あらすじ
老いた富豪が土蔵に閉じ込められて死んでいた。事故と思われたが、なぜか床は一面、真っ赤に塗られていて――。完全犯罪に挑むのは「地理」をこよなく愛する地理ガール探偵、西川麻子。遺言状に隠された地図記号の暗号、アフリカの湖にまつわる意外すぎる犯罪ほか、世界地理のトリビアで6つの謎を解き明かす、新感覚ミステリー!
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Posted by ブクログ
《「好き」を追求する大人達》
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「好き」を仕事にするって、どうやるんだろう?
地理苦手なんだけど、なんで勉強しなきゃいけないの?
自分のやっていることに充実感を見いだせない。なんで自分は働いているんだろう?
こんな疑問をお持ちの、少年少女、そして社会人の紳士淑女の皆さん。
今回は「好き」を、そして塾や学校で習ったことを応用した仕事にしている人の生活を、少し覗いてみませんか?
今回の主人公は、地理好きが高じてテキスト出版社で中学生向けの地理テキストの編集を行う女性、西川麻子。恋人の若手警察官、尾谷和寿に頼られる彼女は、持ち前の地理の知識を使って、事件のヒントを彼に提供しています。
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国旗の話、日付変更線の話、地図記号の
話、動物の話等かつては塾講師もしていた麻子の「講義」こと地理のトリビアは分かりやすく面白い話ばかりで、大人の私でも思わず惹き込まれてしまいました。
また、麻子以外にも、和寿の警察の仕事にかける情熱や、各話の中で様々な人達がそれぞれの職業にかける情熱を垣間見られるのも良いところ。
読めばきっと地理が少し楽しくなって、自分が夢中になれることを見つけたくなるんじゃないかなと思います。
あなたが夢中になれることも、もしかしたら今学んでいることや、なんとなく取り組んでいる身近なことの中にあるかもしれません。
【ひとりごと】
温かくて、時に少し切ない師弟関係や愛情関係が描かれる中で、「恋人」であるはずの麻子と和寿の関係があまりにもあっさりし過ぎているのが気になりました。
いくら仕事が好きだからといって、デート中にも仕事の話をし、恋人を情報屋のように使うものでしょうか?
そんな人から「授業が好きだ」と言われたところで、私なら素直に喜べないなと思ってしまいます。
これなら恋人以外の関係の方がまだしっくりくるなと思ってしまうのですが、これには何か理由があるのか…?
面白いのですが、どこかモヤっとした読後感が残るお話でもありました。
続編や姉妹シリーズも合わせて読めば、ふたりについて何か分かるのかも…?