あらすじ
【著者のことば】私は、隠された歴史のひだを見なければ、“日本人のこころ”を考えたことにはならないと思っています。今回は「家船」漁民という海の漂泊民から「サンカ」という山の漂泊民へ、そして、日本人とは何かという問題まで踏みこむことになりました。それは、これまでに体験したことのなかった新しいことを知り、自分自身も興奮させられる旅でした。
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Posted by ブクログ
人種差別という言葉、普通に生活していれば聞かない言葉だ。
その言葉を聞くと、自分とは関係のない、むしろ宗教に似たいかがわしさを感じる。
しかし、かつて戸籍に登録されない人たちが日本には存在していた。
海の上、船で一生を終える「家船(えぶね)」
山の中で移動しながら生きていた「山咼(さんか)」
前半では戦後まで存在していた彼らの存在を炙り出す。
後半では江戸時代の階級、士農工商のさらにその下にいた穢多・非人に焦点を当てる。
関東一円の穢多を取りまとめていた穢多頭の称号「弾左衛門」とその下で非人を管理していた「車善七」筆頭四人の存在。
本人は穢多の被差別民ながら旗本ほどの石高と穢多に対する裁判権を持つという二面性を持っていた。
かつて日本に存在していた被差別民たちの存在が忘れ去られる前に書き記される。
日本には明治維新前後、そして戦前前後の二回、文化の断絶が起きている。
かつて何があったのか、失われた記憶記録を炙り出す作業は日本文化の流れを知るために必要なことだと思う。
かつての被差別民の存在を示すことで、現在は差別が表面に浮かび上がることがない平和な世の中になったことを実感できる。
ただし、それは北から南まで日本国民が均一化したことを意味する。
人と違うことをすると社会から爪はじきにされるという構造は昔から変わらないのかもしれない。