あらすじ
ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題されたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか? 絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー! まほかるブームを生んだ超話題作、ついに文庫化!
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突然の不幸が次々と家族を襲うさなか、実家の押入れから発見された「ユリゴコロ」というタイトルの奇妙なノート。そこに書かれた「殺人鬼の半生」は一体誰のものなのか。それが判明する時、彼の現実も動き出す…!
「ユリゴコロ」というノートに綴られた殺人の記憶は、目を覆いたくなるほど残酷で、全くもって共感しがたい。しかしその柔らかな文体からは、どことなく人間に対する不器用な愛情らしきものを感じてしまう。
作品自体が小説であるのに、作中でも「書かれていることが真実だという直観から逃れらなかった」と述べられているように、このノートの内容はフィクションの類ではなく、本物の手記なのでは?と思えてしまう。その表現力は圧巻。
後味の悪いミステリー「イヤミス」に挙げられる作品だが、不思議と人間の暖かさが余韻に残る作品です。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
最初から最後まで文字通り目が離せない壮絶なストーリー。
美紗子に振り回され続けた家族だったけど、亮介が愛されていたという事実に変わりがないということに救いを感じてホッとした。
美紗子の気持ちはわかるようで到底理解ができない。
アナタと結婚して子供を生んで幸せになって…それらを失うことが急に怖くなったのだろうか。
細谷さんという存在が何となく不思議な人、という印象だったけど、まさかそんな!!
驚きとともにここでも救いを感じた。
Posted by ブクログ
殺人衝動に駆られるような人の気持ちはわからないしわかりたくないと思いながら読み進めていくうちに、その心の揺り動き、愛するものに出会ってからの、愛するものを守るための、壮絶な人生を見せつけられて最後は涙を流していた。
すごすぎる一生だ。やっぱ家族なんだなぁ、家族なんだよなぁ
いったいこの先どうなるんだって読む手が止まらなかった。
Posted by ブクログ
口コミが良かったので読破
前半の回顧部分が完全にホラーでトラウマレベルの怖さ
一方後半はやや爽やかに読み進められる、というなんか新しさを感じた
ちょっと綺麗に終わり過ぎでは、、と思うが全体的に面白かった
ホラー好きな人にはオススメ
Posted by ブクログ
「何かのスイッチが入ったみたいでした。アナタという言葉のために用意された場所が、実ははじめから私のなかにあって、そこにカチリとアナタがはまった感じでした。」
Posted by ブクログ
不運続きの主人公。末期がんの父親の押し入れから、「ユリゴコロ」というノートを見つける。そこには連続殺人犯の手記がつづられていた…
手記と現実パートがかわるがわる出てきて、先が気になって引き込まれます。
残酷な運命が家族を襲い……
終末のサプライズと片のつけ方にはじんわりとした余韻がありました。
生まれながらの快楽殺人者が、愛を知り、自分のしたことを自覚し、最後を選ぶお話。
でも罪もない人を殺してきた過去はなくせないから……
人間はぐちゃぐちゃで矛盾しているもの、と思っていきていくしかない。
人生は割り切れないもの。
主人公たちに幸せになってほしいです。
リーダビリティが高く、新しい価値観を示して考えさせられる。
このモヤモヤと考えてしまうのが良い読書体験だったと思う。
Posted by ブクログ
『ユリゴコロ』を読み終えた今、私の心は複雑な感情で満ちています。最初のページをめくった瞬間から、沼田まほかるの巧みな筆致に引き込まれ、気がつけば一気に読み終えていました。
物語の序盤で描かれる残酷な殺人の描写に戸惑いを覚えながらも、主人公の亮介と共に真実を追い求める過程に強く惹きつけられました。「ユリゴコロ」というタイトルの意味するものが徐々に明らかになっていく展開は、まるで謎解きのようで、ページをめくる手が止まりませんでした。
特に印象的だったのは、後半の予想外の展開です。当初は暗く重苦しい雰囲気だった物語が、徐々に愛の物語へと変化していく様は衝撃的でした。殺人者の内面に潜む愛情や、家族愛の深さを知るにつれ、人間の複雑さと愛の多様性について深く考えさせられました。
結末に至っては、思わず涙がこぼれるほどの感動を覚えました。最後まで読み終えた後も、しばらくは余韻に浸り、物語の中で描かれた愛の形について考え続けていました。
確かに、主人公の行動や考えに共感できない部分もありました。しかし、物語が進むにつれて理解が深まり、人間の内面にある複雑さや矛盾を受け入れられるようになりました。
『ユリゴコロ』は、単なるミステリー小説を超えた、人間の本質や愛の深さを問いかける作品だと感じます。読み終えた今、もう一度最初から読み返したい衝動に駆られています。きっと、二度目の読書では新たな発見があるに違いありません。
この小説は、長く心に残り続ける作品となりそうです。人間の内面や愛について、深く考えさせられる一冊でした。
酷
ひどく残酷で,おそろしい話のはずなのに,なぜかラストは綺麗に感じてしまう。
細谷さんの,無償の愛を超えた,残酷なまでの愛情。
人を殺してでも,守りたいもの。
おそろしい「ユリゴコロ」は,歪んではいるものの,唯一無二の「オヤゴコロ」に生まれ変わったのかもしれない。
Posted by ブクログ
読みやすかった。
ユリゴコロってなんだろ〜と思ってたけど、幼い時に聞いた「拠り所」から来た言葉だった。
意味としてはなんといえばいいのやら。殺意の衝動?
普通の家庭に育って、そこからサイコパスが産まれるというのが私的に新しかった。
遺伝子にサイコパスが組み込まれてるタイプ。
そんなもんだから、
こういう経験があったから歪んじゃったのね、こういう行動に出ちゃうのね、がまっっったく分からなくて、何考えてるのか、どんな人物なのかよくわからない。
細谷さんは頼もしい肝っ玉かあちゃん的な人を想像してたから、そんな人が4〜5人殺した経験のある元娼婦のお母さんでしたー!!と言われても結びつかない。
亮介に飛びついたとき、頬にキスをしたとか胸元がはだけてたとかもよく分からん。(まあこれはたまたまであって、「亮介に気がある細谷さん」というミスリードをしたかったってことだと勝手に理解するけど)
お父さんも、そんなお母さんに惹かれた理由もよく分からなかった。
トラウマ作った張本人だし、殺人鬼だけど、なぜかお父さんに愛されるお母さんラッキーすぎでは?
千絵も結構ふしだらな女。亮介は自分が浮気されてたっていう感覚薄くて、怒りの矛先が千絵ではなくDV夫に向いてたけど、思い出して。あなたは浮気されてました。
読みやすかったけど登場人物があまりつかめなくて「なんかよく分からない」っていう感想。
Posted by ブクログ
・ハッピーエンドではあるのか、、、?
全てが丸く収まってる感はあるけれど、自分のトラウマを作った原因を愛せるお父さんすごいな~と感じた。
愛している人なら関係ないのか。
・映画では吉高由里子さんが演じているようで、それなら許してしまう気持ちもわかるな、なんて。
Posted by ブクログ
タイミングの良し悪し。
我からすると、よっぽどホラー。
最後の数ページにうまいことツッコミたいけど、うまいこと浮かばず。
背景に妙な爽やかさ背負ってるんですよね、、、なんぞコレ。
弟が良心のように思えて辛い。かる〜く、認めたくないわ〜的なノリで。