【感想・ネタバレ】アイズオンリー 【イラスト付】のレビュー

あらすじ

CGオペレーターの仁科縁はある事情から人と関わることを避けて生きてきた。ある日、上司であり叔父である訓の誘いを断りきれず参加した飲み会の席で縁は編集者の岩崎数真と出会う。数真には、子どものように何でも触って確かめる癖があった。それは子どもの頃、目が見えなかったことに起因すると告白する数真。その話を聞いた縁は過去に出会った「かず」のことを思い出す。縁が壊してしまった幸福な時間と共に──。一穂ミチが贈るオンリー・ワン ラブストーリー。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

特殊なお仕事、複雑なバックグラウンドを持ったが故の固有の物の見方考え方を持った人たちの心情の捉え方を書かせると強いなあ。
すごーく好きなお話でした。

かつて目が見えなかったことから触れることで確かめる癖を持つ数馬と、相貌失認の病から人と深く関わることを避けている縁。
初恋の相手との再会と、心の傷をゆっくりと回復していくまでの優しさ満ち溢れたお話。
数馬のフットワークの軽さには驚かされますが、この軽やかさと会話のテンポの軽妙さは一穂ワールドの本領発揮だなと。綺麗でやわらかく心を掬い取っていく言葉運びは切り抜いてしまっておきたいものばかり。

序盤から思いっきりエロシーンがあり、ムクさんの挿絵もがっつりその手の場面でおっ、おうとなりましたが(なんせ口絵もそのシーン)一穂節ならではのざっくばらんな男同士のやりとりが楽しくて好きなのです。
会話のやり取りの楽しさ、いまひとつしっくりこない翌朝のやり取りを経て、「友達なんだかなんなのか」な和馬が縁にとってかけがえのない相手に変わり、それ故に真実を知られることを恐れてしまう縁の気持ちの移り変わりがとても切なかった。
縁の抱えた癒えない孤独や不安をそっと包んでくれる数馬の優しさがとても好きです。
タオルケットに添えたメッセージ、愛おしくくるまって目を瞑る縁、突然泣いてしまった縁に何も言わずに寄り添ってくれる数馬のくだりがすごく好き。

ひとの顔、表情がわからないゆえの寂しさや戸惑い、孤独感が数馬の存在によって丁寧にやわらかに溶かされていく様が心地よく穏やかで、小椋ムクさんの優しいイラストにとてもあっていました。

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2017年06月18日

ネタバレ 購入済み

久しぶりの大当たり!

最初は取っ付きにくかったのですが、読み進めていくにつれ引き込まれていきました。
主人公の障害に関わる苦労や心情が切なすぎます。
恋人の顔も解らないとか、凄く不安ですよね。
もし自分がそうだったらと想像して、寂しくなりました。

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2016年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全体的に「まあ、一通り面白いかな」ぐらいだったんだけど、終盤の1ページぐらいに、ぐっと響くところがあって、だから☆4つ。






ここで描かれてる「相貌失認」
初めて知ったけど、ごくごく軽い症状だと、意外に多く2%ぐらいいるらしい。
もしかしたら、私も「そういう傾向がある」ぐらいには当てはまるかもしれないなあ。

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2013年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

編集者・岩崎数真×CGオペレーター・仁科縁

子どもの頃、目が見えなかった数馬と再会した縁には、ごく限られた関係者しか知らない事情がある。

ごく平凡で一般的な日々を歩んでいる私には、少数の人が経験している様々なことを知ると、自分の世界の狭さを感じます。
BLという娯楽性の高いジャンルで、大きなことは言えませんが、こういった設定の本で、思いもよらないことが世の中にあって、苦しい思いをしている人がいるってことを振りかえらせてくれます。

で、切なかったりするんですが。
だからって、聖人君子ではなく、諦めの上に立つものであっても下世話だったりする日常もあるし。その辺が綺麗事でなくて、こちらの低俗な意識に罪悪感を持たなくてすむんですよね。

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2013年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

縁がかかえている問題は他人事ではなくて、はらはら読んだ。  小椋ムク先生の絵は好きだけど、数真のあっけらかんとした強引さには少々物足りない感じが、、、。見かけと違う意外さ、でいいのかな?

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2015年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回は障がいを扱ったお話です。
一穂さんはBL業界ではこれでもかってほど、特殊設定をうまく
利用する作家さんではありますが、最近特殊設定でなければ
話が書けないのかな……と思ったり。

題材が題材なだけに、何ともコメントしにくいお話でした。
うるっときたり、じーんと目頭が熱くなることはあったけども、
作者の意図が透けて見える部分が何カ所か合って、そのあたりに
何とも言えないモヤモヤというか、あざとさを感じてしまいました。
基本、障がい設定はデリケートな題材なので、納得させるだけの
展開や書き込みが必要だと思います。
その点、妙にさらっとしていたので、何となく読んで何となく終わった
感じがしました。必要以上に悲壮感出してないので、いやらしさは
感じなかったけども、別にBLじゃなくてもいいと思いました。

そして一番残念なのが安っぽい桃色シーン。
一穂さんって文章綺麗なのに、桃色だけはまるで別の人が書いて
るんじゃないかってほど微妙なんですよね……。
情緒がない、ムードがない、色気がない→萎えるの図式。

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2013年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大好きな一穂さんとムクさんタッグで、カバーも何やら切なモードで否が応でも期待が高まる。
結論として、私的に萌えカップルではなかったのだけど、
色々興味深いお話でした。あ~世の中には人知れず色んなものを抱えている人が
いるんだな~的な。
自宅でひっそりCGで画像修正の仕事をしている縁は上司でもある叔父の誘いを断りきれず
飲み会に参加する。
そこで偶然出会ったのは、子供の頃一緒に仲良く遊んだ年下の男の子〝数真〟だった。
今ではりっぱな編集者になっている。
縁にとって、数真とのことは苦い思い出だった。
幼い頃目が見えなかった数真は自分を女の子だと勘違いしていた。
ある時数真が手術を受けることになり、これで〝ゆかりちゃん〟の顔も見られると喜ぶ一方で、
縁は本当は男の子である自分の秘密が発覚してしまうことを恐れて、
手ひどく数真を傷つけて、その場から逃げ出してしまったのだ。
目が見えない数真と同じように、実は縁も相貌失認(人の顔が認識できない。覚えられない)という障害を抱えていた。
それを知られるのが怖かったからだ。
自分があの時の〝ゆかりちゃん〟だとは知らないはずなのに、不思議と自分を気に入った様子で
親しげに接してくる数真に縁は戸惑う。

なりゆきで、そのまま付き合うようになったふたり。
それでも自分が〝ゆかりちゃん〟だったことも、相貌失認だということも打ち明けられない。
数真への気持ちが強くなればなるほど、数真の顔を覚えられない自分が苦しい。
どんなに好きでも、ちょっと離れて目印を失ってしまったら、もう人ごみの中からみつけることができない。
声や匂いは覚えていられるのに。好きな人を忘れてしまうことはひどく悲しい。

実は縁が〝ゆかりちゃん〟であることも、相貌失認であることも、最初から気付いていた数真。
それがわかって再び数真を切り捨てようとする縁。

最終的には猛然と追いすがる数真に縁が捕まる感じでエンディング。
縁も本音では臆病な自分をしっかりつなぎとめて欲しかったのだと思う。
これからもふたりはやさしい時間を積み重ねていくんだろう。

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2013年04月10日

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