【感想・ネタバレ】陰の季節のレビュー

あらすじ

『64』で話題沸騰! 横山秀夫「D県警シリーズ」はここから始まった!

警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下りポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた……。「まったく新しい警察小説の誕生」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第一弾! 表題作他、「地の声」「黒い線」「鞄」の短篇四篇を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

実家に帰ったついでに本棚から抜き出してきた一冊。
好きな国内作家さんのひとり横山さんのD県警シリーズ初作を再読。

暑苦しく、昭和な息遣い。
封建組織の中に居る者たちの出世レース、権力闘争、腹の探り合い。
警察小説であって、警察小説でない。
日常のミステリ(警察組織編)の様相。

今読んでも唯一無二
米澤穂信さんの『可燃物』をD県警シリーズっぽいと書いたこともあった。
確かに一筋縄ではいかない人の心の裏事情を料理する様は似てはいるのだが、警務部を舞台にした、これといった派手な事件があるわけでもない(天下り先のOBが紳士協定を無視して辞めない。内部通報の真偽、出どころ。お手柄婦警が失踪、男の影あり。県議会で提出される質問がわからない)中での展開であることを考えると、やはりそこは趣が異なり、同系列の物語が思い浮かばない。

読みながら感じるのは、この自己顕示欲、妬み嫉みにまみれた組織社会の虚しさ、不毛さが大きいのだが、わずかばかりにチラつく矜持、信じる正義への熱き想い。
今の働き方改革の世にはない、失われた鈍い輝きなのかもと思えないでもないところがにくい。

今の若者が読むと、この泥臭さどう映るのだろう。
『動機』も読みます。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

警察ものと聞くと捜査絡みの物語を思い浮かべるが、ここでは裏方とされる警務課や警備課が取り上げられている。
どの話からも地位への執着や人の執念が見られ、人間臭さを感じさせる本作。言葉一つ一つに共感することもしばしば。定年間際、人事目前など節目において何か成し遂げたいと思うことは普通だが、こうも人を変えてしまうものかと少し恐ろしくなった。
節目に立たされた時、私は一体何を思うのかな〜

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2022年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。「顔 FACE」を最近読み返して、先輩婦警・七尾さん側から見た話がこれに入ってると知って読み返した。4篇の短編集。ほんと、この人が初めて刑事以外の警察官の主役にして小説を書いたんじゃなかろうか。知らんけど。これがデビュー作とは思えないくらい読みやすいし、面白いよなー。やっぱ出生欲がないと警察官になろうなんて思わないんだろうか。と思うくらい、みんな野心家だわ。しかし、まだ読んでない横山秀夫作品がたくさんあると思うと楽しみだわ。

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2022年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良い。
横山秀夫、やっぱり良い。
ドラマ化したら、俳優は誰がいいだろうか、なんて考えてしまう。
最も信頼する組織警察も人間の集まりであることを上手く描いている。実際もここまではないと思うが、いくらかはありうる話だと思わされる。

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2022年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

警察物4篇。事件物ではなく、管理部門を題材にしている点が面白い。二渡、尾坂部、赤間が登場するなど64と同じ世界線。
表題のオチがどうにもしっくり来ず★4つ。
64、半落ちと共に真相に繋がる部分で少し弱く感じてしまう。心の何処かでありえないオチと思ってしまうのは読み手の問題か。

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2023年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

舞台は警察の中の警務課、監察課、秘書課などに属する側のミステリ短編小説集。

■陰の季節:★★★
退官後の天下り先にて暗黙の任期を守らないOB尾坂部道夫。
その理由とは・・・。
■地の声:★★★★★
17年昇進できない、曽根警部の密告文が届いた。
その真相は・・・。
■黒い線:★★★★
お手柄をあげたはずの婦警が翌日自ら失踪する。
調べるうちに事件や事故ではなそう、男の影もあるが果たして・・・。
■鞄:★★★★
県議会での質問に鵜飼議員から爆弾質問があるとの情報が入る。
大慌てで質問事項を聞き出そうと奔走するが・・・真相は。

「黒い線」は正直、胸くそ悪い真相だったけど最後まで真相が読めなかったので面白かった。
「地の声」、「鞄」は権謀術数という感じで非常に面白かった。

が、どれも真相がわかったところでモヤモヤする。
いや、真相がわかったからこそか。

良くも悪くも組織や世の中は汚い。
汚いこと自体が必ずしも悪いとは言えないし時には必要なのだろうなとは考えさせられる。

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2022年08月29日

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