【感想・ネタバレ】鬼切丸伝 (4)のレビュー

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Posted by ブクログ

『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)、『オニマダラ』(黒谷シュウジ)、『うらたろう』(中山敦支)と、人に害を加える鬼が登場する作品は多く、これら三つは私的に良作、上の上と思っている
この『鬼切丸伝』は当然、この三作品に負けていない、いや、人の業を深いトコまで描いているって意味じゃ、勝ってるな。やはり、楠桂先生のキャリアは伊達じゃない
掲載誌が、『戦国武将列伝』から『コミック乱ツインズ』に変わっても、面白さが変わらないどころか、更に冴えを増したのは、さすがの一言
歴史と人の記憶に、己の存在を名として遺せぬ事を恐れる戦国武将や偉人、英雄が話の主軸となっていたこれまでも面白かった
だが、連綿と続いている歴史を作ってきたのは、名のある英傑だけでなく、名も知られていない、けれど、確かにそこで生きていた一般人だ
そんな彼らもまた、不条理な現実に虐げられた怒りで、時には己の中に孕んだ身勝手な悪意に呑まれ、鬼となる
哀しき、もしくは、醜き鬼の因果を断てるは、この世にただ一つ、鬼切丸のみ
鬼を斬るだけの、血も涙もない存在でいられれば楽なのに、人の世に生き、人と触れ合う事で、素晴らしさや見苦しさを目の当たりにし、葛藤する鬼切丸。だが、彼は鬼を斬る事でしか、己の存在意義を保てぬ
人に近づきながらも人にはなれず、さりとて、完全な鬼に至る事も出来ず、鬼切丸は中途半端な立ち位置で、己が何者か、を自問し続けるのだろう、これからも、鬼を屠り、人を知りながら
そんな鬼切丸もイイが、鈴鹿御前も相変わらず。基本的に鬼切丸は揺れやすい性格ではあるが、ここまで彼をからかい、翻弄できる鬼の姫は彼女くらいだろう
次巻で、彼女の出番があるのか、楽しみではあるが、また、鬼切丸が振り回される事を考えると、少し、加減してあげて欲しいもんだ、とは思う
この(4)に収録されている話は、残虐描写も含め、どれもインパクトがある。そんな中でも強烈なのが、第15・16話「伊賀忍法怨敵鬼殺の章」だった
先に一般人に焦点を当てているトコがいい、と言っておきながら、魔王・織田信長が登場する回かよ、と言われちゃいそうだが、それはそれ、これはこれ
何より、この回のメインは厳密には織田信長ではなく、伊賀の女忍者・蓮華で、ストーリーの軸は彼女と鬼切丸こと髭切の束の間の平和な暮らし、そして、それが傲慢な権力者により壊される事だ
守れたはずのモノを守れなかった、その悔恨の念は鬼切丸にまた一つ、変化の兆しを与えた。生きるとは何か、それを死により鬼となる呪いを文字通り、背に負っている蓮華と寝食を共にすることで考え、己の所業を顧みる
この台詞を引用に選んだのは、鬼切丸の心の痛みが、ひしひしと伝わってきたので。惚れる、までは行かずとも、一人の女性への想い、そして、それを成就できなかった苦痛で己を責められるのならば、鬼切丸が悪鬼に落ちてしまう事はないだろう。人間にはなれないかもしれない、けど、彼には人の強さ、愛に感動を覚えられる心があるのだから

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2017年03月07日

Posted by ブクログ

相変わらずの抜群の安定感!
安心して読めます
が、以前はもうちょっと話が深かった気がします
蓮華の話も、もっと深く哀しく描けるはずなのに…
残念、

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2017年01月18日

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