【感想・ネタバレ】トウェイン完訳コレクション 不思議な少年44号のレビュー

あらすじ

ある日突然村に現れた44号と名乗る少年には、並外れた腕力の他に、他人の心を読み、時空を旅するという信じられない能力が隠されていた。同名異本も存在するが、本作はトウェインの手による決定版の完訳!

※本作品は一九九四年六月、小社より刊行された単行本を改題の上、文庫化したものが底本です。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

舞台は印刷技術が発明された欧州。教会が独占した知識が複製可能になったとき、印刷工の前に謎の少年が現れ、呪縛を小気味よく撃っていく。ユーモアな作風とそれを支える鋭い批評精神に驚く。完全なる原本が改訂新版で文庫化。

確かにカート・ヴォネガットらSF作家に多大な影響を与え、時間旅行の言及もあるから、「SF」というジャンルに置かれがちですが、そう簡単なものでもないのじゃないのかなと(加えればSFも読み捨てではないという意味で)。人間とは何かという一つの探究だと思う。

0
2012年08月07日

Posted by ブクログ

序盤はぐいぐい読ませる。特に少年が登場して、名前を名乗る辺りまではもうこれは今年読んだ中ではベストか!と思ったが、中盤で失速した。ティムバートンのダメなときの映画に近く、描かれているイメージが共有できないため、ついていけなくなった。全く予測のたたない筋というのはある意味苦痛。

ラストの独白は素晴らしかったので、やはりこれは未完成作なのかもしれない。

0
2011年12月16日

Posted by ブクログ

 前半はかなりおもしろい。印刷技術の黎明期の姿が興味深かった。活版印刷は当時の最先端の技術だったけれど、それに従事しているのは素朴なカトリック教徒、というのが、当たり前だけれどおもしろい前提。考えてみればグーテンベルクが印刷したのは聖書だし。
 天使のようにも悪魔のようにも見える超能力者44号のカリスマには魅力を感じる。こいつは人間ではないな…というか、根本的に話が通じない感じが実に気持ち悪くて恐ろしくて、おもしろい。
 おそらく完成稿ではないということもあって、散漫なところがあるのがやはり残念。後半の妙なラヴロマンスなんて、前半にそんな気配がないものだから唐突に感じるし。ただ、印刷機はすなわち複製機で、だから語り手のアウグストたち印刷工の複製が立ち現れるのだという訳者の解説はなるほどと思った。
 訳は微妙。正確なんだろうけどいまいち日本語としてこなれていない訳文で、傍点が煩わしい。お金が日本円になっているのも気になる。

0
2010年10月24日

「小説」ランキング