あらすじ
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重要だが、いざ勉強すると難解だ――。多くの人の「学ぼうとしても、たどり着く前に挫折する」という経験を熟知した著者が、物理的イメージを重視して読者を導く。現代の素粒子論や物性論の“急所”であるくりこみ理論の勘どころが、この一冊で基礎から理解できる。
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そんなに甘い本ではない
タイトルに期待してこれ一冊サッと読めば、と考えると裏切られる。最初の調和振動子の例から一歩先に進んだ瞬間に、フェルミの黄金律(相互作用のある量子力学の摂動計算)、熱力学的極限での状態密度など、適当に入門書で分かった気になっている程度の理解では確認もままならない既知の結果が引用される。
したがって、本当に理解するためには自分の理解を越えた式に出会うたびに、別途その導出を別の教科書で調べて納得する必要がある。別にこれはネガティブな評価ではなく、この分野の性質上当然のことではあるが、そこを何か魔法のようなショートカットを期待して読むと落胆するかもしれない。
逆に言えば、この本で分からない式が出てくるたびに、ああ自分はここの理解が足りなかったので繰り込みの理解にも至らなかったのだと分からせてくれるのはありがたい。そういうわけで楽に読める本ではないが、やろうとする計算は具体的で方針は明解のように思う。最初に仮定する予備知識について系統的に言及してあればもっとよかったかもしれない。(相対論的場の理論の知識は仮定しないと書いてあるが、上述のようにそれ以外に要求される知識はそれなりにある)