あらすじ
生物が地球にあふれているのはなぜか。一見のんびりした進化というプロセスの真の威力と意味を説くドーキンスの講義を、『知の逆転』の吉成氏の翻訳・インタビューと、満載の図版でお楽しみあれ。
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Posted by ブクログ
「利己的な遺伝子」の著者リチャード・ドーキンスが1991年に英国王立研究所で行った、子どもたちを対象とした「進化」についてのレクチャーと著者へのインタビューをまとめた一冊。進化論と科学への啓発で、分かりやすくて面白い。しかし、「私たちは、DNAがひたすら同じDNAのコピーを作るために組み立てられた機械なのです」というメッセージは、おそらくそれが事実なのだろうが、特に子どもにはショッキングな内容で、レクチャーの中でケアが必要な気がする。
このメッセージの解釈は人それぞれだと思うが、我々人間は生きる意味や目的を求めてしまう生き物である。しかし、デザイノイド(デザインされたように見える物体)である我々には、本質的には生きる意味や目的は無い。ということは、意味や目的が欲しければ、自分の意思で決めればよいのではないだろうか。生きる意味がないからといって悲観的になったり、死に急ぐ必要はない。「生きる」ということに意味はないが、「生きている」ということ自体は信じられないほどの幸運である。そうであれば、この幸運に感謝しながら、自分の意思で好きなことをすればよい。ドーキンス自身は、この幸運がどのようにしてもたらされたのか、つまり宇宙は一体どうなっているのか、生命とは何かといったことを追求する「科学」に時間を費やすのが最も有意義だと考えている。
このように解釈すれば、とりあえずショックは軽減される気がする。さて、私は何のために生きようか。
・第一章 宇宙で目を覚ます
・第二章 デザインされた物と「デザイノイド」(デザインされたように見える)物体
・第三章 「不可能な山」に登る
・第四章 紫外線の庭
・第五章 「目的」の創造
・第六章 真実を大事にする―吉成真由美インタビュー