あらすじ
時は昭和40年代、長嶋にひたすら憧れた野球少年・ノブオの物語。小学五年生のノブオは、長嶋に心底憧れている、誰もが一目おく野球少年。詩人の父は行方不明、母は子供にも仕事にも無関心、友との別れや理不尽に負った怪我、出生の秘密……。次々と苦難は襲いかかってくるけれど、「長嶋」を心の支えにぜんぶ乗り切るのです! すべての野球少年に捧げる、著者渾身の成長物語。
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Posted by ブクログ
長嶋さんの訃報を機に手に取ってみた。
この街はなんだかヤバイ大人が沢山登場するけど、子供には優しい、昭和の東京の下町ってこんな感じだったんだろうか?
長嶋が好きすぎて、長嶋が生き甲斐で、長嶋が居ればどんなことも乗り越えられる。
野球を知らない人も、ある意味、現代の推し活みたいなすごく共感できて、面白かった。
この時代は、こういう長嶋ファンの子供がたくさんいたんだろうな。
下手な特番よりもよっぽど長嶋茂雄の凄さを感じさせられた。
Posted by ブクログ
野球が好きな自分にとって、読書芸人で名前を聞いたときからずっと気になっていた作品。当時の子供たちにとって、長嶋茂雄という存在がいかにスーパースターだったのかが全身にしみ渡ってくる一冊だった。
全編通して少年の語り口調で綴られているので、子供ならではの感性の瑞々しさに胸を揺さぶられたり、自分の少年時代を懐古させられてしみじみとしてしまったり。お世辞にも恵まれているとは言えない過酷な生活環境に置かれた少年は、それでも自分の中にいる長嶋を信じて、迷ったり落ち込んだりしながらも突き進んでいく。その姿勢が本当に素敵だし、それだけの希望として光り輝ける長嶋茂雄が……なんかもう、スーパースターって言葉すら安っぽく感じちゃって、他に何も思いつかないや。
長嶋世代どストライクなはずなので、今度父親に勧めようっと。
Posted by ブクログ
タイトルとカバーの装丁から少年の楽しい成長話を予想していたが違っていた。
仕事もせず寝てばかり、食事も作ってくれず、主人公ノブオに興味を示さない母親との2人住まいというある意味とても過酷な環境の中、それでも長嶋茂雄選手を崇め模範として野球に専念する事で力強くまっすぐに生きようとする男の子の青春ストーリーだった。
特徴的なのは全編にわたって流れる朴訥とした主人公の語り口。華美な修飾はせず端的な表現のみでの構成になっている。
これが少年の泣き出しそうな心の中を表現しているようだ。
巻末、又吉直樹さんの解説がまた良い。
Posted by ブクログ
小学生の絵日記のような文章が、微笑ましくていつしか引き込まれ、読み終わってもずっとこの先も読んでいたくなる。
巨人の長嶋が大好きで大好きで仕方ない野球少年のノブオくん。昭和30年代の日本にはノブオくんみたいな男の子がたくさんいたんですよね。今のジャニーズアイドルもかなわないくらいの国民的ヒーローだった長嶋茂雄さん。そんなヒーローを胸に抱え、ノブオくんは何度も何度も傷ついて、何度も何度も長嶋さんに助けられ、そして「借り物ではない本物の男の子」になっていきます。
ノブオくんの母親は、今なら児童相談所の案件になるレベルの人だけど、ノブオくんの心にいる長嶋が、折れた心をグワァーんと元の位置へ戻していく過程が素敵です。
『僕は長嶋です。闘うときは闘うのです』
その言葉が胸を打ちます。
Posted by ブクログ
野球選手長嶋を慕う小学生のぼる。
ネグレクトでお金に執着する母や
野球友達、父の友人やおばさん、
などの登場人物と関わりながら
小学生としての様々な困難を
『僕は長嶋です』と心で唱え
ひたむきに乗り越えていく彼を
応援しながら読み進めると
最後はとても泣けてしまった。
Posted by ブクログ
長嶋が好きすぎる小学生が主人公。
少年目線で話は進むので、簡単な言葉で読みやすくさらさら読んでいける。
いろいろ悩んだりして、辛い思いもするけど周りにはいい大人や友達に囲まれていて幸せだと思った。自分の思いをしっかり口にできる彼は立派だと思った。
Posted by ブクログ
今よりもっと貧しい時代を生きる、今よりもっと心の強い子どもたちの話。
大人の都合で逆境に立たされ続ける彼らにとって、プロ野球選手「長嶋茂雄」はいつもヒーローだった。
自分たちの中にある「長嶋」を信じて生きていく。
長嶋という大きな心の支えが、子どもたちを真っ直ぐに成長させる。それはまさに、当時野球がエンターテインメントではなく、彼らの人生そのものであったということなのだ。
豊かな心と厚い友情はこのように形成されるのかと、当時の環境に驚き、また羨ましくも感じた。
Posted by ブクログ
今の時代にも長嶋少年はいるんだろうか。こんなにも何かに憧れる子は。
というよりも、長嶋のように時代を象徴する存在が、子供たちからの憧れの対象となる存在が少なくなったのかもしれない。
何かに憧れることで子供は成長できるのだ。その憧れの対象を目指すことで。子供は何にでもなれる、その意味が分かった気がした。
Posted by ブクログ
長嶋茂雄に憧れて、自分を重ね合わせるノブオ。
「僕は長嶋です」の気持ちで、野球もうまくなるし、勇気をもって行動できる。
昭和、今以上に自分の気持ちを親に伝えるなんて難しかっただろうし、理不尽もたくさんあったんじゃないかなと想像します。今だったら児童相談所のお世話になっている案件がたくさん。母親よ…。
思春期のモヤモヤと、そこから這い出ていく様がよく分かります。はじめはなかなか入り込めませんでしたが、気付いたら夢中でした。