あらすじ
乳癌と闘いながら、懸命に仕事を続ける、泣き虫先生(「雨に濡れて」)。診療所を守っていた父を亡くし、寂れゆく故郷を久々に訪れた勤務医(「百日紅」)。三十年間地域で頼りにされてきたクリニックを、今まさに閉じようとしている、老ドクター(「終診」)。医師は患者から病気について学ぶのではなく、生き方を学ぶのだ――。生命の尊厳と日夜対峙する、十人の良医たちのストーリー。
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Posted by ブクログ
帚木蓬生、いい作品が多いと改めて思う。
これを読むの、3回目。
どの先生も、穏やかでいいドクターです。こんなドクターにかかりたいと、みんな思うことでしょう。
Posted by ブクログ
2015年の51冊目です。
帚木蓬生氏の小説を初めて読みました。
2014年秋にリサイクル本として購入し、
積読状態だったのですがようやく読みました。
10作の短篇を集めた作品集です。
著者は精神科医だけあり、医療や病気に関する表現はリアリティーを感じました。
医療を通した人の生き様に対する真摯な視線を感じます。
健康や生死の問題は、否が応でも人の心に突き刺さります。
時に鋭い刃物の様に心を切り裂き、時に小骨がのどに引っかかるように、
断続的に気持ちを乱します。それらに向き合う人間の心情はとても弱く、
揺らいでいると思います。どうやって折り合いをつけるのかが綴られているように感じました。それを傍で見つめる医療に携わる人の思いは、”尊厳”なのか。
同じく救急医療の現場を舞台にした渡辺祐一氏の小説を思い起こさせました。