【感想・ネタバレ】会社が消えた日 三洋電機10万人のそれからのレビュー

あらすじ

新潟中越地震での工場被災をきっかけに経営危機が表面化、2006年に米ゴールドマン・サックスグループ、大和証券SMBCグループ、三井住友銀行の金融3社から3000億円の出資を受けた三洋電機。その後、携帯電話、デジカメ、白物家電、信販といった事業は切り売りされ、本体はパナソニックに買収された。散り散りになった旧経営陣は今何を思い、10万人の社員たちは今どこで何をしているのか。経営危機の渦中、同族企業の混乱を克明に取材し、その後も電機業界の動向を見続けてきた新聞記者が、多くのビジネスパーソンにとって決して他人事ではない「会社が消える日」を描く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

僕も倒産を二回も経験している。三洋電機は吸収合併で会社が消えたが、ぼくの場合は突然の閉鎖だった。いつものように会社に出勤すると門が閉鎖されていた。待ち構えられていたバスに乗せられ、会館に集められた社員は会社が自己倒産したのを知らされた。この本を読んで思ったのは、巨大な会社でも会社が無くなる現実の怖さを知った。
自分の長年勤めた会社が無くなることは胸の中に空洞ができたような寂しさと悲しさがある。

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2016年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[読んだ理由]==================
今の勤務先も消えそうな感じなので、先行事例の予習として。


[読んだ後の感想]==============
奔放な歴代の経営者のもとに、なぜ多くの個性的でパワフルな社員が集まっていたのか。
それは給与や会社の安定性ではなく、仕事の自由度と、会社と経営者に対する愛着なのか、と思った。
仕事の自由度はともかく、愛着はなかなか意図して高めることは難しそうだし、
三洋という存在は、色々と偶然の産物だったのかなぁ、という気もする。


[内容纏め]====================


[メモ]========================

■はじめに


■第一章:再会
「所有と経営の分離」の問題。欧米では株主が企業を所有し、株主から付託されたプロの経営者が経営をする。しかし起業家が資本家になりにくい日本では、起業家とその末裔である創業家が資産と権力を守るために、いつまでも経営者でいようとする。
一大で大きなビジネスを立ち上げた初代と、二代目、三代目の力量に差があるのはしかたがないことだが、それでも無理やり、創業家を社長に据えると、多くの場合は悲劇的な結末を迎える。脇の甘い二代目、三代目は、銀行から見ればカッコウの『お客さん』である。会社の株を担保にとった上で、あの手この手で融資を増やし、失敗したら株を取り上げ、会社から追い出せば良い。

三洋電機を追われ、何もかも失った敏は、ホリエモンと同じように『小さなイチ』を自分に足そうとしているのだ・二兆円企業の三洋電機を、世界10万人の社員を思うがままに操ってきた創業家社長にとって、腰掛けタップダンスや玉ねぎはあまりに小さな『イチ』である。だが、それを積み上げることが今の彼にとっては大切なことなのだ。


■第二章:決断
経産省の基本的な考え方は「チャンピオン+1」である。独力で世界と戦える日本のチャンピオン企業を1つ残し、その他の企業を1社に集約する。集約した会社は弱者連合だから、政府系ファンドに依る出資や政策投資銀行の融資で国が側面支援するのだ。
半導体のチャンピオン企業はNAND型フラッシュメモリで韓国サムスン電子と互角に渡り合う東芝だ。残りのNEC、日立、三菱電機は「エルピーダメモリ」と「ルネサスエレクトロニクス」に集約された。液晶パネルのチャンピオンはシャープであり、ソニー、東芝、日立の小型液晶事業は『ジャパン・ディスプレ』に集約された。個々にも産業革新機構が出資している。

中村は『破壊と創造』の旗を掲げ、肥大化し、グローバル化についていけなくなっていた松下電器を生まれ変わらせようとした。
もし三洋電機と松下電工を取り込んでいなかったら、現社長の津賀一宏が掲げる『車載事業』と『住宅関連議場』の二本柱は成り立たなかった。

能間のようにトップレベルの技術者には、彼らにしか見えないビジョンがある。底に向かって突き進むのがトップ技術者の本能である。その本能が満たされていれば、報酬のたかにかかわらず彼らは充足感を得ることができる。反面、そこにストレスを感じた時、彼らはやりたいことが出来る環境を求めて転職することがある。

能間が三洋電機で手がけていた車載電池は角型で、パナソニックは円筒形だ。
能間は角型で行きたかっただろう。しかし経営陣が『円筒形でいけ』といえば、総力を上げて円筒形に突っ込むのがパナソニックという会社である。パナソニックがテスラに対する円筒形リチウムイオン電池の大量供給を決めた阿智民具で能間が会社を辞めたのは偶然ではない可能性がある。

東南アジアなど海外にも歳男のファンは多い。ベトナムやタイでサンヨーブランドが強いのも、としおが尊敬されているからです。


■第三章:抵抗
「SONY cannnot save the earth, But we can(ソニーに地球は救えない。でも三洋電機にはできる)」

京セラ・三洋電機の資本提携は霧消したが、その後の三洋電機の姿を見て、稲盛はあの時、もう一歩踏み込まなかったことを悔いたのかもしれない。2007年末、三洋電機から『携帯電話事業を買ってくれないか』と打診が有った時、京セラの執行部は逡巡したが、稲盛は『すぐに買え』と命じて三洋電機を助けた。稲盛は敏との約束を、遅ればせながら果たそうとしたのではないだろうか。


■第四章:一歩
「一般的に、日本の人は何故会社を変わりたがらないのですか」
「組織に対する忠誠心のようなものがあるのだと思います」
「中国人より日本人の方が、余程共産主義的ですね」

「私は自分の妻が喜ぶものを作りたい。夜遅く家に帰って、自分が設計したエアコンを付けて涼しそうに寝ている子どもの姿を見るとうれしくなる。ソーラーはやっぱり身近ではないんですね。」

「ハイアールの中で厳しい競争が有りますから。私が技術指導で中国に行くと、呼ばれてない人たちまで集まってきます。皆必至です。ハイアールの経営陣が我々に求めているのは、ひと目で違いの分かる画期的な技術でしょう。「できません」と言ったら、また捨てられる。技術者は絶対にとまっちゃいけない。洗濯機で言えば、シャツの襟汚れをカンペキに落として切る前の状態に戻す。それが理想です。我々は三洋電機の文化を持って、ハイアールに来ました。負けるわけには行きません』

「自分で言うのもなんですが、三洋電機というのは代物の中で決して強いブランドではなかった。いつもパナさんや日立産よりは下に見られ、お客さんには『何だ三洋か』と言われていました。ところが、アクアに変わった途端『元三洋なら安心』でしょ。これってなんなんでしょうね』


■第五章:覚醒
docomoに従った日本メーカーは、docomoの海外戦略が失敗したため、海外でほぼ全滅となり、生き残ったのはdocomoに相手にされなかった三洋電機、京セラ、ソニーだった。

三洋電機の部門別採算は、開発にかかる材料費や人件費の『値段』を自分ではない他の誰かが決めていた。アメーバがないので、売上から経費を引いて黒字が出たのか赤字になったのかという結果もよくわからなかった。つまり部門別採算性という形はあっても、それをやりぬく意思と、結果に対する責任感がなかった。


■第六章:意地
「よく業界で、三洋電機は『一発屋』と言われるんです。後が続かんと。そのとおりなんやけど、ウチは常にお客さんの不満に耳を傾ける。個々が不便や、こんなもんがあったらエエのに、そういう声を丹念に拾い集めて、製品として形にするんです。これはおもろい仕事でっせ。ウチより大きい会社は立派ながい術があって、立派な組織が有るけど、お客さんを見てませんわ。ごっつい広告費を掛けて強引にヒット商品をつくるんですな。でも中で働く人間は歯車になっとる。あれでほんとに楽しいのかな、と思いますね」


■第七章:陥


■第八章:贖罪
松下電器から独立した歳男も、最初は全部、自分でやっていたはずだ。仕事が増え、組織ができて、役割分担が始まる。それは企業が成長していく家庭でやむを得ないことなのだが、大きなパイが無数のピースに細分化され、小さなピースに閉じ込められた人たちは自分の仕事の本来の意味すら見失っていく。目の前の仕事に没入し、無益な縄張り争いを始める社員の目線を未来に向け、大きな目標に向かって価値観を共有させるのが、経営者の仕事である。『シンク・ガイア」の傍を掲げたの中は、その仕事をしていた、と亀井は考える。


■第九章:自由
電池は今、韓国勢が垂直統合で世界市場をせっけんしている。日本企業が垂直と魚号で巻き返すのは難しいかもしれない。だから雨堤は水平分業でやり返そうと考えている。それが、雨堤がパナソニックを辞めた本当の理由だ。


■第十章:転生
「日本の電機産業の最強時代を課長、部長として支えた人たちですから」

■エピローグ

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2015年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

経営者のせいなのか…、時代の流れに逆らえなかっただけか…。読んだ人が考えることだと思うが。
ここでは比較的上層のうまく転職できました的な人が多く描かれているが、末端は相当悲惨な現実があったと思う。

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2014年12月14日

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