あらすじ
ウイルスのイメージは変わりつつある。ウイルスが生物のゲノムの中に入り込み、生物の進化にとって重要な役割を果たしてきたことが明らかになってきたからだ。さらに巨大ウイルスの発見で、ウイルス研究は新段階を迎えた。ウイルスとはどんな形をし、どんな種類があり、どんな働きをしているのか。インフルエンザやノロウイルスといった身近な存在に触れながら、新しいウイルス像を解説する。(ブルーバックス・2013年1月刊)
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Posted by ブクログ
まずこのご時世ウイルスが人工に膾炙しているわりに、自分がほとんどウイルスについて知らなかったのでこの本を手に取った。内容は、生物学を全く知らない人には読みづらいかもしれないが非常に面白いものだった。
ウイルスの構造、生活環、多様性や生物との違いなどしっかり学ぶと似て非なるものが多々あり非常に興味深く感じた。個人的に学びとなったのは、哺乳類の胎盤はもともとウイルス由来の遺伝子によって作られるものであること、ウイルスの起源の仮説、多細胞生物の本当の姿の考察、また食品添加物にウイルスが利用されていることなどである。ウイルスを悪者のようには思えなくなりそうだ。
Posted by ブクログ
ウイルスの基本的な構造・生活環、ウイルスによって病気が起こる仕組みから、ウイルスの起源と生物進化との関わりについての最先端の研究の知見まで、薄いわりに内容のぎゅっとつまった本。DNAとRNAの違いやセントラルドグマなど、基本的な話から始めてくれるので、初心者にもおすすめ。
「ウイルスは生物ではない!」なんて思っていたが、いよいよそんなことも言ってられなくなってきた。ホットで興味深い話題がたくさん!もっと詳しく知りたい。
・ノロウイルスの感染と血液型には関連がある?
・タバコモザイクウイルスの内部の細長い空間を使ってナノマシンをつくる試み
・私たちヒトゲノムのおよそ半分に、ウイルス由来の塩基配列がある!
・有胎盤類の胎盤形成に関わる遺伝子が、かつてレトロウイルスだったときのエンベロープ形成に関わる遺伝子に由来していた。(内在性レトロウイルス配列)
・最小の生物といわれるマイコプラズマを凌駕する大きさ、遺伝子の多さ、複雑さを持つ巨大ウイルス(ミミウイルス)の発見は、生物とウイルスの境界をより曖昧にさせた。
・ミミウイルスにくっついて一緒にアメーバに感染するウイルス、ヴァイロファージ
・真核生物の核形成は、DNAウイルス由来である?
・自身の2つの核のうちひとつを、まるでウイルスのように、ほかの紅藻の細胞に注入して寄生する紅藻がいる!