あらすじ
過酷とも言える環境対応技術開発、燃費改善要請。会社存続の危機の中、エンジン技術だけでハイブリッド車並みの超低燃費を実現したマツダSKYACTIV。他社に比べて圧倒的に少ないリソースで、なぜ実現できたのか? そこにはどんな発想力が秘められていたのか。究極のエンジン開発を指揮した著者がその秘密を明かす。
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Posted by ブクログ
理系開発職をやっている人にお薦めです。
MAZDAのSkyactiveエンジン開発のリーダーである人見氏が、少ないリソーセスで競争力のあるエンジンを開発した時の考え方、組織マネジメントを振り返りながら書いた本です。
モデルベース開発の適用などの考え方がしっかりしていて良かったです。本質的な課題をバラして、ボーリングの一番ピンとなる課題に注力するというやり方が良かったと思いました。
Posted by ブクログ
本書では数多の課題を効果的に解決する方法としてヘッドピンを探せというメッセージとともに組織論についてかなりの紙面を割いて書かれている。
リーダーシップや組織の在り方について書かれた本は、単にロジカルに説明がなされているだけでは行動につながらないと常々考えている。文字に熱が乗ってこそ読者の感情を刺激し行動を変えさせる効果が大きくなる。
熱が乗るというのは、自分の頭で考え、悩み苦しみ、なんとかしようともがいてきたが故の臨場感、説得力があるということである。
人見氏の人間臭い悩みやリーダーとしての考え方、開発組織としてどうあるべきかという本書のメッセージは、同じく開発の現場で理想と現実の間にゆれながらもがく身として心に響き、背中を押してもらえるような本だった。
Posted by ブクログ
マツダ車が好きなので、ここ数年、マツダのブランド価値が上がってきたことがとても嬉しい。
力をつけてきたマツダブランドの裏側を知りたいと思い、以前から気になっていた人見光夫氏の著書を手に取った。
物事はできるだけシンプルに捉え、ヘッドピン(ポイント
となる課題)を見つけて、解決することに邁進する。できないとは言わない。
『答えは必ずある』
シンプルだけど深い。とても共感できる内容だった。
Posted by ブクログ
研究者としてものづくり業界にいるものとして勇気をもらえとても共感できた。この時代にこんなことができた人見氏を尊敬します!(講演で直接話を聞いたときは胡散臭い感じでしたが(笑) それにしても残したい言葉がたくさんあった。マツダは間違いなく生まれ変わっている。自分たちもこうなりたい。以下目次のタイトル。
・答えは必ずある
・マツダ存続の危機
・「できない」とはいわない
・強烈な反骨心でソリューションを探る
※俯瞰し問題を見抜く力
・答えはいつだってシンプルである
・常に全体最適を考える
特に※の章からいくつか言葉を残しておくことにする。
・時には極端なことをやってみる
・まさにロードマップが私たちを導いている
・世界一を目指さなければサラリーマンだって面白くない
・自分で誇れる仕事をするしかなかった
・ヘッドピン探し
・「私の専門にはこれだけの広がりがある」と自分カタログに書こう
・いかに共通課題を見つけるか、そしてシンプルに答えを見出すか
・ロードマップを示してメンバーに道を教えるのがリーダーの役目
・もう少し他の部門の仕事も近いして協力できないだろうか
・後追いの対症療法ではなく根本的治療法は何かを考える
・あらゆるシーンなど想定できるはずがない、だから共通の課題を探す
・負けず嫌いならば他人にとやかく言わずに自分を磨け
・商品開発と先行開発のバランスを逆転させれば強い組織となる
「商品開発・量産開発はやると決めた製品を開発し量産する部門だからそれはいかに効率よく少人数でこなすかという事が重視されるべきだ。そのかわりむしろ将来に向けた先行開発に優秀な人材を配置すべきなのだ・現状から言えば逆三角形になるそうした組織こそが開発重視の会社では正しい。いい会社の条件と言っていいはずだ。」
・道を知っていれば迷わずに済む
・代替可能が受け入れられる強さが欲しい
・ヘッドピンがわかったら自分たちが制御できる因子を見極める
・全体像が分かれば進むべき方向性も自分のポジションも見えてくる
・究極の姿を描きそこに近づいていく
・ロードマップに沿ってまだまだ挑戦の連続なのだ
Posted by ブクログ
電気メーカーの開発部門に働いている身として、職場の環境というか、雰囲気が一昔前のマツダさんと同じような気がしてならない。
時間も人もない条件で高い目標に挑むことはチャレンジではない。否定することに優秀な頭脳を使うことは、勿体なさすぎる。
実際にゴールするまでのイメージを持てるかどうか、大きく変わることを受け入れられるかどうかが、飛躍するかしぼむかの分かれ目なのだろう。
さて我が職場は変化を受け入れられるだろうか?
しかし人見さんは根っからの技術者なんだなぁ、と思わず笑顔になってしまった(笑)
Posted by ブクログ
2015年の22冊目です。
マツダ株式会社常務執行役員の人見光男さんの書かれた本です。
先行技術開発が長く、提案した技術が商品化を担当するエンジニア達から受け入れてもらえないという経験を何度もされています。私も新入社員の頃に在籍した先行技術開発チームで、担当していた技術が取りあってもらえなかった経験があります。人見さんは、何度もそれを経験されていながら、技術を開発することに対して”諦める”ということが無かった。その粘り強さが会社を救うエンジン技術の実現に繋がったと感じました。またもう一つ、”ヘッドピン”と名付ける複数の問題に共通する課題を見つけて、それを解決していく仕事進め方が、様々なリソースの少ないマツダ流の「選択と集中」という考え方が、仕事を成功へと導いたと強く感じました。
感謝の気持ちを込めて本書中に揚げられた社員の中に、
研究室の一年先輩と一年後輩の名前があり嬉しかった。
Posted by ブクログ
マツダのスカイアクティブ・エンジンを主導した著者が、その設計思想について、開発当時の生々しい思いも含めて語った一冊。
「作りたいんは世界一のエンジンじゃろうが」と内容的にかぶる部分はあるが、あちらはより技術的な色が濃いのに対して、本書は仕事への取り組み方や姿勢を含めてよりビジネス書的な内容となっており、より広い層に受け入れられるのではないだろうか。
マツダの選択として、多くの選択肢の中から良さそうなものを選ぶのではなく、様々な課題に共通している要因を洗い出し、それを徹底的につぶすという思想をとっている。
えてしてそういった共通課題というのは、大変難しい問題が多く、まずは手のつけられそうなものから潰していくという手法をとりがち。
ただ、その手法ではモグラたたき的な事態となってしまい、抜本的に良い方向に向かわないことが多かったりする。
それでも少しづつは進むので、何となく仕事をやったような気になって、その手法をとり続けてしまう。
マツダのように主要な課題を一丸となって取り組むのは非常に勇気のいることで、その選択をした著者とそれを容認した経営陣には感服する。
エンジニアであれば、どこか共感できるところがあり、自分もできるのではないかという勇気がもらえる一冊。
Posted by ブクログ
逆境だからこそ知恵が出るっていう事例。
人数が少ないからこそ、コンピュータを積極的に採用したし、後戻りが出ないように攻めどころを事前に整理した。
それと、反作用を怖れず一度試しに振り切ってみるっていう作戦は使える場面がありそう。
Posted by ブクログ
マツダの存続を掛けてエンジン開発に取り組まれたお話です。
答えは必ずあると信じて取り組み続けることで、新しい発想が出てくること。
困難に思えることも、要素を絞り込んで(今回の場合は7つ)考えてみると、突破口が見えてくること。
常識が邪魔をすると山の上の景色が見えない。
など問題解決の取り組み方として、技術者以外でも参考になることがたくさんありました。
Posted by ブクログ
マツダに関する本は以前に「ロマンとソロバン」を読んだが、
今回もスカイアクティブ技術の成り立ちが書かれている。
本書は現在マツダ常務執行役員の著書で、
以前は開発をされていた方でスカイアクティブ技術をリードされていた方。
内容は「ロマンとソロバン」が被る事が多いが、こちらは実際に携わっていた方の
証言なので重みが違うと感じた。
電気自動車の普及がいかに難しいか、
CO2排出の問題は、原油採掘から生成時までかなりCO2が排出され、
(電気自動車が)走行時にCO2が排出されないとはいえ、
製造までに大きな問題があるということ。
また、ここまで日本で自動車が普及していることから、
(現在約6000万台)多くが電気自動車に変わった場合の
発電問題、充電問題、インフラの問題は決して容易くないという事。
グラフでの説明もあり説得力があった。
そもそも、マツダは次世代の自動車をハイブリッドでもなく、
電気自動車でもなく、従来のエンジン(内燃機関)で勝負に出るというニュースが
流れた2006年。
小さい会社だから資金の問題とかあるだろうが、できる範囲内での可能性を求めて
勝負にでるその意思がカッコ良かった。
期待させられるものがあった。
本書を読むと、それ以前と以後で社内が随分変わったのだろうと思う。
実際に欧州のCO2問題にも直面し、いわば背水の陣だったかもしれない時期に
変革しなければいけない。
そのいきさつが書かれていてチャレンジする姿勢が素晴らしい。
内容的には「ロマンとソロバン」のほうが濃いようだったが、
本書はビジネス的、マネージメント要素が強いと思います。
Posted by ブクログ
・共通主要課題を1つに絞って単純にし、対症療法ではなく根本的治療を施そう
・電気を作るところから考えるとエコカーはどれも言うほどエコじゃない
・何か新しい発見をしたかったらパラメータは少しずつではなく大きく振るべきだ
Posted by ブクログ
「大きく振ってみる」
誰もまだ見ていない世界にいち早く踏み込む。
「後追いの対症療法ではなく根本的な治療方法」
理想のゴールを強くイメージする。
「ヘッドピンを探る」
山のようにある課題は本質的につながっている。
エンジン効率改善の7つの因子を理想に近づける。
CAEを強化し効率化。
Posted by ブクログ
1ヶ月前に、CX-5 Skyactive-Dを購入しました。この本を購入する前です。
CX−5に替える前は、Mazda アテンザ(5MT)に乗っていました。
この本を読んで感じた事は、スカイアクティブ開発リーダーであり本の著者でもある人見さんは「普通の人」なんだと思いました。
AppleやSoftbankなど、世界をリードする企業のリーダーはとても自分には想像もできないカリスマ的な印象がありますが、Mazdaのすばらしいエンジンを開発したリーダーは普通の人でした。
書いてある内容は大体リーダー本に書かれている内容で、自分にも理解できました。当たり前のことを当たり前にやってみせる事が如何に難しいことかわよくわかっていますが、そこにカリスマ性は感じません。
でも情熱は感じます。
「燃費が良いだけの車でよいなら、マツダである必要は無い」
まさしく自分がCX-5購入に至った思いです。
もう少し本の内容に踏み込むと、以下の内容が特に印象に残りました。
電気自動車はCO2排出量ゼロです。でもその駆動源である電気の発電には多くのCO2が排出されている。その議論が殆どなされていないまま評論家やマスコミは将来有望なものとして持ち上げている。
ハイブリッド自動車はブレーキ時にロスするエネルギーをエンジンの最も非効率な時に利用していて合理的である。でもそのハイブリッド技術を使う前にまだまだ内部燃焼機構(燃費)の改善余地がある。Mazdaはまずそこを目指す同時に走る喜びも追求して行く。
Skyactive-Gは圧縮率を上げると異常燃焼がおこりエンジンを破壊してしまう、と言うのが自動車開発での常識だったが、思い切ってそれ以上に大きく振り圧縮率を上げてみると、異常燃焼はそれほど落ちなくなった。これが今の圧縮率14を実現するきっかけとなった。(ディーゼルは低圧縮化だが圧縮比はたまたま14で同じ)
自分の車が更に好きになるような内容の本でした。
Posted by ブクログ
マツダという弱小メーカーの、日の当たらない部門で開発にあたっていた中間管理職が、SKYACTIVEの元で大暴れし、ハイブリッド車並みの燃費をガソリン車で実現する話。エンジン開発のことはまるで知らないのだが、複雑そうなものも整理して考えれば7つの要素でしかなく、それを潰すだけで良いというのは信じられぬ。かなり正直に鬱屈も書かれているし、反論覚悟で偉そうとか上から目線と言われそうなことも書いている正直で面白い一冊。技術についても踏み込んで書いてあるのだろうが、わからぬ点がちらほらあり、妥当性に至ってはまるでわからんのは残念。
Posted by ブクログ
要因を見つけ、ボウリングのヘッドピンを倒すように…との記述、甚だごもっともだが、それを見つけられないのが自分の現実。見つけようとしてないだけか、能力不足か