あらすじ
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斉藤洋ライフワークとなる時代小説シリーズ “白狐魔記”第2弾。一作目『源平の風』で源氏と平家のむなしい戦いを目のあたりにしたあと長い眠りについた白狐魔丸は、八十五年ぶりに目をさます。時は鎌倉時代。九州には元の船がおしよせ、日本に攻め入らんとしていた。元寇の時の様子を詳しく絵巻にした『蒙古襲来絵詞』の制作者として有名な竹崎季長を、今回はもう一方の主人公にたて、斉藤洋ならではの時代ファンタジーが展開される。
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Posted by ブクログ
もうこの軍勢が日本に攻めてきて、鎌倉武士が守ろうとする話だった。しらこまが、あちこち旅をして、いろんな人と出会うのがおもしろい。
義経が出てきたことと、狼が義経の知り合いだったことにおどろいた。
義経が生き延びて大陸にわたっていたってことはいいけど、しらこまと同じで、ぼくも、家来の命と引きかえにしたのが少しいやだ。弁慶と一緒に戦った方がよかったと思う。
仙人はいつ帰ってくるのかな。やりたくないのに、もうこの船をしずめて、たくさんの人を殺しちゃったのはつらかったと思う。かわいそう。
竹崎季長が、白こま丸がきつねだって見破ったのがすごい。(小5)
Posted by ブクログ
歴史物というよりサイキックバトルの楽しさがある2巻です。この巻を読んで気づいたのですが、主人公が狐で、何十年にもわたる眠りに入る、という設定によって物語に独特の性質が生じています。まず、その巻ごとに登場人物が大きく変わり、ほとんど関係が継続しません。関係を継続させる必要がないので、なんの気兼ねもなく時間を使うことができます。そんなわけで、新しい能力の取得にかける時間が長く、新たな能力が少しずつ小出しにされます。能力がなかなか身につかないということはある意味、自然に思えます。次に、歴史のクライマックスをつまみぐいしていく形で物語が構成されています。一番印象的なシーンを細かに描写して印象づけています。逆にこのような仕掛けによって物足りないと感じるところもあります。その時代に起きている動乱の全体像は、登場人物の口から「あらすじ」として語られるだけで、この本からだけで理解するのは難しいです。複数の巻にわたって因縁を継続させるのが簡単ではないです。その点、この巻では、同様な長寿をもちうる他の能力者が登場したり、義経の血統が引き継がれたりした点は嬉しいところです。ぜひ今後もその方向で続いてたらいいな、と思いました。
うちの小三の少年の印象にはしっかり刻み込まれたようで、それなりにはまっていましたし「竹崎季長」や北条氏といった名前も覚えたようですね。
Posted by ブクログ
うんうん、やっぱり面白い!! このシリーズはホント楽しめますねぇ。 前巻で都落ちする義経主従が無事落ち延びることができるように、攪乱作戦で大活躍した主人公の白狐魔丸。 まるでその疲れを癒すためかのように85年という長~い眠りにつき、ようやく目覚めたところから物語は始まります。 普通の人たちならそんなに長生きできなかった時代だったろうけれど、白狐魔丸とお師匠さんの2人だけ(1人と1匹だけ と言うべきか?)は、まるでその年月をひょいっと飛び越えてしまったかのように、ほとんど変わりない姿で登場します。
で、変わっていないのは2人だけで、世の中の方はめまぐるしく変化していて、義経は平泉で討たれちゃっているし、その命を出した兄頼朝もとっくにあの世へ行っちゃって、北条得宗家が栄華を極めている(?)鎌倉時代です。 前編では京都周辺をウロウロしていた白狐魔丸だけどこの物語では日本各地(除く東北 & 北海道)をあちこち歩き回ります。
情景描写やら風俗描写なんかは結構史実に基づいているんじゃないかと思うんだけど、最後の方でいわゆる「義経不死伝説」の極め付け、「義経≒チンギス・ハーン説」まで取り入れちゃっているので、大人が読む分にはかなり楽しめちゃうけれど、子供が読んだらどこまでが史実に近い話でどこからがいわゆる「ファンタジー」なのか、混乱しちゃうきらいはあるんじゃないかと思わないでもありません。 それでもこんなに楽しめる物語だったら KiKi は身近な子供に薦めちゃうだろうなぁ・・・・・(笑)
人間に興味はあるものの、「武士」という特殊な種族(?生き物?)はどうも苦手な白狐魔丸。 でも扱っている時代が時代なだけに武士と関わらずに人間探究な~んていうのはできるはずもないわけで・・・・。 そして、そんな苦手な武士の中にも白狐魔丸と親しくなる「ちょっと変わった武士」がいたりもして、そんな武士達と白狐魔丸の関係が物語を進めていきます。 前編ではそれが「佐藤忠信」だったわけだけど、今回は六波羅探題南方の北条時輔の家臣、「市谷小平太」とひょんなことから親交を結ぶことになる白狐魔丸です。
そして所謂「二月騒動」で市谷小平太が亡くなる直前に、彼が描いた最後の絵を「・・・後の国にいる『竹崎季長』という武士に届けてほしい」と頼まれます。 ここから白狐魔丸の全国人探しの旅が始まるわけですが(何せ「・・・後の国」と言えば丹後、越後、備後、豊後、筑後、肥後とある)、その道中で彼は生まれ持っていながらも本人(本狐)にはその自覚があまりなかった「気の力」をみるみるアップさせていきます。
そして最後の最後には、第2回の元寇の際に「神風」を知らず知らずのうちに巻き起こすまでに至るのですが、そうなるまでには白狐魔丸と同じ「人に化けることができる狐」である雅姫と出会ったり、元からはるばるやってきた「人に化けることができる狼」であるブルテ・チョノと出会ったりと、不思議な存在もどんどん増えてきて、「不思議な存在」のオン・パレード状態になります。
反面、第1回の元寇で「神風」を起したことにより反省モードに入ってしまった白狐魔丸の師匠、白駒山の仙人は「穢れを清めるため?」か天竺への旅に出てしまい、仙人びいきだった KiKi にはちょっぴり残念な顛末もあったりしました。
いずれにしろこの物語、歴史の節目節目で目覚める白狐魔丸が歴史上の偉人と邂逅しては「人間の歴史とは何ぞや??」ということを狐目線で考察する(← 実はこの目線が狐目線であるようでいて、いわゆる一般大衆目線に近いものと推察できる)という体裁で貫かれていく物語になっているようです。 そして「元寇」の次はどうやら「鎌倉幕府の滅亡」へ進むらしい・・・・・。 早速次の物語に進んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
仙人さまと白狐魔丸のやりとりにいちいちもえる。
お師匠様弟子のこと、めっちゃ大切にしとるやん!
狐目線が自然で嫌みなく素直なとこがいいよね、と思ったら、ルドルフの作者なんだからさもありなんですよね、と。
あと日本史には疎いので、勉強になります。ムー的説もこの作品に限り納得です。
そして2巻目にして、正体わかりましたね!いやぁ素敵な距離感。これからも関わってくると期待します。しかしそこまで気に入られたとは時輔と雅姫の出会いとか、どんなエピソードがと気になります。
狼との距離感も素敵で。
というかこの文章雰囲気は高尚です。こういった酒脱な?雰囲気をだせる作家は尊敬してしまいます。
手元に置きたいけど、単行本は厳しい。新書サイズか文庫ででてくれないのかな。
Posted by ブクログ
ここにきてなぜ元寇だったのか?
と不思議だったけど、
きちんとつながりが説明されていて、なるほど納得。
狐さんが相変わらず、真面目で、修行好きで、
とても好ましい。
武士なんてくだらない。
という狐さんの言葉がとても重たい。
なんのために戦うのか。
何故家来は死に、主人だけが生き延びるのか。
にしても、元寇といえば「神風」だけど、
あれを狐さんの力によるものとするとは、
めちゃくちゃ面白い。
ただ、あちこちが複線なのか登場人物や出来事が
散らばりすぎだなあという印象。
伏線が回収されるのを楽しみに次に行きます。