あらすじ
「まさか自分がこんな目に遭うとは」。貧困に墜ちたとき、誰もが言う。中間層の衰退と貧困層の拡大はセットだった! 貧困問題を暴いた二人が、日米の「中流の貧困化」という本当の「現実」と「処方箋」を示す!!
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Posted by ブクログ
薄々ではあるが、労働者を取り巻く環境が質的に変化していると感じていた。恥ずかしながら自分はその状況を臨床からしか推測していなかった。それも自分とは違う世界に生きる人のように感じていた。けれども、外来や入院で見る患者達の中には少なからず、単なる疾病のみではわからない社会的な背景を背負っている。これは、内服や生活管理では癒えない別の社会構造と深くリンクしているのではないか?この問いかけがわたしを本書に向かわせたのだと思う。アメリカの臨床医がフードスタンプを受給する立場に没落する例は、極端であるが身につまされる思いがする。その要因の一つは資本主義の暴走と実体経済の「空想化」ではないかと考えさせられる。本書の多くは湯浅氏と堤氏との対談で占められいて、文章としてはやや読みにくい印象なので★を一つ減。
Posted by ブクログ
ネットカフェをこの本でいう「溜め」のひとつとして考えると、風紀面からだけの規制強化もいかがなものかと。「溜め」として機能するコミュニティがなくて一気に真っ逆さまに・・・って実は誰の身にも降りかかる可能性がある。ここでも政治の責任は重い。
Posted by ブクログ
『反貧困』の湯浅氏と『貧困大国アメリカ』の堤氏の対談を中心とした本。日本やアメリカにおける正規社員、教師、医者、中間管理職の窮状が中心的な内容。
恐ろしいのはアメリカ政府が日本政府に提出する「年次改革要望書」。郵政民営化や建築基準法、商法などの改正がこの要望書に基づく政策だということは知っていたが、医療保険や医薬品業界の規制緩和もそうだとは知らなかった。また、アメリカは国民を「消費者」、ヨーロッパは「市民」として扱うという見方も新鮮だった。
この本からは「苦しい」と声を挙げることの大切さと共に、散発的になっている反貧困運動の連帯が重要であることを学んだ。全体としては『反貧困』ほどの内容ではなかったと思う。