【感想・ネタバレ】「好き嫌い」と経営のレビュー

あらすじ

企業の戦略ストーリーの創造は、経営者の直観やセンスに大きく依存している。その根底には、その人を内部から突き動かす「好き嫌い」がある。14人の経営者との「好き嫌い」についての対話を通じて、経営や戦略の淵源に迫る。登場する経営者:石黒不二代(ネットイヤーグループ)、江幡哲也(オールアバウト)、大前研一(ビジネスブレークスルー、経営コンサルタント)、佐山展生(インテグラル)、重松理(ユナイテッドアローズ)、出口治明(ライフネット生命保険)、永守重信(日本電産)、新浪剛史(ローソン)、原田泳幸(日本マクドナルド)、藤田晋(サイバーエージェント)、星野佳路(星野リゾート)、前澤友作(スタートトゥデイ)、松本大(マネックス)、柳井正(ファーストリテイリング)。巻末には著者自身へのインタビュー「なぜ、『好き嫌い』なのか?」を収録。

【主な内容】
01 永守重信 「何でも一番」が好き
02 柳井正 「デカい商売」が好き
03 原田泳幸 「雷と大雨とクライシス」が好き
04 新浪剛史 「嫌いなやつに嫌われる」のが好き
05 佐山展生 「偉そうにする」のが嫌い
06 松本大 「小トルク・高回転」が好き
07 藤田晋 「今に見てろよ!」が好き
08 重松理 「一番好きなことを最初にやる」のが好き
09 出口治明 「活字と歴史」が好き
10 石黒不二代 「理系のギーク」が好き
11 江幡哲也 「図面引き」が好き
12 前澤友作 「人との競争」が嫌い
13 星野佳路 「スキーと目標設定」が好き
14 大前研一 「実質を伴わないもの」が嫌い
15 楠木建 なぜ「好き嫌い」なのか?

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Posted by ブクログ

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P143 強いものが嫌いだという人が挑戦の対象を選ぶ場合、往々にしてメジャーな方向に行かず、マイナーへマイナーへと行く人がいる。強者へのチャレンジというものがまるでない。自分の心地よい場所に引きこもる。アンチ巨人タイプの人は、単純にマイナー志向というか、世の中のメインストリームから意図的に外れていこうとする面がある。(楠木建)

P357 単純にスキルや良い悪いで人を採るだけでは強い組織にはならない。根底のところで好きなことがかぶっている人たちが自然に集まっている組織が強い会社。

P364 仕事がきつかどうかなどということは、そもそも良し悪しというよりその人の好き嫌いで決まる。(中略)世にいう「ブラック企業、ホワイト企業」は、良し悪しを基準にした話だが、「ピンク企業、ブルー企業」という好き嫌いの色分けのほうが大切。法律違反を別とすれば、ブラック企業だという批判は、そもそも好き嫌いのはずのピンク・ブルー企業問題をあまりにも安易に良し悪しのブラック・ホワイト問題にすり替えている。

P374 経営というのは、インセンティブ(誘因)でどうにかなるほど安直な仕事ではない。大切なのはドライブ(動員)であり、その根底にはその人の好き嫌いとしかいいようのないものが広がっている。経営は客観的な良し悪しだけではなく、好き嫌いが大切。(中略)経営というのは、自分の好き嫌いがわりとストレートに世に問える仕事で、それが商売の醍醐味。

     

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2016年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本の有名起業家、コンサルタントと著者のインタビュー形式で
好き嫌いなものを聴きながら、その人の真髄に迫ってくれる
多種多様な価値観と考えがあり、自分ならどう思うとか
自分はこの人に似てるなとか考えながら読めるので
非常に読みやすい本になっている
こういった方にインタビューできるのは著者の凄さだと思
個人的にはバダラッコのケーススタディは短文だったが印象的だった

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2019年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

”リクルートという幻想(常見陽平)”の参考文献になっていたことから見つけた。最近プロフェッショナルをyoutubeで見ることが趣味であり、日常会話での言葉の言い回しにこそ、そのひとの個性が表れると考え興味を持った。

「まとめ」
コンプライアンスの重要性が叫ばれ、社会的に「良いか悪いか」で議論されることが多い中、経営者自身の「好き嫌い」に焦点を当てて個人の考え方の本質に迫っている。

個人的にハマったのはユニクロの柳井正さん。常に自分を斜め上45度から客観視しているイメージを持った。どのような仕事でも”なぜそれをする必要があるのか”という合理的な根拠があった上で動くことを大切にしている。仕事の成果=時間×集中力(生産性)で決まると本気で思い、それを体現するために行動するあたりが(それに対する批判があることも承知な上で)共感できる部分だった。

他、自分とタイプが違いながらも、興味深いと感じたのは(当時)ローソンの新浪剛史さんとオールアバウトの江幡哲也さん。

新浪さんは、体育会系の清々しい部分だけを切り取ったような人物。相手の事をリスペクトしつつ、(リスペクトしてるからこそ)上下関係なく言いたいことはいう。集団としてのビジョンを大声で言う一方で、一人一人まで気を使うザ体育会系リーダーという感じ。

江幡さんは、バランスの良さが印象に残った。自分で現場を見にいく事を大切にしながら、そこでの思考回路は”相手とのどの部分を抽出できるか”という抽象的な部分。どちらの思考回路も持っているからこそ、成功の再現性が保てるのではないかと感じた。

「感想」
・好き嫌いの軸でひとの話を聞くと、仕事内外含めて個人の特徴が滲み出てくることがわかりそれ自体興味深かった。確かに考えてみれば良し悪しというのは個人の所属している社会によって規定されてしまうため、良し悪しだけの判断では個人の付加価値は出ない。そういった意味で「良し悪しは文明、好き嫌いは文化」という表現はうまい表現だと感じた。

・痴がましい事を承知で書けば自分はこの15人の中では柳井さんの思考回路が最も自分に近いと感じた。自分の意思決定についてなぜという根拠を持って行動する合理主義者。世間の”なんとなく”ということに流されない挑戦のためのストイックな感覚(おそらく人から見ればずれていると思われる事もあるだろうが)ももっと研ぎ澄ませられる自信を持たなくては。


「学び」
・感想部分とは違い、学びが多かったのは江幡さん。顧客視点を持つことは組織内、クライアントとの関係共に大切だと感じる。自分の中で合理性が取れていればいい、というだけではなくそれを常に抽象化して置く意識である。これはイチローからも感じる「成功した要因を自分で説明できるようにする」ことで、自分の中での再現性、組織への再現性、クライアントとの関係の再現性を保ち次のステップに行くことができる。
今まで”常に生産性のある日々を”と将来の合理的な意思決定を大切にしていたが、これを”常に再現性のある日々を”とすることで、着実にステップのある日々を過ごしたい。

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2016年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ストーリーとしての競争戦略」で有名な楠本先生が著名経営者を「好き嫌い」という切り口でインタビューした本。著名経営者達は「好き嫌い」が明確ですね。基本、この手の人たちは、自立した強力な自我とその自我に伴う強力な主張をもっているので、成功したとも言えると思うのですが、当然その傾向のご本人達の「好き嫌い」の明確さにも繋がっているということでしょう。

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2015年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本を代表する14人の経営者へ「好き嫌い」を軸にインタビューが繰り広げられる。自分も仕事をするうえで何よりも「好き嫌い」を判断基準にしてきたので、「間違ってなかった」と安心する反面、「まだまだ足りない」と焦る。ちなみに「好き嫌い」を仕事の判断基準として考えれば、ブラック企業問題など鼻くそですぞ。

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2016年07月11日

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