あらすじ
雄一は、中学一年の夏休み後、仲のよかった同級生から突然イジメの標的にされる。彼は、心の痛みをカリスマ的な存在である歌姫“リリイ・シュシュ”の世界で癒そうとする。そこだけが、自分の居場所であるかのように……。イジメ、万引き、援助交際……閉塞感に押しつぶされそうな日常と、そこから逃避してリリイ・シュシュのファンサイトに没頭する非日常の間で生きる十四歳。青春のダークサイドをリアルに描き出し、話題を呼んだ映画作品のもとになった、ネット連載小説の文庫化。
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匿名
ネットの掲示板
ネットの掲示板風の書き方でした。個人的にはネットの掲示板やコメントがにがてなので、最初は苦痛を感じましたが、半分を過ぎると段々と面白くなっていきます。ストーリー的には生々しい思春期の話しでした。最後まで読み、最初から読みかえさないとなと思いました。登場人物が多くて、理解できていない部分があると思ったからです。
Posted by ブクログ
青臭くて痛い
サラッと読もうと手に取ると、あまりに重さに苦しくなるので落ち込んでいる時にこそ読んでほしい。
上がりたいともがきたくなる。
Posted by ブクログ
我が家の積読本は、ブックカバーをかけています。
通勤出発前にパッと手にとった本がこちらでした。
たぶん10年以上本棚に寝かしていた一冊…。
あらすじを全く知らずに読み進めていて…
あれ、これ…なんか不穏…と思い、ネットで検索。
(結末知って読んでも大丈夫な人なのです)
検索結果に、「トラウマになる」「鬱展開」とか書かれてしましたので、心して読みました。
本当は精神状態が、あまりよくなかったので、
読むのをやめたかったのですが、
続きが気になって読む手がとまりませんでした。苦笑
カリスマ的な存在の歌姫、リリイ・シュシュ。
好意、ファン、推し、癒し、高貴、崇拝…
リリイ・シュシュという人物を通して、
ネットの掲示板「リリイホリック」に集う人たち。
サティ、くま、ネヴィラ71、ねんね、鉄人29号、あみか、トムトム、カエル、ゆみこ、るか…そしてパスカル。
顔も名前も年齢も性格も職業も何も知らない。
リリイ・シュシュだけが、唯一。
実は、過去に同様の掲示板が存在していた。
更新が止まってしまったサイト「リリイフィリア」。
なぜ、突然更新が止まってしまったのか。
あの日、本当は何があったのか。
リリイのライブ後、何があったのか。
ファンの自殺、
スタッフによる暴行傷害事件、
ライブハウスで起きた殺人事件。
リリイの周りには、
強い希望、光が存在するのと同じぐらいの、
絶望と暗闇が存在する。
誰かを救うということ。
道しるべになるということ。
救いって何だろう。
蓮見雄一、星野修介、津田詩織、久野陽子
田舎町の中学校。閉鎖された町、学校、空間。
いじめ、万引き、レイプ、援助交際…
学校の先生ですら、生徒の顔色を窺い、媚びへつらう。
誰も助けてくれない。
解決できない。
終わらない。
逃げられない。
ある時期を境に、星野からイジメの標的にされた雄一。
辛い現実、日常を救ってくれたのはリリイの歌だった。
とにかく語られる日常が過酷すぎました。
家庭も教師も大人もあてにならない。
頼りにならない。
助け合えるのは、虐げられている者同士。
それだって、本当に救ってやることはできない。
たった一つだけの居場所。
それがリリアフィリア。
あの日、ライブで真実を知るまでは。
誰も助けてくれない現実に、さらに突きつけられる真実。
10代のころ読んでたら、どう思ってたかなあ。
学生時代からかなり遠ざかった30代後半。
それでも。
読み切った後は、何とも言えない気持ちになりました。
「そっかあ、そうなのかあ。」って。
胸が痛くて苦しくなりました。
私はトラウマにも鬱展開とか
気持ち的に落ちたりはしませんでした。
事前にネタバレしてたかもですが。苦笑
ネットの世界は見えない分良いこともあれば残酷なこともあるし、学校生活が苦しく感じる瞬間があることは、今も昔も変わらないのかも、と思いました。
唯一のリリイが実態として姿を現さないことが、
ある意味の救いなのかもしれない。
私はエーテルを感じることはできない。
Posted by ブクログ
映画見てから読んだ。映画の脚本と違う部分も少しだけあったけど...どちらにせよ救われる要素が増えるわけではない。それぞれ映画で表現する意味・書籍で表現する意味を追求した結果生まれた違いなのかな...?と思ったり。
文体について、電車男みたいにネット掲示板の形式をとっている。
前半部分では、生産性があるとは言い難いネット掲示板の会話が描かれていて、
時代感・年齢感などを通して、ひとつの音楽を取り巻くファン達の存在がリアルに感じられた。
後半部分は、主人公の掲示板での独白でストーリーが進んでいく(弁明?解説?のような感じ)。
蓮見くんは、こんな子だったんだ、いろんなことを考えていたんだ、と、口を聞かない息子の携帯を勝手に見てしまった気持ち?(子供いたことないけど)これは先に映画を見たからだと思う。蓮見くんを演じている市川隼人さん可愛すぎだったから...
一つ一つは掲示板への書き込みだけど、全体的には日記のようなエッセイのようなその文章から、状況や陰鬱な感情が直に伝わってくる。
読みながら、映画で見た、鬱屈な空気に満ちた映像達を思い出し、蓮見くんの感情の答え合わせをするんだけど、全部そんな単純なものではないので正解とかはなかった。
映画版では、画面の向こう側として学生達はそこにいるだけでとっても美しいし、カットや田園風景の良さで雰囲気にやられてたけど、
書籍版では文字しかないのでそんなこと言ってられず、より残酷な事実だけが伝わってきた感じがした。あとリリィシュシュに対する蓮見くんの気持ちもよくわかった。
そんな感じの書籍版、リリィシュシュの音楽を聴きながら読むことで、リリィを愛するこの話の登場人物と同じ体験をしていると自覚できて、とても楽しい(奇妙な?)読書体験だった。
リリィシュシュの音楽は美しいのだけど下手したら自殺したくなるくらいの力があるってなんかとってもわかるな。とても良い曲なんだけど軽率に聴けない。引き摺り込まれすぎちゃうから。