【感想・ネタバレ】長閑の庭(2)のレビュー

ドイツ文学専攻で大学院の修士課程に通う主人公は、地味な見た目と性格から、ドイツ語で“黒い”を表す形容詞shwarzに“さん”づけで「シュバルツさん」と呼ばれている。そんな彼女は、自分の論文を読んで「君の日本語は美しい」と言ってくれたドイツ文学教授に憧れているのだが、彼は64歳。ふとしたきっかけから教授に好意を打ち明けると、「君のそれは恋ではない」と否定され、主人公は考え込んでしまう…。
若いときは若いときで、そして年を取ったら取ったで、「自分が人からどう見られているか」ということに右往左往させられてしまう、ということはありますよね。私に好意を向けてくれているこの人が何だかステキに見えてきたとか、子どものときからしっかりしていると言われてきたのでしっかりしていなければならないと思っていたとか、本当はスポーティな服が好きなのに背が低いからやめておこうとか、自分の思考でさえ、他人の影響を受けないことは難しいと思うのです。
この作品では、若い主人公だけでなく、人生をとっくに折り返したはずの教授も、登場人物がみんな試行錯誤しています。何が恋で何が恋じゃないのかを知りたい人だけでなく、「私」って何だろう?と考えたり悩んだり拗らせたりしたことがある人にぜひ読んでもらいたい作品です。

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好きと嫉妬

可愛いものが好きだが勇気を出せず黒ばかり身に着けている女性が年上の担当教授に対する好意について考えるお話の第二巻。
榊の元妻の朝霧がしばらく大学にいることになった。
ドイツで仕事をしているらしい彼女は明るくて屈託がない。
しかしそんな彼女を見ると元子は黒い感情に襲われる。
恋をするともっと明るくなると思っていたのに嫉妬に支配されたくない。
しかしどんどん不安は大きくなるのだった。
そんな元子をよく見ている人物がいた。
榊の助手を務める田中だ。
彼は人嫌いで堅物だと思っていた元子の笑顔を見て以来気になっていたらしいがそれがストレートな好意よりからかう方向にいってしまっている。
そして元子は田中が自分のことを嫌っていると勘違いしている。
田中の思いに榊はなんとなく気づいているようだが、もう一人気づいているものがいた。
元子の同級生の富岡 樹里だ。
樹里は田中のことが好きなだけに田中が元子に気があることに気づいていた。
そして元子に対して嫉妬していた。
嫉妬したくないと思ってもしてしまう自分が嫌になってしまうらしい。
いろんなことを経て、元子は前より人に接するときこわごわとしなくなった。
しかし今度は榊からもっとお互いの距離を保つようにしようと諭される。

恋は人を明るくするが、同時に周りに対する嫉妬で心の奥を真っ黒にする。
本の上でしか恋をしらなかった元子がどんどん感情をしっていくさまが読んでいてジンときた。

#胸キュン #切ない #エモい

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2021年05月05日

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