あらすじ
小劇団「紅神楽」を主宰する女優・紅林ユリエの恋人で同居人のミケさんは料理の達人にして名探偵。どんなに難しい事件でも、とびきりの料理を作りながら、見事に解決してくれる。でも、そんなミケさん自身にも、誰にも明かせない秘密が……。ユーモラスで、ちょっとビターなミステリ連作集。スペシャル・メニューを召し上がれ。
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小劇団「紅神楽」を主宰する女優・紅林ユリエの恋人で同居人ミケさんは料理の達人で名探偵。どんな事件でも美味しい料理を作りながら解決していくミケさん。そんな彼にも、誰にも明かせない過去が…。 ミケさんの作る料理や梅酒が美味しそう。エリカと小杉師匠のやり取りが「裏京都」シリーズのムンちゃんの絡みみたいで楽しい。ちょっとビターとあったけど、結末は良かった。
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短編集になっているのに最後は長編になっていたというまとまりのある小説だけど、脚本家小杉が書いているのか?と途中止まって読み直しと時間がかかってしまった。
小説家になった小杉が共同で小説を書こうと提案し北森鴻の名前を持ち出す。本当に共同なら北森鴻はミケさんなのか、小杉なのか。。。
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紅神楽という劇団の看板女優であるネコさんこと紅林ユリエ。劇団の座付き作家の師匠こと小杉隆一,そしてネコさんの同居人のミケさんこと三津池修。この三人のキャラクターを中心に,伊能,泉谷,谷口,滝川といった大学生達の話が紛れ込み,二つの話が交錯していくという設定。ひとつの大きな話をつくる11の短篇。個々の作品の感想などは以下のとおり。
○ アペリティフ
エピローグ。雪の日に街を歩く謎の男
○ ストレンジ テイスト
劇団紅神楽の次回公演のミステリ劇「未明の家」が完成しない。網野屋という店に店主の妻とその愛人がやってくる。そして,店主か,愛人のどちらかが死ぬ。料理店の店主が犯人なのか?被害者なのか?小杉隆一は,そのどちらにせよ,納得する動機が思いつくことができず,台本を完成することができないのである。ミケさんは,師匠が作った台本に出てくる料理のメニューから,隠された伏線を作り出す。料理店の店主の料理の秘訣は,料理に入っていたアンフェタミン=覚せい剤だったのだ。そして,妻の愛人はスポーツ選手。ドーピング検査で料理の秘密がばれるくらいなら,殺人者になることを選ぶ…。伝説の料理人のこだわりが動機となった。この動機になっとくした師匠は,台本を完成させるべく,執筆を開始するというオチ。話のテンポ,キャラクターの造形の秀逸。傑作といっていいデキ。
○ アリバイレシピ
いわゆる,飴色玉ねぎを作り方がアリバイトリックにんっている作品。伊能由佳理の復讐に利用され,死に至る前の最後の告白の場に呼んですらもらえなかった泉谷という男の悲しい話。なんとも言えないいやな読後感だが,アリバイトリックはさておき,話の作りがうまい。これも傑作といっていいデキ
○ キッチンマジック
再び,紅神楽という劇団の話。師匠,ねこさん,ミケさんの三人がメインキャラ。手際のよすぎるひったくり犯と,ミケさんがラーメン作りに失敗する話。三人組みのひったくり犯が,事故で仲間のひとりが死んだ点を隠すために,ひとりを被害者に仕立てあげる話と,死んだ父のラーメンの思い出がつらい思い出だったので,ミケさんのラーメン作りを失敗させた劇団員の話。これもなかなか。
○ バッドテイストトレイン
滝沢良平という男と,みんなからミケと呼ばれる三津池修が出会う話。滝沢が嗅覚障害者であることと,奇妙な乗客が犯人と警察であることを推理する話。これは普通のデキか。
○ マイオールドビターズ
三度,師匠,ねこさん,ミケさんの話。劇団を貸し切って自分のための公演を行おうとする金持ちが出てくる。師匠は,館の主人が偽物であることを見抜くが,何らかの犯罪に巻き込まれたと推理する。しかし,真相は,CM撮影だったという話。これにより,劇団員が有名になり,テレビ進出を果たしていくという展開になる。また,ねこさんんは昔,泉谷という男と同棲していたことをミケさんに語ると…ミケさんはねこさんの前から姿を消す。
○ バレンタインチャーハン
ミケさんがねこさんの前から姿を消して半年たった時点の話。紅神楽は,CM撮影がきっかけで劇団員がテレビ進出を果たし,座付き作家だった師匠はミステリ作家としてデビューしている。ねこさんが,ミケさんから唯一教わったチャーハンを雑誌に掲載するが,そこで犯罪まがいのことが起こる。ねこさんが作ったチャーハンを食品サンプルを使って撮影し直していたというオチ。作品としては普通程度。しかし,この話から,二つの時間軸の話が交錯してくる。
○ ボトル”ダミー”
ミケさんが残した梅酒をめぐる話。なお,「アリバイレシピ」と「バットテイストトレイン」は,師匠が作家の作中作という位置づけになっている。夏樹裕美が率いる劇団夏毅組の座付き作家の自殺の話が絡められる。真相は座付き作家がダミーで,夏樹裕美が本当の座付き作家だったのだ。最後に,泉谷から,滝沢がなぜ三津池修になったのかの話を聴こうとするところで終わる。
○ サプライジングエッグ
ミケさんと泉谷の関係,ミケさんと滝川の関係が明らかになる。滝川と泉谷が大学生のときに,恩田徹也という研究生が自殺した事件の真相。それは,谷口という男が,生卵を凍らしておき,実験データを狂わせたからだった。罪の意識を持った谷口は,三津池修と名を変える。しかし,それでも罪の意識は晴れない。滝川は,三津池に外国を旅するように言い,時効が中断しないように,自らは三津池として日本に残った。15年が経ち,三津池は帰国し,ミケさんは,滝川に戻る。そして,ネコさんのもとに帰るという話。短編としては普通程度。しかし,キャラ設定がいいので,結構入り込んでしまう作品。良作。
○ メインディッシュ
エピローグ。ネコさんのもとに,ミケさんが戻り,劇団紅神楽が久々の公演をするという話。
○ 特別料理
ボーナストラック。解決編を考えずに,問題編を雑誌に掲載した師匠は解決編を書く事ができず,苦悩する。ミケさんは,師匠の話を聴いて,とんでもない真相が隠されていると師匠に話す。マッサージ機械を改造した電気屋が犯人で,マッサージ機を利用していたことを隠すために死体を切断したのだという…。かくして,またひとつ,新たなバカミスが生まれるのだった…。ボーナストラックとしてはこの程度。最後の最後で,「毛利多喜子」が「北森鴻」のアナグラムであることが分かるというオチ。
個々の短篇のデキがよい。そう思わせるのはトリックのデキではなく,ミケさん,ネコさん,師匠のキャラクターによるところが大きい。メインとなる謎は,ミケさんの正体は誰か?ミケさんはなぜ,ミケさんという名を騙っていたのか?この謎の真相は,「ふーん」と思える程度だが,キャラクターがいきいきしているので存分に楽しめた。★4で。
Posted by ブクログ
「アペリティフ」から「メイン・ディッシュ」「特別料理」にいたるまで11編の美味しい物語が連なっている、ミステリーの連作短編集。前半では一編ごとに舞台が変わり少し混乱したが、読み進めるごとにたくさんの伏線が繋がってくる。「ええっ、そういうことだったの?」と、何度も前を読み返してみたり。実に面白かった。登場人物がみな個性的に生き生きしているのも良かった。
劇団の看板女優である「ネコ」のところに素性の知れない男「ミケさん」が転がり込むところから物語が始まる。この設定、以前読んだ「植物図鑑」とよく似ている。彼の料理の腕前が素晴らしいってこと、彼の真の姿が物語の大きな鍵になる点も同じだ。ただ、「メイン・ディッシュ」はあくまでもミステリーな訳で、彼の果たす役割はちょっと違う。その辺を読み比べる按配になったのも、また楽しかった。
この物語で印象的なのが、彼らに振る舞われる「ミケさん」の料理が本当に美味しそうなこと。お客さんを招いた時に私もこんな風に料理を拵えたいものだと思うことしきり。チャーハンか梅酒か玉子か、どれか一品だけでも今度真似して作ってみようかな。
美味しい料理が登場する小説として評判が良いようなので手に取ったが、正解だった。北森鴻氏の本はこれが初めてだったが、他の作品も今度読んでみようかと思う。
Posted by ブクログ
久々に「え、え?えぇ~っ?」な展開でおもしろかった本。
こちらも美味しそうな料理が出てきます。
ブランデーで漬けた梅酒がいいなぁ。
読後感も良。
やっぱり短編や連作ミステリに強い作家さんだなぁという印象。
しかも小ネタの抽斗が豊富だから、毎回ちゃんと楽しませてくれます。
Posted by ブクログ
なんて飯テロ…美味しそうな料理のミステリにはハズレがない。面白かったです。
特別料理の仕掛けも…!
ミケさんのオリジナルの人がまさかの人物でびっくり。名前が合法的に全て違うとなると、知人が名乗っててもわからないな。お話を全て貫くミケさんの秘密はビターでした。
紅神楽の面々も面白い人たち。ユリエさんと小杉師匠の夫婦漫才的なやり取りも面白いし、それをにこにこ見てるミケさんも容易に想像できて良いです。
梅酒、ブランデーと蜂蜜で作るとどうなるんだろ。北森鴻レシピもどなたか。。。
Posted by ブクログ
ごめんなさい、どうもネコさんが苦手ですね。
料理の描写も中途半端だったかな。
まあ、ミケさんの設定上、余りプロ仕様にする訳にはいかなかったのかな。
自分のなかでは、いろいろと惜しい作品ですね。
Posted by ブクログ
美味しそう…!グルテン抽出したことあるし、このフライはやってみたいな〜
謎解き的にはもにゃっとするところもあったけど、最後のアナグラムは好きです。
Posted by ブクログ
あれ?この拾った男性が料理が上手な設定・・。
というのはともかく。
「香菜里屋」のあとなだけにテリヤの次はミケ?とつい思う。
女優のねこさんとミケと劇団員のワイワイした様子が楽しくて美味しそうで、それとは対照的に暗くてじんわりと不気味な悪意が漂う「滝沢」編。
交互に語られるうちにだんだんと核心にせまるわけですが。
「まさかフィナーレ直前であの人物が、実はあの人物とああいう関係にあったなんてのは、小説の世界ではご法度だ。」
って、まさにこれ?
途中、こんがらがってしまって理解するのがたいへんだったし、こういうのはあまり好みじゃない。
けど、ねこさん、小杉、ミケが大好きでラストのお話は堪能しました。
ミケさんの料理美味しそうだな。
自分では作れそうにないので、せめて梅酒!
ブランディとはちみつの梅酒はやってみようかな。
と、言うわけでタイムリーにも梅が出回る時期だったので漬けてみた。ミケさんのレシピが知りたかった。
とりあえず、梅1kgにハチミツ300g、氷砂糖300g、ブランデー。
V.O.しか手に入らずどぼどぼと贅沢に。味見をしつつ。
20130616