【感想・ネタバレ】完璧な夏の日 下のレビュー

あらすじ

ベトナム、アフガニスタン、9・11。ひとつの戦争の終わりは、別の戦争のはじまりに過ぎない。現代という“暴虐の世紀”にあって、老いることのない異能力者たちは、無数の戦場で果てしなき闘いを重ねる。そんな血と憎悪にまみれた世界にも確かに存在した愛と、青年たちの友情と絆。そしてフォッグはついに、彼が呼び出された理由である、終戦直後のベルリンでの事件に隠された真実を語りはじめる。〈夏の日〉と呼ばれたあの少女は、異能力者たちすべての運命の鍵を握っていたのだ……。世界幻想文学大賞作家が放つ、最先端の“戦争×SF”!ガーディアン紙2013年ベストSF選出作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

幼稚と言われればその通りなのだが、ジャスティスリーグやアベンジャーズ、劇場版の戦隊モノや仮面ライダー等、超人がドカドカ出て来て活躍する系のお話が大好きだ。
絢爛豪華で華やかなスター勢ぞろいに、本能的な何かを刺激されるのだろう。

この小説も、ユーバーメンシュと呼ばれる超人たちが大勢出て来て、第二次世界大戦やその後の冷戦、ベトナム戦争等で活躍する。主人公も相棒もその超人である。大人な小説なので単純な正義などなく、それぞれの国のそれぞれの政治的思惑の元、超人たちが超能力を駆使して戦いを繰り広げる様は、痛々しくも読ませどころである。

アメリカは派手な衣装を着てショーのような戦いをし、イギリスは地道にスパイ活動をし、ドイツは真面目に律儀に苦悩し、ソ連は冷たくも暴力的で共産主義的で…と、各国のユーバーメンシュがそれぞれの特徴をもっていて面白い。

ただ非常に残念なのは、ヒロインがキャラクターとして弱すぎる。美しく純真で明で善なのだというのは分かるが、あくまで説明されていることに終始し、それが個性として生かされていない。まあヒロインのキャラ設定が弱くても面白い小説だってあるんだけど、この作品の場合、ラブロマンスに着地点を求めているのだから、ヒロインが弱いと着地が上手く決まらないのである。途中まで面白かったので、仕上がりが決まらないのは非常に残念だった。

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2016年06月03日

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