【感想・ネタバレ】サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れかのレビュー

あらすじ

統計学からゲームとしてのサッカー、そして、チームマネジメントを分析するノンフィクション。ファンだけでなく、コーチ、スカウト、プレーヤーにも必読の一冊。
現在、データでサッカーを読み解く時代は黎明期を迎えている。パスの成功率から移籍金の平均額にいたるまで、多くの数字を目にするようになったが、ほとんどのファンはこれらのデータが真に意味するものを理解できていない。本書はこれまでの通説を吹き飛ばし、理解したつもりになっている、サッカーというスポーツのとらえ方を変える。本書を読めば、分析的かつ科学的な視点でサッカーを見るようになるだろう。この道の第一人者として知られる著者、クリス・アンダーセンが、統計学の専門家であるデイビット・サリーという強力なパートナーと組み、数字が解き明かすフットボールの真実のすべてを語る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 データはサッカーを変えるのか。この疑問に対する答えを本書を読みながら自分も考えた。最近はカメラなどの技術が発達し、集められるデータの量は飛躍的に増えている。しかし、そのデータを有効活用できているとは言いがたい。本書はデータ活用の一例を示している。主にイングランド、プレミアリーグの試合データの分析から導き出された答えは意外なものが多い。コーナーキックからの得点率はわずか2.2%程度。2点目のゴールが最も勝点の観点から価値があるなど、統計学の視点から見るとサッカーの知られざる一面が見えてくる。
 一方で同意できない部分もあった。サッカーは偶然性が高いスポーツである。他の競技と比べると本命が勝利する可能性が低いことからも確からしい。しかし本書はサッカーの半分が偶然に寄っているとしており、それには疑問を抱く。不運なゴールはまま起こりうるものだが、それは単に不運だったというだけだろうか。結果的に14本に一本しかゴールにならないとしても、それはコインを投げるのとは異なる性質の行為だ。大半のゴールにはその原因がある。DFに当たって入ったシュートも、その状況に至るまでに様々な駆け引きがありどこかに改善する余地があるはずだ。
 本書は読者に俯瞰的にサッカーを見る視点を提供してくれる。4大リーグでは約1000ゴールが生まれている、これは毎年ほぼ同じである。こういった見えない枠組みが存在していることを知っておくことは有用だ。ただし、それらのデータは試合の今、この瞬間に何をすべきかということは教えてくれない。ゴールを奪うのも、阻止するのも生身の選手である。データがサッカーを変える時がきても、その本質だけは不変であってほしい。

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2016年03月05日

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