あらすじ
ある遺跡で無数の赤子の骨とひとつの壷が発見された。その封印が解かれたとき、人類は未曾有の危機を迎えた。突如、東京では児童殺人が頻発する。そこには必ず虫が大量発生するという怪現象が……。その最中、ひとりの少女が身に覚えのない妊娠をした。頭の中では自分の子を産み、「ベルゼブブ」からこの世を救えという声が響きわたる。ベルゼブブとは? 前人未到の伝奇ホラーの扉が開かれる。
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「蠅の王」と言っても William Golding ではなく、田中啓文。田中啓文の本は、日本SF界きっての奇書「銀河帝国の弘法も筆の誤り」を読んだことがあるだけなので、本書も 600ページを越える壮大なナンシー・サイ・ゴードンがオチなのかと思って読み進めていたが、一応(外見は)普通の伝奇ホラーだった。随所にくすぐりと言うか何というか、本領を発揮したおバカなギャグが挟んであるものの、その構想力と描写力は、田中啓文も一応作家であったことを思い出させてくれる。
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世の中の終わりが来るとしたら、ここまで陰惨で悪意に満ちているであろうか?と考えさせられるほどに超ド級のエグい表現力。神と悪魔は紙一重という意味合いにおいては共感するところはアリ。敬虔なキリスト教信者にとっては、神に逆らうものは全てが悪魔であるであろう。だがしかし神の名の下におびただしい犠牲を払わせた歴史からして、何を以って神で何を以って悪魔かと問われれば閉口してしまう。恐ろしく攻撃的で悪意に満ちた恐怖を堪能できる。ただし不適切な表現により、あまりお子様にはおすすめできない一冊w
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なんともまあ本編641ページ
地獄のエログロ東宝特撮破壊妊娠神様伝奇小説
面白いとか面白くないとか置いといて、読むのすんごく疲れた……………
まま、いつもの田中啓文であるので題材に興味ある人はどうぞって感じ
ボウリングで究極のガターを投げてボールが建物の外まで転がって投げた本人「あれっ、どこいった」結末に笑える人と怒って次のボール持ってくる人と友人に「俺のボールは?」って聞く人はいるでしょう。そういう話なんだと思います(迫真)
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完全に身構えてしまった。600数十ページにも及ぶ厚さとキリストもの伝記ホラーという事で、眉間にシワを寄せ序盤から1ページ1ページを大事に噛み締めながら読む。面白い。歪んだ世界観の描写は素晴らしく、お得意のグロ描写も斬れ味抜群だ。しかし田中啓文はこれで終わらないのだ!終盤は今迄のは何だったんだ!?とハチャメチャにブチ壊した展開になるのだ。もう東宝特撮シリーズなのだ。虫や臓物のグロさ、性的描写のキツいエロさ、架空の表現や駄洒落のくだらなさ。田中ワールド全開の超スペクタルキリスト伝記お下劣脱糞クソ虫ホラーはいい意味で裏切られた。
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田中 啓文 『蠅の王』
(原題『ベルゼブブ』・徳間書店・2001年11月/角川ホラー文庫・2008年1月)
ある遺跡で、無数の赤子の骨と一つの壷が発掘された。
その封印が解かれた時、この世は底知れぬ“悪意”で満たされた。
突如、東京で頻発しだした奇怪な児童殺人。
地底から幼児の呪歌が湧き上がる異常の街に、悪魔教団が姿を現す。
その頃、一人の少女が身に覚えのない妊娠をした。
生まれ出ようとしているのは何者なのか?そして、巨大な呪いは誰のものか?
想像もつかぬ真実がついに解き明かされたとき、“蠅の王”が出現した。(セブンアンドワイHPより)
この伝奇ホラー、というジャンル、当たりが少ない籤をひくようなものだと認識しているので敬遠気味であったのだが、あの田中啓文が・・・、と思わず手にとってしまった。
「あの」田中啓文と言っても、最近は落語やジャズを題材にしたミステリの方で注目されてたのでそのイメージしかなかったのだが、そういえば『ミズチ』も角川ホラー文庫だし、SFもいろいろ書く人だったはず。『馬子』や『蹴りたい田中』もたしかこの人だったなぁ。
で、肝心の内容はと言うと、可もなく不可もなく、であった。
蠅や蜂、蛾、蟻に蓑虫と、これでもかと虫が出てきて、これでもかと人が死ぬ話。
生来の虫嫌いの私には刺激が強すぎると思っていたが、「怖いモノ見たさ」で結構楽しめた。
無論、これが映像化などされようものなら、それこそ失神もしくは瀕死状態は不可避だったろう。
しかし深層意識の虫バリアーが脳内での映像化を固く拒否してくれたので、無駄なエネルギーを使うことなくスラスラ読めた。
田中啓文はもともとエログロダジャレの人なんだから、こんな省エネな読み方は邪道なわけで、本来味わうべきカタルシスの何分の一しか味わえていないだろうが、もう満腹、ごちそうさま、である。
キリスト教信仰と悪魔信仰、カルト教団と言った具材に、SF的要素を味付け程度に加え、うまく料理している気もするが、そこの掘り下げというか、ビックリ感が希薄であったのが惜しい。
これだけの筆力があるのなら、もっと荒唐無稽な展開、驚天動地の真相を、と期待してしまう。
と言っても、あとがきを読むと、これからもこのタイプのやばい伝奇ホラーをばんばん書く、と宣言してらっしゃるので、このまま期待外れに終わることはまずないだろう。
次は何とぞ虫以外でお願いいたします。
ところで、こんなダークな話なのに割と核心に近いところにダジャレを入れてくるその勇気は買い、だ。
あと、神様の造形も出色!最後のほうのセリフなんて、ただのおっさんになってて爆笑モノであった。
70点(100点満点)。
Posted by ブクログ
2001年に徳間書店から刊行された『ベルゼブブ』を加筆修正した文庫版。
どちらかといえばグロ系ホラーで怖いというより気持ち悪い感じ。
特に虫に関する描写が多いので嫌いな人にもお勧めできません。