あらすじ
金髪碧眼の至高の美少年ながら母に遺棄された過去を持ち、“犯罪者の遺伝子”に傾倒する春野。父が愛好するアニメキャラクターの実体化として作られた少女レイ。遺伝子操作を拒絶するカルト狂信者の両親を持つ“遺伝子貧乏”清田──16歳の夏、予備校の夏期講習で出会った3人は、反発しあい傷つけあいながらもかけがいのない友情を築いていく。 遺伝子工学分野のみが極端に発展し、子どもの容姿の“デザイン”が可能になった仮想現代を舞台に、社会によって歪められた少年少女の屈折や友情を描く、著者渾身の長編青春小説。
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Posted by ブクログ
年末ですが、新しく創刊された文庫だったし、いわゆるジャケ買いってのをしま して 『カスタム・チャイルド−罪と罰−』って のを読みました。
初めて読む作者さんです
遺伝子工学が発展し、子どもの容姿や性格・得意分野などの【デザイン】が可能 なった仮想現代
子どもを生む前に(とりあえず「生む」 という、原始からの女性がしてきたことだけは残っている) カタログから遺伝子を選び、自分の好み の組み合わせで、子どもをカスタマイズすることができる カタログ・トランスジェニック ‥ 遺伝子操作
社会によって歪められた少年少女の屈折 や友情を描く、著者渾身の青春ストーリ ーとあったけれど、親の立場で読んでしまうからか「青春ス トーリー」部分よりも、ちょっと薄ら寒いものを感じてしまった
吉一(春野)倫太郎 ‥ 4歳の時、母にカタログ(自分の理想・予想)通りに成長しないからと、 クレームをつけられ、バイク便の段ボールに梱包され「返品」される
「返品」先の会社員、春野知佳に引き取られ、 10年後、容姿上は理想的なトランスジェニック・チャイルドに育つ
清田寿人 ‥ 両親の営みにより自然妊 娠で生まれる。 この時代、トランスジェニックからは「遺伝子貧乏」ジーンプア と呼ばれる
冬上レイ ‥ 意図的にアルビノ(色素 欠乏症)の症状を発現するようにつくられた、 異質のトランスジェニッ ク・チャイルド
父が愛好するアニメのキ ャラクターに似せて作られ、14歳の時が至福の時間だった
↑ これって、カンペキ に『エヴァ』の綾波レイでっしょーーー ー おまけに、冬月なら ぬ 冬上
この3人が知り合った16歳の夏、遺伝子工学を専門に教える高専「総領晴 八郎還暦記念ジェネスティクス・スクー ル」のための予備校に通っていた
確かに「青春ストーリー」ではあるけれ ど
子どもというひとつの人格を、親の傲慢から、
好き勝手につくりかえることのキモチワルサ
子どもをしばりつけることのオソロシサ を思いました
「遺伝子操作」という仮想だけれど、 今だって、「それがあなたのためなんだから」と、あれもこれも制限し押さえつ ける親の何と多いこと!
尤も、子どもたち本人にとっては遺伝子操作されようがされまいが、 「自分は自分」として、「自分」を確立しながら成長できていればいいけれど、 そして、何かを抱えながらも友人たちと 距離を近づけたり遠ざかったり‥は、青春時代の特権だとは思うけれど
いずれ、仮想じゃない時代が来るんでしょうね
< メモ>
冬上レイが父に持たされていた、ジュニ ア・ケータイの機能を、 清田が「糸でんわ」と表現したのが、実にうまい! と唸りました
Posted by ブクログ
うん、よかった。作者が思い入れがあるだけのことはあります。
個人的には電撃文庫のより好き。
壁井さんはもっとメジャーになってもいい作家さんだと思う。
他の方は視点の入れ替わりが読みづらいといってるけど、私はそんな風には感じなかったかな。
強いて言うならレイも清田に救われる方が良かった気がするけど、まあここらへんも壁井さんらしいですね。
是非またこの世界の物語を書いてほしいですね。