、大人の本だ。本当に巧み!上手い!!
年をとればとるほどこの物語をより一層楽しむだろう、と予想できる。逆に若い世代はこの本を楽しむにはまだ早い。この深さを理解するには高校生はなあ、と思ってしまう(というとわたしの年齢がね、あのまああれなのですが)。
道具から見える真実はその持ち主などにとってはインパクトがあることかもしれないが、その他の人には興味のかけらもない出来事かもしれない。北森鴻はそういう部分を態とらしく書かないかわりに、言葉を操りじんわりと心に訴えかけてくるものがあるのだ。もう本当にお話を書くのが上手い!最近の「萌」ばかりで名を売ってる作家とは比べ物にならないね!

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2012年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

雅蘭堂という骨董品屋を舞台とした連作短篇集。安積というアルバイトの女子高生と店主の越名が主要メンバー。さまざまな骨董品,ビスクドールなどをめぐるうんちくを語りつつ,骨太の話が多数ある。★3で。

○ ベトナム ジッポー・1967
 「ベトナム ジッポー・1967」に思い出を持つ長坂健作という老人と,その孫の安積という少女が登場する。このライターの持ち主,「グエン」という大佐を知っていると語る老人。老人は自分が媒介となり,軍の機密が漏れたので,グエンが死んだと思っていたが,真相は,グエンこそが裏切り者であり,長坂健作は,煙幕として利用されていたという。ジッポーについてのウンチクもあり,やるせない読後感も合わさって,なかなかの作品

○ ジャンクカメラ・キッズ
 竹島という古物商からジャンクカメラを譲り受ける。壊れたカメラを利用して保険金詐欺をする若い連中がいる,として保険会社の調査員から話を聞くが,その調査員が殺される。真相は,ジャンクカメラを利用したクスリの密売がされており,そのことに気付いた調査員を竹島が殺害していたというものだった。友人に裏切られるというやや,読後感が悪い作品ながら,話の作りはなかなかいい。

○ 古九谷焼幻化
 兄から,「掘り出し物古九谷焼が本物かどうかを見極め,本物であれば買ってこい」と頼まれる。兄とは因縁がある犬塚という一癖も,二癖もある古物商と武藤という美術評論家。武藤は,古九谷焼を偽物と判断するが,雅蘭堂は,全てが犬塚の罠であり,本物を偽物と鑑定させるために仕向けたゲームだったと見抜く。古九谷焼についてのウンチクもあり,なかなかの作品。

○ 孔雀狂想曲
 鉱物標本を買い損ねた男が出てくる。真相は,絵の贋作に鉱物を使っていたというもの。絵を盗み出したものとは別の者が贋作を作って流そうとしていたが,絵を盗んだ者も同じことを考えており,鉢合わせになったという話。イマイチ,ピンとこまい話だった。標題作だが…。普通のデキか。

○ キリコ・キリコ
 「形見の品」を預かった雅蘭堂が、切子の酒瓶を渡す。渡された女性は,十年も会っていなかった伯母からの形見の品について,思い出話をする。融資を断られた父と母と,親戚同士で行われていた宴席でのトラブルについての話だった。雅蘭堂の店主,越名は,送られた瓶は,酒瓶のフタの部分であり,フタとして隠されていたという真相を伝えるために形見として送ったのだという真相を伝える。さらっとした話だが,良質な短篇。

○ 幻・風景
 Fという小説家が残した絵画。《三鷹駅前暮色》。同じ構図の絵がもう一つあるはず…という。真相は,もともと《希望の街》として描かれた絵画が,色あせ,夕暮れ時の街になってしまった。そのことを使って,もう一つ,贋作を作り,一儲けしようと考え,今回のペテンを考えた犬塚は,越名を仲間に入れようとして今回の企みを行っていた。犬塚の娘の恵子の裏切りにより,越名は,企みを暴くことができたという作品。読後感もよく,良作。

○ 根付け供養
 島津という男が,根付けの贋作を作り「英琳」という名を彫り,高沢という老人が買い取っていた。高沢は,越名に英琳の作品を鑑定させていた。安積が預かった英琳の根付けの突起部分を破損させてしまう。越名は,英琳が現代の作家の作品であることを見抜く。高沢も,既に英琳が現代の作家の作品であることを見抜いていたという話。安積という少女の態度がなんとも腹がたつ作品だが,作品の出来としては及第点か。

○ 人形転生
 ビスクドールをめぐる作品。《ミツコ》というビスクドールのサンプルを多数に作り,サンプルを発注し,サンプルを売って儲けようという話を持ちかけ,本物は亡くなった方がサンプルの価値が高まるとして,火災で廃棄しようと持ちかけ,美輪という男が,宇崎と神谷という男を焼死させたという話。普通のデキか。

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2016年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冬狐堂シリーズに出てきた骨董屋が主人公の短編。 相変わらず骨董の蘊蓄は楽しいんだけど、 冬狐堂シリーズに加えてこれをやる必要があるのか? 冬狐堂が結構重厚で複雑な話が多いので、そのライト版なのか・・・。

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2011年09月22日

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