あらすじ
17世紀ニューイングランド、幼子をかき抱いて刑台に立った女の胸に付けられた「A」の文字。子供の父親の名を明かさないヘスター・プリンを、若き教区牧師と謎の医師が見守っていた。不倫の罪を背負いながらも毅然と生きる女、罪悪感に苛まれ衰弱していく牧師、復讐心に燃えて二人に執着する医師――各々の罪を抱えた三つの魂が交わるとき、緋文時の秘密が明らかに! アメリカ文学屈指の名作登場。(『THE SCARLET LETTER』改題)
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Posted by ブクログ
数年前にも違う訳者さんの本を読んだのですが再読。やはり良いです。
清教徒の多い、宗教と法律がほぼ等しい土地で不義の子を産んだヘスター。ヘスターが名を明かさなかった、相手の牧師、ディムズデール。そしてヘスターの本来の夫であるチリングワース医師。三人を中心に描く、罪と贖罪の物語。
罪を犯し、それを悔やみ、苦しみ、許し、自己を追い詰め、人を憎む、それぞれの心の動きが丁寧に書かれています。
罪を犯し、恥辱の印を身にまといながらも、愛情深く高潔に生きるヘスターも、罪を犯した妻のヘスターではなく罪を隠し生きるディムズデールを追い詰めんとするチリングワースも良いですが、ディムズデール牧師と、彼の罪に押しつぶされそうな心の内を描く章が特に好きです。
Posted by ブクログ
米文学史の授業で初めてその名を知った、ホーソーンの代表作。
授業でのあらすじの説明から、なんて暗い話を19世紀に書いたのか、疑問でならなかった。
その疑問は解けてはいないが、ヘスター・プリンの強さと、不倫相手の弱さと苦悩を描かずにいられなかったのだろうと推察した。
それにしても、授業であらすじを紹介されていなければ、あの牧師が不倫相手だということになかなか気づけなかったんじゃないかと思う。
授業では、牧師は苦しみ抜いて最後は死ぬが、その死にはまったく意味がないと先生が言っていた。その通りだとも思うし、そこまで言ってはかわいそうとも思ったが、結局は牧師という公職(?)についていながら、近くでへスターを助けるわけでもなく、ただただ自己満足の懺悔をしただけなんだから、やはり先生の言う通りなのだろう。