あらすじ
あの日、妻が消えた。何の手がかりも残さずに。樋口警部補は眠れぬ夜を過ごした。そして、信頼する荻窪署の氏家に助けを求めたのだった。あの日、恵子は見知らぬ男に誘拐され、部屋に監禁された。だが夫は優秀な刑事だ。きっと捜し出してくれるはずだ――。その誠実さで数々の事件を解決してきた刑事。彼を支えてきた妻。二つの視点から、真相を浮かび上がらせる、本格警察小説。
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Posted by ブクログ
今野敏「警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ」第2作目(1998年4月単行本、2007年10月文庫本)。
1作目より断然面白かった。捜査の小気味良い進行とドキドキ感と期待感、夫婦の信頼感、相性のいい捜査の相棒との信頼感、そして最後に権威権力者を出し抜く痛快なオチまで用意されている。このシリーズにもハマるかもしれない。
主人公の警視庁捜査一課強行犯係の樋口顕警部補の妻恵子が失踪した。翻訳の仕事で金曜日の午後、翻訳家の自宅に下訳の原稿を届けた後行方不明になった。誘拐の可能性があるがわからない状況だ。樋口は独自に捜査を始める。月曜日の朝には警備部長脅迫状に関する捜査本部がたつ。それまでに独自に解決すべく荻窪署生活安全課の氏家譲巡査部長に協力を依頼し、前作「リオ」の相棒コンビが事件解決に動く。
2日間のタイムリミットで優秀な刑事が頭を働かせ、足を使い、徐々に誘拐犯の特定に近づいていく。樋口の自宅は多摩プラーザ、翻訳家の自宅は初台で所轄署は代々木署、そして誘拐犯と見越したのはその交番に勤務する若き警察官安達弘だった。
恵子はその警察官のアパートにはいなかった。どこかに監禁されているはずだ。もう命の危険性もある。樋口は代々木署に状況を話して捜査の緊急配備をして貰う。
恵子はゴムマスクを付けた男に高円寺のマンションの一室に手錠を掛けられて監禁されていた。しかし優秀な刑事である夫が必ず救ってくれると信じている。犯人との会話で誘拐の理由を知り得ることになるのだが、恵子が犯人に言い放った言葉が凄い。「あなたは間違いを犯した。私の夫を敵に回してしまった」と。
樋口が身を挺して恵子を守り、氏家と代々木署の捜査員が安達を逮捕した後の恵子の言葉はただ一言「来てくれると思ってました」と。凄い信頼です。感動です。
そして恵子が安達から聞き出した誘拐の目的の中で、警備部長狙撃計画のことを聞き、樋口は2件の事件を同時に解決することになるのである。
安達犯人説に当初懐疑的だった樋口を説得したのが氏家だ。警視庁の刑事と所轄の生活安全課の警察官がこれからも相棒になるのかわからないが、きっといい関係は続いてちょくちょく出て来ればいいなと思う。
Posted by ブクログ
評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
あの日、妻が消えた。何の手がかりも残さずに。樋口警部補は眠れぬ夜を過ごした。そして、信頼する荻窪署の氏家に助けを求めたのだった。あの日、恵子は見知らぬ男に誘拐され、部屋に監禁された。だが夫は優秀な刑事だ。きっと捜し出してくれるはずだ―。その誠実さで数々の事件を解決してきた刑事。彼を支えてきた妻。二つの視点から、真相を浮かび上がらせる、本格警察小説。
Posted by ブクログ
奥さんが誘拐される、というお話。刑事の妻は色々大変そうです。でも度胸もしっかり据わっていたので安心して読めました。夫婦だからって特別な事はなく、いたって普通。それが分からない育て方はしたくないなぁ。氏家さんが良いパートナーで時々笑ってしまいました。
Posted by ブクログ
シリーズ2作目、相方も変わらず
今回は脇かと思われた事件が、つながっていきます
結果的に主人公たちが単独で解決することになります
1作目よりも展開はあっさり
ほかに怪しい人物が現れず、犯人は早い時点で予想がつきますが、やはり心理描写を読ませる作品です
そう言われると、私も「朱夏」を生きる世代なのかな