あらすじ
外界から孤立した「霧越邸」で続発する第二、第三の殺人…。執拗な“見立て”の意味は? 真犯人は? 動機は? すべてを包み込む“館の意志”とは? 緻密な推理と思索の果てに、驚愕の真相が待ち受ける!
※本書は一九九五年二月刊行の新潮文庫版を全面的に改訂した〈完全改訂版〉が底本です。
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Posted by ブクログ
94点。
初めての綾辻行人。
筆力がすごいと思った。さすがだなあ。頭が良いんだろうなって感じられる。
これくらいの長さの小説を読んだのは久しぶりな気がしたけれど、あっという間に読み終わってしまった感覚になった。実際には時間がなくて少しずつ読むことになっていたから読み始めからは1週間経っているのだけれど、それを感じさせないような勢いだった。続きが気になって止まらなかった。屋敷の見取り図があって構造上のトリックがあると思ったけどそれはなくて少し拍子抜けだった。3階の存在や6人目の屋敷の人間も驚きや納得感が少なかったからそこもまた拍子抜けはした。
本筋のトリックや動機も、度肝を抜かれるものがあるかと思ったら意外と地味なものだった。初めての綾辻作品だから少し期待しすぎたかも?そうは言ったものの、ミステリとしてはかなり上澄みの作品だったと思う。論理的で、破綻がない。ちゃんと緻密に作られているんだなという印象だった。一方で、屋敷に起こる現象が本当に屋敷そのものの性質でびっくりした。そこは現実離れしてるんだ、、って。それこそ最初の偶然から、犯人が便乗して作り上げているのかと思っていたから。名前の暗号も、何回か誘導されていたけど分からなかったなあ。年齢順か。頑張ればたどり着けたよなあって少し悔しい。悔しいけど、そんなことある?!って感じだったね。
『雨』の見立てが2番以降雑だったのは疑問に思ったし、ということは別の人間がやったのでは、とも思ったけど真相まではたどり着けなかった。残念。アリバイをどう崩すか、の視点がまだ足りてなかった。自分はまだまだミステリ初心者で経験が浅いから、この先もたくさん読んでもう少し推理を頑張りたい。
本当に偶然性や超常現象が中心であったことを除けばかなり好きな作品です。
とは書いたものの、巻末のインタビューを読んで、たしかにミステリと幻想の融合に成功した作品なんだと感じた。時代背景を考えればたしかに。槍中が見立て殺人に介入した理由を現実的な理由に落とし込んで欲しかった気持ちも少しある。幻想としたのは逃げだったとも思う部分は少なからずあるけど、だからと言ってこの世界観にしたことについては文句がない。魅力的な雰囲気が生まれていてとても引き込まれた。
振り返ってみればみるほど良い作品だったと思える小説でした。
Posted by ブクログ
綾辻先生の作品の中で、やはりこれが一番好き。
吹雪の山荘、愛想のない住人達、隠された存在、見立て殺人。
到底理解はできないけど、槍中の散り際は見事。
事件から年月がたち再び鈴藤が霧越邸を訪れるも、人目見ることすら叶わなかった切なさや、祈るように眠りについた霧越邸の荘厳さたるや。
読み終えた時の余韻はずっと変わりません。
この完全版は特に巻末の霧越邸秘話を読むだけでも価値あり。
館シリーズを読んでいるから、その場にある不思議な力を何の違和感もなく自分の中に落とし込めてしまうけど、ただの遊びだった名前の暗号を鍵として組み込むことで結果、幻想小説の色も濃くなったというのにはただ驚き!
作家の中で作品は進化してるんだなと大袈裟ですが感動しました。
Posted by ブクログ
上巻に引き続き殺人が続く。3人目からどんどん大胆になっていくような印象。時間に関係あることとないことの振り分けが難しい。いないと言われている誰かの存在も、本人はそこまで隠れる気もないような気がするが。
謎解きパートは二段階構成で、一回納得させられた後にさらに展開があって、まさか見立てが細工されていたとは…確かに違和感だらけだったから、またうまく違和感回収されてしまった。
動機に関してはすごい独特の世界観を感じた。3人目は特に、バスが故障しなければ、天気が崩れなければ、道に迷わなければ殺されることはなかったはず。最終的な犯人も、殺人を犯すことはなかったはず。その要素は持っていたのかもだけど。この屋敷にたどり着いてしまったが故に起きた事件もあり、不思議な力、雰囲気が良かった。
Posted by ブクログ
幻想的でミステリアスで綺麗な雰囲気の小説。
吹雪の山荘も、霧越邸という名称もよく似合う。
館の中で起こる超常現象も嫌な感じではなく、これが何か意味をなしているのかそうでないのかは、受け取り手の解釈に委ねている、というところもいい。
SFすぎるミステリーはあまり得意ではないので。
槍中さん、"綺麗なもの"への執着や情熱が凄すぎてイカれ男になってしまっている…笑
槍中さんが骨董品や文学とかについて長々と語っているところはやや退屈になってしまった。現実にこういう男がいたらモテないだろう。笑
超常現象の影響も信じすぎだし。かなりや置いてあるからってそんな気にせんでいいでしょ。笑
槍中さんが犯人じゃないかな〜〜とうっすら思ってたけど、まさか犯人が複数いるとは思ってなかった。
でも西條八十の本の名前言ってて、なんで名前知ってるんだ!?っていうのは気付けた!
幻想的でミステリアスなミステリー小説という感じで、面白く読めた。
Posted by ブクログ
上巻とだいぶ間をあけて読んでしまったのが悔やまれますが、面白かった…!館シリーズでもあった犯人解明からのどんでん返し。どんでん返しでもない?便乗殺人。亡くなる人や、犯人をも暗示する霧越邸。芦野さんが殺されてしまった時は悲しかった。
槍中秋清
鈴藤稜一
名望奈志
甲斐倖比古
芦野深月
希美崎蘭
榊由高
矢本(及本)彩夏
やりなかあきさや
Posted by ブクログ
ずっと読みたかったのですが、借りられてばかりで悔しくて予約して読みました。
なんとも言えない幻想的な雰囲気がとても良かったです。ありそうでなさそうでありそうな館…好きです❥
今回は犯人を想像とかしないで、没頭しようと決めて読んだので犯人は全然わかりませんでした。推理を聞いて「あぁ…確かにそんな反応してた…」ってなりました。
幼少より演劇をやってきましたが、動機はあまり好きにはなれなかったかなぁ( まぁ演劇は関係ないですもんね )
あと霧越邸の不思議な力のお話がとても面白かったです。最後に名前のアナグラムとか…たまたまにしてもすごい…と思わずその場にいるような感想に。笑
4年後訪れた時には見ることが出来なかったそうですが、そこもまたいい…❥
久々の綾辻ワールド。しっかり堪能したら余韻で次に進めないです。笑
王道ミステリもっと読みたくなりましたが、現在入院中で持ってきてないのでもう少し我慢します。
話変わりますが『清』という字を『さや』と読むのが素敵すぎて、嬉しかったです。
Posted by ブクログ
幻想的な要素と本格ミステリーが融合した館シリーズのスピンオフ的な作品。ずっと違和感があり、解決編に入ってからもモヤモヤしていたが、真犯人が分かってからああ納得となった。槍中の発言の随所になんでそんな結論がその段階で出せるの?と思っていたのでそれは納得だった。しかし、最初の事件にはズレを作ったとしても完全なアリバイがあるという点はずっと引っかかっていたが、犯人が違うのは説明がついていたので納得した。とても面白かった。
Posted by ブクログ
こういう作品は探偵役も疑わねばならないの典型だったやつ。館の中にいる何者かの正体に関してはちょっと…て感じだったけど、火事のショックやら肉体的な問題があるから隠そうとする気持ちは分からなくもない。でもそれならちゃんと隠し通しなよ…てなった。どうして殺さねばならなかったのか、の部分が深月以外なんかよく分からなかったし、館で起きた怪現象は結局謎のままだったのが残念。なんかどれもどっちつかずのままで終わっちゃったなあ。
Posted by ブクログ
第一の犯人まではわかって、見立て部分をあやか(あほなふりは全部演技)がやって、あやかが第一の犯人を脅して、役欲しさにみつきを殺させたんだと思って読んでたら、違った…。うがちすぎた…。
Posted by ブクログ
面白かったは面白かったけど、これから死ぬ人が館によって予言されていたのがマジで何一つ関係なく、ただの偶然(もしくは不思議な力による予言)だったことは結構驚きだった。何か理由あるのかとか思ってた。
見立てをした理由やアリバイ工作、そして二重殺人、探偵役が犯人、というそれぞれのトリックは驚きこそしたが、甲斐を自殺で片づけようとしたあたりで「え?」と思ってたので、トリックの破壊力はそこまでだった、個人的には。
やっぱ名探偵がいないミステリは探偵役も疑わないとなと思った。深月を殺した理由が中々人外じみた理由だったな~。あとメンバーの名前の頭文字アナグラムはそこまでやるか?と思ったが面白くもあった。
Posted by ブクログ
ホラーかと思ったけど普通にミステリーだった。トリック難しくて何も予想できなかった。深月実は生きてるかなと思ったけど普通に死んでた。個人的にはあまりたのしめなかった。